あらすじ

第一話では、仙人の春水しゅんすいが退屈しのぎに自分の影を実体化させ、囲碁を打つ場面から始まります。この様子を見た司卯しぼうは、影に人間らしい姿を与え、寒潭かんたんの女神を創造しました。しかし、これが思いもよらぬ事態を招き、妖魔が人間界へと逃れてしまいます。司卯しぼうとの戦いの最中、寒潭かんたんの女神は春水しゅんすいを守るために命を落とします。天帝は春水しゅんすいを半妖半仙の姿に変え、寒潭かんたんの守護を命じました。一方、寒潭かんたんの女神は北陸国の姫、寒生かんせいとして転生します。

九百年後、記憶を失った春水しゅんすいは、今もなお寒潭かんたんを守り続けています。寒生かんせいは不吉な存在とされ、生母を死に追いやり、干ばつをもたらすと予言されたため、南淵国への和親を余儀なくされます。宮廷では、寒生かんせいは数々の誤解を受け、乳母の虐待に苦しめられます。愛猫は彼女を救うために命を落とします。逃げ出した寒生かんせい白扇はくせんと出会い、司卯しぼうの影響を受けた白扇はくせん寒生かんせいを逃がします。逃げ込んだ先は春妖しゅんようの縄張りで、寒生かんせいは気を失ってしまいます。春妖しゅんよう寒生かんせいに影がないことに気づき、二人の間に不思議な繋がりがあることを感じ取るのでした。

ネタバレ

春水しゅんすい仙人は忘川河の番人で、幾万年もの間忠実に任務をこなしていた。ある日、退屈しのぎに自分の影を実体化させて囲碁を打とうとするが、影には実体がなかった。このことを知った司卯しぼうは、春水しゅんすいに108口の仙気を貸し与え、影に体を与えた。そして、春水しゅんすいの半分の水魄を使って寒潭かんたん神女を創造した。以後、春水しゅんすいは毎日寒潭かんたん神女と囲碁を楽しんでいた。しかし、このことで司卯しぼうの法力は増大し、結界を破ってしまい、妖魔が忘川河から人間界へ逃げてしまう。春水しゅんすい司卯しぼうと戦い、寒潭かんたん神女は春水しゅんすいを庇って命を落とす。天帝はこのことを知り激怒し、春水しゅんすいを半妖半仙の姿にして寒潭かんたんの守護を命じ、寒潭かんたん神女は人間に転生することになった。

九百年後、前世の記憶を失った春水しゅんすいは、春妖しゅんようとして寒潭かんたんを守り続けていた。寒潭かんたん神女は北陸国の王女・寒生かんせいに転生したが、不吉な存在とされていた。宮廷では、大祭司が新王女は生母を克し、三年間の幹ばつをもたらすと予言し、和親によって不吉を払うよう進言する。寒生かんせいが飼っている猫は、彼女が宮廷を去ること察知し、庭から宝石を掘り出して旅費にしようと持たせた。しかし、その宝石は宮廷で盗まれたもので、侍衛たちは盗賊を捕まえようとして寒生かんせいを捕らえてしまう。寒生かんせいは驚き逃げ出し、猫は巨大化して侍衛たちを追い払う。翌日、乳母が寒生かんせいを問い詰めると、寒生かんせいは猫を逃がそうとするが、乳母に鞭で打たれてしまう。猫は寒生かんせいを助けようと乳母に噛みつき、返り討ちに遭い命を落とす。寒生かんせいは死んだ猫を抱きしめ悲しむ中、猫の魂は寒潭かんたんへと飛んでいく。春妖しゅんようの姿となった春水しゅんすいは、猫の魂が寒潭かんたんに戻るのを見て、素書へと変化させ万宿閣にしまう。

寒生かんせいは南淵国の王と和親のために嫁ぐことになり、その日は七月十五日の鬼節に定められた。寒生かんせいは、皇帝が自分の不運を他国へ押し付けようとしていることを理解していた。白扇はくせんは亡き夫を弔うため魍魎淵を訪れると、司卯しぼうが現れ、春妖しゅんようが彼女の夫・劉雲蘇りゅううんそを殺したと告げ、百鬼夜行の日に潭から出れば劉雲蘇りゅううんそを蘇らせることができると唆す。白扇はくせんは、司卯しぼうが既に自分の体に入り込んでいることに気づいていない。鬼節当日、春妖しゅんようは百鬼夜行を許可するが、境界を越えることを禁じる。春妖しゅんよう鼠来宝そらいほうが人間界へ逃げようとしているのを見つけ、素書を使って罰する。白扇はくせんはこれを見て、恐れるどころか一人で逃げ出してしまう。道中で寒生かんせいと出会い、彼女を逃がし、馬車を借りることにする。寒生かんせいは慌てて春妖しゅんようの領地に入り込み、緊張のあまり気を失ってしまう。翌日、春妖しゅんよう白扇はくせんが素書を持ち去り、寒生かんせいの体に白扇はくせんの匂いが残っていることに気づく。寒生かんせいを問い詰め、彼女の身分を知ると、春妖しゅんようは彼女を殺そうとするが、自分も息ができなくなることに気づく。傍らの孔雀の妖怪は春妖しゅんようを止め、寒生かんせいにも春妖しゅんようと同じように影がないことを指摘する。

第1話の感想

「悠久の縁~百霊潭~」第1話は、幻想的な世界観と魅力的なキャラクターで視聴者を惹きつける、見事な幕開けとなりました。主人公である春水しゅんすい仙人としての責任感と、影を相手に囲碁を打つという無邪気さとのギャップが印象的です。そして、彼のために犠牲となる寒潭かんたん神女の悲劇的な運命は、今後の物語の展開に深い影を落とすことでしょう。

特に目を引くのは、美しい映像と繊細な音楽です。忘川河の神秘的な雰囲気や、寒潭かんたんの静寂さが、画面を通して伝わってきます。また、キャラクターそれぞれの心情を表現する音楽も、物語への没入感を高めています。

一方で、ストーリー展開はやや駆け足気味に感じられました。春水しゅんすい寒潭かんたん神女の出会いから別れまでが短く、彼らの間の感情の深まりが十分に描かれていない点が惜しまれます。また、司卯しぼうの目的や、彼女が春水しゅんすいに仙気を貸した真意も不明瞭なままです。これらの謎が今後の物語でどのように解き明かされるのか、期待が高まります。

つづく