あらすじ

寒生かんせい霊均れいじゅんに連れられ、南淵国で結婚することになりました。当初、国王の暴虐なイメージから、彼に近づくことを拒んでいましたが、霊均れいじゅんの示す優しさと思いやりに、寒生かんせいの心は徐々に変化していきました。

一方、春妖しゅんよう寒生かんせいが去ってからずっと彼女のことが気がかりで、自身の寿命があと七日しかないことを知ると、すべての宿書しゅくしょを百妖に返し、孔澜こうらんに管理を委ねることにしました。北斗星君ほくとせいくんに勝利した春妖しゅんようは、人間界へ行き、寒生かんせいを探そうと決意します。

宮廷での生活に馴染めずにこっそり外出した寒生かんせいは、街で偶然春妖しゅんようと、彼女の子供だと名乗るウサギに出会います。三人は一緒に小さなウサギの家へ帰りました。ウサギの兄が亡くなったことを知ると、春妖しゅんよう宿書しゅくしょを使い、小さなウサギが百霊潭で兄に会えるようにしました。寒生かんせい春妖しゅんように来世について尋ね、運命のはかなさを実感します。

花灯節の日、寒生かんせいは再び春妖しゅんように会えるよう願い事をしました。しかし、衛兵の到着によってそのひとときは中断され、寒生かんせいは後ろ髪を引かれる思いで宮殿へ戻りました。

ネタバレ

南淵国へ嫁いだ寒生かんせいは、暴君だった国王の記憶から、霊均れいじゅんとの初夜を拒みます。しかし、霊均れいじゅんは優しく、寒生かんせい好みの食事を用意するなど、思いやりのある態度を見せます。寒生かんせいは彼への印象を少しずつ変えていきます。

一方、春妖しゅんよう寒生かんせいを忘れられず、北斗星君ほくとせいくんに残り少ない寿命を告げられます。春妖しゅんようは最後の戦いを挑み、勝利を収めます。そして、百妖たちに宿書しゅくしょを返し始めます。

霊均れいじゅんとの生活に馴染み始めた寒生かんせいは、王宮を抜け出し街を散策します。南淵国に辿り著いた春妖しゅんようと街ですれ違いますが、気づきません。寒生かんせいが兎を買おうとした時、二人は再会します。兎は人間の子供に変身し、寒生かんせいを「お母さん」と呼びます。驚く寒生かんせいは、春妖しゅんようと共に兎の家に同行します。

兎の兄は既に亡くなっており、悲しむ兎を見て、春妖しゅんようは兄の宿書しゅくしょを持ち帰り、百霊潭へ来るように告げます。寒生かんせい春妖しゅんように「来世でまた会える?」と問いかけます。春妖しゅんようは「運命は分からぬもの。二度と会わないと誓っても、またこうして会っている」と答えます。

花灯節の花火の下、寒生かんせいは再び春妖しゅんように会えることを願います。春妖しゅんようもまた、以前、共に願い事をした寒生かんせいとの日々を思い出します。衛兵に見つかり、別れを告げる寒生かんせいは、一歩進むごとに胸を締め付けられるのでした。

第31話の感想

第31話は、切ない再会と避けられない別れが描かれた、胸を締め付けられるエピソードでした。特に、寒生かんせい春妖しゅんようの再会シーンは、喜びと同時に、二人の未来への不安を感じさせる、複雑な感情が込められていました。

寒生かんせいは、霊均れいじゅんの優しさに触れ、過去の記憶にとらわれず、彼との新たな関係を築こうとする様子が印象的でした。しかし、街で偶然春妖しゅんようと再会したことで、彼女の心は大きく揺れ動きます。春妖しゅんようへの想いが再燃する一方で、南淵国の王妃としての立場、そして霊均れいじゅんへの想いとの間で葛藤する彼女の心情が繊細に描かれていました。

春妖しゅんようは、残された時間を百妖たちに宿書しゅくしょを返すことに費やし、自分の運命を受け入れているように見えます。しかし、寒生かんせいとの再会は、彼にとっても予想外の出来事だったでしょう。再会を喜びながらも、別れが避けられないことを悟っている彼の表情は、見ている側も切なくなりました。

つづく