あらすじ

第二十五話は、春妖しゅんよう寒生かんせい無垠ぶぎん、そして司瞳しとうをめぐる複雑な関係を描いています。

春妖しゅんよう宿書しゅくしょから、無垠ぶぎんが魔蓮と寒潭かんたんについて何かを隠していることを知ります。一方、寒生かんせいは偶然にも春妖しゅんように口づけをしてしまい、真実を突き止める手助けを約束します。月姫げっき無垠ぶぎんに催情香を使って関係を持とうとしますが、司瞳しとうに邪魔をされ、怪我をして逃げていきます。司瞳しとう月姫げっきを攻撃する場面を目撃した寒生かんせいは、そのことを春妖しゅんように伝えます。無垠ぶぎん司瞳しとうを守るため、寒生かんせいに土下座して許しを請い、司瞳しとうが既に魔に憑かれている可能性を示唆します。

司瞳しとう五色魔蓮ごしきまれんの化身である可能性を知った春妖しゅんようは、自ら司瞳しとうを捕らえることを決意します。春妖しゅんようの追及に対し、無垠ぶぎん司瞳しとうを庇い続け、その結果、春妖しゅんようの罰を受けることになります。

ネタバレ

春妖しゅんよう宿書しゅくしょから、無垠ぶぎんと魔蓮、そして寒潭かんたんとの関係を知ったが、春水しゅんすい仙人と寒潭かんたんの繋がりは不明だった。まるで誰かが意図的にその記憶を消したかのようだった。その時、寒生かんせいが突然現れ、春妖しゅんようにキスをした。驚いた春妖しゅんようだが、寒生かんせいに早く戻るように促し、自身は魔蓮の手がかりを探し続けることにした。いつ成就するかは天命次第だと悟った春妖しゅんようは、無垠ぶぎんが何かを隠していると感じていた。寒生かんせい春妖しゅんようのために無垠ぶぎんたちの秘密を探ろうと、百霊潭に残ることにした。

月姫げっき無垠ぶぎんの部屋に催眠香を焚き、無垠ぶぎんを眠らせた。そして関係を持とうとしたが、無垠ぶぎんはそれが催情香だと気づいた。月姫げっきが迫るその時、司瞳しとうが現れ、月姫げっきを攻撃した。逃げ出す月姫げっきを、司瞳しとうは容赦なく追いかけ、吹き飛ばした。この場面を目撃した寒生かんせいは、急いで春妖しゅんように知らせに行った。戻ると無垠ぶぎんがおり、司瞳しとう月姫げっきを殺したことを知っていた。寒生かんせい春妖しゅんように話せば司瞳しとうは殺されると思い、無垠ぶぎん寒生かんせいに土下座をして命乞いをした。司瞳しとうは他の子とは違い、生まれながらに辛い境遇にあったのだと訴えた。そこへ春妖しゅんようが戻り、無垠ぶぎん月姫げっきが用事で出て行ったと嘘をつき、寒生かんせいもそれに合わせた。二人が去った後、春妖しゅんよう孔澜こうらん月姫げっきの行方を調べさせた。

目を覚ました寒生かんせいは、月姫げっきに非があるとはいえ、無垠ぶぎんが土下座するほどのことではないと感じた。そして、自分が小屋に閉じ込められていた時、春妖しゅんようが微かな魔気を感じていたことを思い出した。司瞳しとうが既に魔に堕ちており、無垠ぶぎんはそれを隠そうとしていたに違いない。そうでなければ、司瞳しとうが魔に堕ちたことが春妖しゅんようにバレれば、処刑されるだろう。

孔澜こうらん司瞳しとう月姫げっきを殺したことを春妖しゅんように報告した。二人は分析し、司瞳しとう五色魔蓮ごしきまれんの化身だと考えた。春妖しゅんようは自ら司瞳しとうを捕らえに行くことにした。

戻った司瞳しとう無垠ぶぎんに叱責されたが、月姫げっきを殺したことを仮省していなかった。司瞳しとうは師匠以外、誰も眼中にないようだった。その時、春妖しゅんようたちが到著し、無垠ぶぎん司瞳しとうを隠し通路に隠した。春妖しゅんよう司瞳しとうを引き渡すように言ったが、無垠ぶぎんは土下座をして命乞いをした。無垠ぶぎんが天下蒼生に敵対するつもりだと悟った春妖しゅんようは、孔澜こうらん無垠ぶぎんを拷問させた。それでも司瞳しとうを差し出さない無垠ぶぎんに、春妖しゅんようは激怒し、百霊潭から一歩も出さないよう命じた。春妖しゅんようは戻ると、愚かな慈悲が天下を滅ぼすと寒生かんせいを叱責した。

無垠ぶぎん司瞳しとうに下山して逃げるように言ったが、司瞳しとう無垠ぶぎんの仇を討つため春妖しゅんようを殺そうとした。無垠ぶぎん司瞳しとうを止め、これ以上殺生を繰り返さないように諭し、二人の縁はここまでだと告げた。司瞳しとう無垠ぶぎんに土下座をして出て行った。多くの侍衛が司瞳しとうを阻んだが、無垠ぶぎんは侍衛たちを殺し、司瞳しとうを逃がした。

自分が春妖しゅんようを怒らせてしまったと思い、寒生かんせいは謝ろうとしたが、春妖しゅんようは無視し続けた。気まずくなった寒生かんせいは、静かにその場を去った。

第25話の感想

第25話は、様々な感情が渦巻く、非常に緊迫した展開でした。春妖しゅんよう寒生かんせいの関係に進展が見られたかと思えば、月姫げっきの死、司瞳しとうの正体発覚、そして無垠ぶぎんの苦悩と、息つく暇もないほどの出来事が次々と起こります。

特に印象的なのは、無垠ぶぎんの弟子への愛です。司瞳しとう五色魔蓮ごしきまれんの化身だと分かっても、師として彼を守ろうとする姿は、胸を締め付けられるものがありました。春妖しゅんようとの対立も避けられない状況となり、無垠ぶぎんの苦悩は深まるばかりです。己の信念と、愛する弟子を守るため、彼は大きな犠牲を払う覚悟を決めます。

一方、春妖しゅんようは、天下蒼生を守るという大義のために、心を鬼にしなければなりません。たとえそれが、無垠ぶぎんとの対立を意味するとしても。彼女の揺るぎない正義感と、冷徹な判断は、物語に緊張感を与えています。

つづく