あらすじ
第六話では、白扇が劉雲蘇を蘇らせようとして魔道に堕ちていく様が描かれています。蘇生の術を使った際に反噬を受け、白扇は魔に落ちて幻境を作り出し、不凡たちを捕らえてしまいます。春妖は白扇の暴走を止めようと、真実を伝えようとしますが、白扇は劉雲蘇を生き返らせることに執着します。ついに白扇は一人を蘇らせることに成功しますが、それは劉雲蘇ではなく司卯で、司卯は白扇に重傷を負わせます。不凡と春妖の尽力により、白扇は一命を取り留めますが、もはや回復の見望はありません。息を引き取る間際、白扇は劉雲蘇が死んだ時の真実の姿、そして本当の死因を知ることになります。劉雲蘇は最期の瞬間に春妖に白扇の事を頼み、息絶えます。白扇は死後、天上で劉雲蘇と再会を果たします。葵は白扇の姿に変身して不凡の受け入れを求めますが、叶いません。春妖は流雲梳を形見として不凡に渡します。最後は、寒生が春妖の助けを借りて北陸国を去り、春妖は白扇の言葉を思い出しながら、愛しい人の名前さえ知らないことを嘆き、物語は幕を閉じます。
ネタバレ
寒生は春妖を止めようとするが、春妖は白扇の頑固さゆえに劉雲蘇が死んだと説明する。梁医師は死の間際、春妖に白扇の命を守ること、そして劉雲蘇の死の真相を白扇に告げないよう口止めした。白扇が真実を知れば、一生罪悪感に苛まれるからだという。蘇生術を使えば仮噬を受け、誰であれ深刻な害を被ると知り、寒生は事の重大さを理解し、春妖と共に白扇を救いに行く。
仮噬を受けた白扇は既に魔に堕ち、不凡の血を吸って劉雲蘇の寿命を延ばそうとする。間一髪、春妖が駆けつけ不凡を救う。白扇の様子を見て、春妖は真実を告げるが、白扇は信じず、劉雲蘇を蘇生させるまでは諦めないと、一同を幻境へと引きずり込む。春妖は忘川河、寒生は両親がいる宮殿、不凡は師匠の下へと飛ばされる。師匠は不凡に白扇を殺すよう命じる。
春妖はこれが白扇の作り出した幻だと気づき、寒生を探しに行く。しかし、寒生は幼くして亡くした母との再会に心を奪われ、留まろうとする。春妖の説得でようやく我に返った寒生は、共に不凡の元へ向かう。師匠と白扇がいる場所で、不凡の心の弱点を克服しなければ幻境は解けないと知る。師匠の教えを思い出し、不凡は幻境を破る。しかし、幻境から抜け出ると、白扇が劉雲蘇を蘇生させようとしていた。劉雲蘇が現れ、もはや手遅れとなったかに思えた。白扇が再会を喜ぶ中、司卯が現れる。白扇が蘇生させたのは劉雲蘇ではなく司卯だったのだ。司卯に叩き飛ばされた白扇を不凡が受け止め、滌心玉露を借りるため師匠の元へ戻ろうとするが、白扇は既に瀕死の状態だった。その時、白扇は劉雲蘇の死の真相を目にする。白扇が魍魎淵へ行ったことで司卯が逃亡を企て、劉雲蘇は司卯に襲われ重傷を負ったのだった。春妖は劉雲蘇を救おうとするが、既に遅く、劉雲蘇は白扇に真実を告げないよう春妖に頼み、息を引き取る。
白扇は死後、天上で劉雲蘇と再会を果たす。白扇は不凡の腕の中で消え、不凡の鈴が一つ壊れる。白扇の扇子を持つ不凡は深い悲しみに暮れる。白扇が生前、葵児を自分の姿に変えていたため、葵児は不凡に受け入れてもらおうとするが、不凡は振り向きもせず葵児に一人で生きていくよう告げる。春妖は白扇と一体である流雲梳を不凡に託す。寒生は侍衛に見つかり連れ戻されそうになるが、春妖が助け出す。
寒生は白扇、劉雲蘇、葵児の宿書を持って百霊潭に戻る。寒生は自分が人間であるため百霊潭にはいられないと冗談を言うが、春妖は寒生が棺桶で生まれた災いを呼ぶ存在だと告げ、腕の印を消して北陸国から出るよう促す。怒った寒生は走り去る。
春妖は寒生の去り際、白扇の言葉を思い出す。白扇は自分の愛する人の名を分かっていたが、春妖はまだその人の名前を知らない。
第6話の感想
第6話は、白扇の悲劇的な最期と、残された者たちの悲しみを描いた、非常に切ないエピソードでした。白扇の劉雲蘇への一途な想いは、最終的には悲劇へと繋がるという皮肉さが胸を締め付けます。真実を知らずに逝ってしまった劉雲蘇、そして全てを理解した上での白扇の最期は、涙なしには見られませんでした。
特に印象的だったのは、白扇が作り出した幻境の中で、それぞれのキャラクターが抱える未練や心の弱さが露呈されたシーンです。寒生は亡き母への想い、不凡は師匠からの教えへの葛藤、そして春妖は忘川河という自身の過去への向き合いなど、それぞれの心の闇が効果的に描かれていました。これらの描写を通して、登場人物たちの内面がより深く理解でき、物語への没入感を高めていました。
また、白扇の死後、不凡に葵児が現れるシーンも印象的です。白扇の姿に変えられた葵児は、不凡に受け入れてもらおうとしますが、不凡は冷たく突き放します。このシーンは、不凡の白扇への深い愛情と、同時に葵児の切ない片思いを描いており、複雑な感情が交錯する名シーンでした。
つづく