あらすじ

第二十三話は、寒生かんせいの心の葛藤と司瞳しとうの行動を中心に展開します。春妖しゅんようから二人の霊力が相克しているため、寒生かんせいの安全のために彼女から離れなければならないと説明され、寒生かんせいは深く傷つきます。臘八節の粥配りで、寒生かんせいは騒ぎを起こす司瞳しとうに遭遇します。過去の辛い経験と内なる魔気に突き動かされ、司瞳しとうは攻撃的な態度を取りますが、師匠である無垠ぶぎんの導きにより、最終的に自分の過ちを悟り、改心することを決意します。

一方、寒生かんせいは怪我をした蠍の精の月姫げっきを救います。月姫げっきは薬を盗んだ疑いをかけられますが、無垠ぶぎんは彼女を信じると言い切ります。そんな中、司瞳しとう霊均れいじゅんの影響を受け、衝動的な行動に出ます。寒生かんせいを柴部屋に閉じ込めるなど、物語に新たな緊張感が加わります。

ネタバレ

寒生かんせい春妖しゅんようの優しさに愛情を感じていましたが、春妖しゅんようは百霊潭にとって寒生かんせいが必要であり、二人の霊力が互いを喰らい合うため、共にいることは危険だと説明しました。南淵国での別れも同様の理由だと告げられ、未来がない、離れることが最善だと突き放された寒生かんせいは深く傷つき、部屋に戻ってしまいます。

臘八節の日、寒生かんせい孔澜こうらん夫婦と共に百妖に粥を振舞っていました。その時、司瞳しとうが子供の粥を奪い、泣かせてしまいます。寒生かんせいは子供を助け、粥を取り返しますが、怒った司瞳しとうに襲いかかられます。孔澜こうらん夫婦が間一髪で助けに入りますが、周囲の妖怪たちは司瞳しとうの行儀の悪さを非難し、司瞳しとうは傷ついた心で戻ります。師匠の無垠ぶぎん司瞳しとうの怪我を見て騒動を起こしたことを察し、治療します。司瞳しとうは粥を持ち帰り霊力を高めようとしたが、孤児呼ばわりされて悔しかったと打ち明けます。無垠ぶぎんは五百年前、魍魎淵の魑魅魍魎が外に出た時、司瞳しとうの両親が彼を守り戦死し、魔気に染まった蓮の中に司瞳しとうがいたことを話します。真実を知った司瞳しとうは師匠への感謝を深め、無垠ぶぎんのために尽くそうと決意します。無垠ぶぎんは子供たちからもらった粥を司瞳しとうに見せ、魔気を浄化するために彼らを見習うよう諭します。

湖畔で、寒生かんせいは砂漠から来た蠍の精の月姫げっきという怪我をした娘に出会います。かつて隊商を襲っていた月姫げっきですが、ある男に心を奪われ、毒を盛られます。男は捉妖師だったのです。月姫げっき無垠ぶぎんに治療を頼み、司瞳しとうは警戒しますが、寒生かんせい無垠ぶぎんは彼女を匿います。

その後、司瞳しとうは薬を盗もうとした月姫げっきを見つけ、咎めようとしますが、無垠ぶぎんに止められます。無垠ぶぎん月姫げっきを信じると言い、司瞳しとうは自分の気持ちが誤解されていると感じ、飛び出してしまいます。その隙に、霊均れいじゅん司瞳しとうの体に入り込みます。

寒生かんせい無垠ぶぎんに悩みを打ち明け、無垠ぶぎん春妖しゅんようの態度は逆に寒生かんせいを大切に思っている証拠だと助言します。寒生かんせい春妖しゅんようの元へ向かいますが、春妖しゅんようは扉を開けてくれません。寒生かんせいは一旦諦めますが、まだ希望を捨てていません。

家に帰った司瞳しとうは悪夢を見たと思い、目を覚ますと寒生かんせいが薬を煎じているのを見ます。月姫げっきがここにいるのは寒生かんせいのせいだと考えた司瞳しとうは、術で寒生かんせいを柴房に閉じ込めてしまいます。閉じ込められた寒生かんせいは不安に苛まれます。

物語は寒生かんせいが閉じ込められたまま終わり、次回への繋ぎとなっています。

第23話の感想

第23話は、登場人物それぞれの想いが交錯し、今後の展開が気になるエピソードでした。特に、寒生かんせい春妖しゅんよう司瞳しとう無垠ぶぎんの関係性に変化が見られ、それぞれの心情が丁寧に描かれていたと感じます。

寒生かんせい春妖しゅんようの真意を理解できず、傷つきながらも諦めきれない様子が切なかったです。一方、春妖しゅんようは冷たく突き放すような態度を取りながらも、寒生かんせいへの複雑な感情が垣間見えました。二人の霊力が互いを喰らい合うという設定は、今後の展開に大きく影響しそうです。

司瞳しとうは、孤児として育った過去や、師匠である無垠ぶぎんへの深い愛情が明らかになりました。臘八粥のエピソードを通して、彼の繊細な心の内が表現されており、共感できる部分もありました。無垠ぶぎんは、厳しくも温かく司瞳しとうを見守る姿が印象的でした。しかし、月姫げっきの件で司瞳しとうとの間に溝が生じてしまい、今後の関係が心配です。

つづく