あらすじ
北斗星君の助力により、寒生は記憶を取り戻し、春妖こそが自分の愛する人であったことを思い出し、これまでの霊均の行いを責めた。過ぎ去った日々を振り返り、寒生は春妖の元へ戻ることを選び、かつて彼が見捨てたことを非難した。春妖は、もう二度と彼女を離さないと誓った。
二人は再会を喜び、甘いひとときを過ごした。しかし、その幸せは長くは続かなかった。寒生の記憶を戻した北斗星君に天罰が下ったのだ。天尊による百霊潭の住人たちへの罰に対し、春妖と司卯は立ち向かうことを決意するが、司卯はすぐに敗れてしまう。
戦いの最中、寒生は皆を救うため、自らを犠牲にして霊魄を春妖に返し、彼に影を与えた。それと同時に、百霊潭の妖怪たちも元の姿に戻った。
最後は、春妖が寒生が残したペンダントを握りしめ、共に過ごした日々を偲ぶ姿があった。しかし、寒生はもうどこにもいなかった。
ネタバレ
寒生が戻ると、霊均は心配して待っていた。春妖に連れ去られたのではと不安だったのだ。しかし、寒生の心は春妖でいっぱいだった。その時、北斗星君が現れ、記憶を取り戻す手伝いをすると申し出た。春妖こそが寒生の一番大切な人だったのだ。翌日、霊均は寒生を訪ねたが、彼女は既に全てを思い出していた。霊均の仕打ちを責める寒生に、霊均はあれが最良の結末で、春妖の願いでもあったのだと説明した。もし納得できたなら、大殿で結婚式を挙げようと告げた。
霊均は大殿で待ったが、寒生は現れなかった。悲しみに暮れる霊均。寒生は春妖の元へ行ってしまったのだ。春妖に会った寒生は、なぜ自分を諦めたのかと責めた。どんなに時間がかかっても一緒にいると約束したはずなのに。春妖は寒生の言葉に心を打たれ、ずっと一緒にいると誓った。
二人は目を覚ますと、甘い口づけを交わした。残された時間が少ないことを忘れようとしているかのようだった。しかし、二人にとって一緒にいられる一日一日が幸せだった。空から雪が舞い降りた。それは百霊潭の妖怪たちからの贈り物で、二人の永遠の幸せを願うものだった。
ロマンチックなひと時を過ごしていた二人だが、空から血が滴り落ちるのを見た。駆けつけると、それは北斗星君の血だった。寒生の記憶を戻したことで天罰を受け、瀕死の状態だったのだ。春妖は北斗星君を責めたが、彼は春妖たちが天道と戦い続けているのを見て、自分も何かしなければと思ったのだと語った。そして、灰となって消えていった。北斗星君の死に激怒した春妖は、天尊に戦いを挑んだ。天尊は百霊潭の妖怪たちに罪を負わせようとした。その時、司卯も駆けつけ、天尊に立ち向かった。天尊に殺されるはずがないと信じて。司卯と春妖は共に天尊と戦ったが、すぐに司卯は倒されてしまった。春妖は司卯に寒生を連れて逃げるように言った。しかし、寒生は春妖に生き延びろと言い残し、手首の印を消した。悲嘆にくれる春妖。寒生は自らの魂を春妖に返し、消えていった。春妖には影ができた。百霊潭の苦しむ妖怪たちも元の姿に戻った。全ては寒生の犠牲によるものだった。
春妖は寒生の形見のペンダントを握りしめ、彼女との思い出を胸に抱いていた。しかし、もう寒生の姿はどこにもなかった。
第32話の感想
「悠久の縁~百霊潭~」最終話、第32話は、切なくも美しい愛の物語で幕を閉じました。寒生と春妖の再会、そして永遠の別れは、視聴者の心を深く揺さぶるものだったでしょう。
記憶を取り戻した寒生は、霊均への複雑な思いを抱えながらも、春妖への変わらぬ愛を再確認します。二人の再会シーンは、これまでの苦難を乗り越えてきた喜びと、限られた時間の中で精一杯愛し合おうとする切なさが入り混じり、胸を締め付けられました。
北斗星君の自己犠牲、そして天尊との壮絶な戦い。これらの出来事は、寒生と春妖の愛の深さをより際立たせると同時に、運命の残酷さを痛感させます。特に、寒生が自らの命と引き換えに春妖を救うシーンは、涙なしでは見られませんでした。彼女が最後に見せた笑顔は、春妖への深い愛情と、百霊潭の妖怪たちへの優しさに満ち溢れており、視聴者の心に深く刻まれたことでしょう。
春妖が寒生の形見のペンダントを握りしめるラストシーンは、彼女の悲しみと、それでも前を向こうとする強い意誌が感じられ、感動的でした。二人の愛は永遠に生き続け、百霊潭の妖怪たちの心に希望の光を灯し続けることでしょう。全体を通して、美しい映像と音楽、そして俳優陣の熱演が、物語の感動をさらに高めていました。