あらすじ

第七話では、新帝即位後の一連の政治的波乱と登場人物たちの関係性の変化が描かれています。蘇無名そむめいは新帝に情報報告のため謁見を求めますが、多忙を理由に阻まれてしまいます。最終的に非公式なルートで新帝に拝謁し、盧凌風ろりょうふうと公主の特別な関係を明かしますが、これが新帝の怒りを買い、蘇無名そむめいは免職の上、長安から追放されてしまいます。

一方、公主は政治的な才覚と野心を露わにし、盧凌風ろりょうふうは自身の出自に起因する複雑な状況に引き続き向き合います。

また、物語には盗掘事件と謎の殺人事件が新たに持ち上がります。蘇無名そむめいは独孤の里で亡き妻の肖像を彫る独孤羊どっこようと出会い、曹恵そうけいによる検死の際には故人への敬意を示します。事件の真相究明が進むにつれ、蘇無名そむめいは犠牲者のために真実を明らかにし、正義を果たそうと決意を固めます。

この回は、朝廷内の権力闘争、登場人物たちの個人的な感情、そして正義の追求が複雑に絡み合い、深く描かれています。

ネタバレ

太子がついに新帝として即位し、改元後すぐに国務に追われる日々が始まった。蘇無名そむめいは重要な情報を新帝に伝えるため謁見を求めるが、多忙な新帝にはなかなか葉わない。そこで、彼は少々強引な手段を使って面会の機会を得ようと試みる。一方、蘇無名そむめいが自分を避け続けていることに不満を抱いた公主は、盧凌風ろりょうふうの様子を探ろうと大理寺へ直接赴く。

ようやく新帝に会えた蘇無名そむめいは、二人きりで話がしたいと申し出るが、新帝は側近を同席させるよう命じる。不本意ながらも蘇無名そむめいは指示に従い、盧凌風ろりょうふうと公主の特別な関係を明かし、それが朝廷の安定を脅かす可能性があると進言する。新帝は顔色を変え、二人の関係を深刻に受け止める。同時に、蘇無名そむめいの真意を疑い、皇権への挑戦とも取れる行動に警戒心を抱く。

その頃、盧凌風ろりょうふうは自分が公主を「母上」と呼んでしまった一件が利用され、公主が窮地に陥ることを心配していた。公主は寛大な態度を示し、盧凌風ろりょうふうの将来について考えるよう促すが、盧凌風ろりょうふうはそれを辞退する。公主は盧凌風ろりょうふうの身分を公表しようと考える。どんな困難も乗り越えられると信じているからだ。

しかし、新帝の仮応は予想以上に激しかった。蘇無名そむめいの行動を咎め、彼を罷免し長安からの追放を命じる。長公主は深く自責し、老費ろうひもまた有力な味方を失ったことを嘆く。家で蘇無名そむめいの帰りを待つ桜桃おうとうは、彼の突然の罷免に困惑する。周りの者たちも皆、その理由が分からず戸惑っていた。

事態が進むにつれ、冷静さを取り戻した新帝は自らの判断を仮省し始める。蘇無名そむめいの行動は、朝廷内の複雑な情勢に目を向けさせるための忠告だったのかもしれないと考える。盧凌風ろりょうふうの身分についても、朝廷における彼の役割を改めて評価し始める。

蘇無名そむめい桜桃おうとうに対し、保身のために出世欲に目がくらんだ男を演じる。内心は苦しい。桜桃おうとうを傷つけていることは分かっているが、盧凌風ろりょうふうを守るためには仕方がない。ショックを受けた桜桃おうとうは去っていく。盧凌風ろりょうふう蘇無名そむめいの左遷を知り、自責に駆られるが、新たな変化を前向きに捉えようとする。

公主は蘇無名そむめいを見送りに訪れ、自らの政治的野望を語る。公主が自分の真意を理解していることを知り、蘇無名そむめいは感謝と同時に将来への不安を抱く。一方、大将軍は死の間際に盧凌風ろりょうふう蘇無名そむめいに近づくなと言い残す。盧凌風ろりょうふう蘇無名そむめいの行動の真意をますます分からなくなる。

さらに、ある盗掘事件が世間を騒がせている。生存者はわずか二人。独孤小鎮では、亡き妻の肖像を彫る独孤羊どっこようと出会った独孤遐叔どっこかしゅくが、彼と義兄弟の契りを結ぶ。その後まもなく、小鎮で影によって人が殺される怪事件が発生。独孤遐叔どっこかしゅく蘇無名そむめいに助けを求め、蘇無名そむめいは事件の調査に乗り出す。

捜査の過程で、検視官として曹恵そうけいが現れる。彼女は殺された独孤羊どっこようの母親であり、深い悲しみの中で検視を行う。蘇無名そむめい曹恵そうけいと共に遺体に印をつけ、二人で故人に敬意を表する。検視を終えた曹恵そうけいは、犯人の早期逮捕を県令に訴え、そのまま悲痛のあまり倒れてしまう。その姿に、一同は心を痛める。

最後に、蘇無名そむめいは真実を明らかにし、独孤羊どっこようの無念を晴らすと同時に、大切な人を失った人々に慰めを与えようと決意する。

第7話の感想

第7話は、蘇無名そむめいの深い忠誠心と苦渋の決断、そして様々な登場人物の葛藤が描かれた、非常に重厚なエピソードでした。新帝への忠告が裏目に出て罷免されるという展開は、蘇無名そむめいの誠実さと政治の難しさを痛感させます。特に、愛する桜桃おうとうを傷つけながらも盧凌風ろりょうふうを守るため偽りの姿を見せるシーンは、胸が締め付けられるようでした。彼の真意を理解する公主との別れの場面も、今後の展開への期待と不安を掻き立てます。

一方、盧凌風ろりょうふうは自身の立場に悩み、大将軍の遺言に戸惑うなど、精神的に追い詰められていく様子が見て取れます。新帝もまた、即位早々に難しい判断を迫られ、その苦悩が伝わってきました。それぞれのキャラクターがそれぞれの正義と信念に基づいて行動しているからこそ、生まれるすれ違いや葛藤が、物語に深みを与えています。

盗掘事件や迷影殺人事件といった新たな謎も登場し、今後の展開への期待感が高まります。特に、曹恵そうけいの悲痛な検視シーンは、事件の悲惨さを強く印象付けました。蘇無名そむめいがこれらの事件をどのように解決していくのか、そして彼と盧凌風ろりょうふう、公主の関係はどうなっていくのか、目が離せません。全体を通して、陰謀と人間ドラマが巧みに交錯し、見応えのあるストーリーとなっています。

つづく