あらすじ
第二十九話は、寒潭の女神と春水の仙人の深い愛情物語を描いています。寒潭の女神は霊智を得てからというもの、毎日春水の傍らに寄り添い、自らの想いを宿書の内に記し、永遠に離れぬ願いを込めました。
しかし、司卯の出現によって、この静謐な日々は破られます。司卯は寒潭の女神に恋をし、彼女を連れ去ろうと春水に戦いを挑みます。争いの最中、寒潭の女神は春水を守るため自らを犠牲にし、天帝の罰によって人間へと転生させられ、苦難を強いられることになります。
春妖はこの真実を知り、死をも恐れず天劫を破り、愛する者と再び共にいることを決意します。北斗星君は春妖に、極寒の地に住まう九幽冥王に助けを求めるよう助言します。
一方、寒生は百霊潭で目を覚まし、春妖が自分のために危険な旅に出たことを知ります。寒生は春妖を探し出す決意を固め、司卯の助けを借りて冥泉への道を見つけます。
ついに寒生は幻境の中で春妖と出会います。幻の春妖は、二人の中で一人しか生き残れないと告げますが、寒生はこの罠を見破り、幻影を貫きます。そして、全ての騒動が収まった後、寒生は本当の春妖と再会を果たし、二人は再び結ばれます。
ネタバレ
百霊潭の精霊である寒潭神女は、霊智を得てからというもの、春水仙人と日々碁を打ち、遊んでいた。彼女は春水のために宿帳を書き、様々な人々の感動的な運命に触れていた。そして、自分と春水の宿帳にも永遠の愛を誓い、春水を深く感動させた。
しかし、ある日突然、司卯が潭から現れた。不吉な予感を感じた春水は司卯を阻もうと立ち向かうが、司卯もまた寒潭神女に恋しており、彼女を連れ去ろうとしていた。春水は当然それを許さず、争いが始まる。司卯が春水に攻撃を仕掛けた瞬間、寒潭神女は春水の盾となり、一命を落とす。天帝は春水に百霊潭の守護を命じ、寒潭神女は転生し、生生世世苦難を味わう運命となる。二人はもう二度と会うことはできない。
宿帳を読んだ春妖は前世の出来事を知り、北斗星君が記憶を消したことを責める。二度と同じ悲劇を繰り返すまいと決意する。北斗星君は春妖の記憶を消せば苦しみから解放されると思っていたが、天意には逆らえず、二人は再び出会ってしまった。しかし、天劫により、春妖と寒生が一緒にいることは許されない。このままでは劫難が降りかかる。それでも春妖は天劫を破ろうと、たとえ死んでも寒生と離れることはないと誓う。春妖の頑固さを見かねた北斗星君は、六界の外を司る九幽冥王に天劫を破る方法を尋ねるよう助言する。春妖は九幽冥王を探し出し、解決策を見つけることを誓い、寒生に必ず戻ると約束して旅立つ。
翌日、目を覚ました寒生は孔澜夫婦に看病されていたが、春妖の姿はない。顧元珠も消えており、烏裳は春妖が縁結びの品を作るために持っていったと嘘をつく。部屋を出た寒生は、春妖が自分のために植えた桜の木が満開になっているのを見て喜ぶ。その時、司卯が現れ、寒生が寒潭神女の生まれ変わりであることを告げ、一緒に来るよう促す。天劫の危険を改めて突きつけられる寒生。春妖が顧元珠を持ち出し、自分のために危険な旅に出たことを悟り、春妖を探しに行こうとする。しかし、司卯はそれを阻み、無理やり連れ去ろうとする。寒生は司卯に、自分の心には春妖しかいないとはっきり告げる。
春妖の姿に変身した寒生は、孔澜を騙して春妖の行き先を聞き出す。春妖が九幽冥王の元へ向かったことを知り、心配になった寒生は冥泉の場所を尋ねる。そこに司卯が現れ、寒生を冥泉へ連れて行く。
極寒の地に著くと、司卯は羅盤を寒生に渡し、冥泉への行き方を教える。寒生の感謝に、司卯は魔気を浄化し、真の神仙になることを誓う。寒生はすぐに春妖を見つけるが、春妖は既に九幽冥王に会い、寒生と春妖のどちらかしか生き残れないと告げられたと言う。そして、春妖は寒生に刃を向ける。しかし、寒生は目の前の人物が本当の春妖ではないことに気づく。春妖は決して自分を傷つけたりはしない。寒生は偽物の春妖を刺し、幻は消える。再び目を覚ました寒生は、目の前に本当の春妖の姿を見つける。
第29話の感想
第29話は、愛と試練、そして運命に翻弄される登場人物たちの姿が胸を締め付ける展開でした。春妖と寒生の強い絆が、様々な困難によって試される様子が描かれています。
特に印象的なのは、春妖の深い愛情です。天劫の危機から寒生を守るため、危険を顧みず九幽冥王の元へ向かう決意は、彼の揺るぎない愛の証と言えるでしょう。寒生もまた、春妖の身を案じ、彼を探し求める姿が健気で、二人の強い想いが互いを支え合っていることが伝わってきます。
一方、司卯の存在も物語に複雑な影を落としています。寒潭神女への想いを抱きながらも、彼女の幸せを願う葛藤は、切ないものがあります。彼が今後どのような選択をするのか、今後の展開が気になります。
つづく