あらすじ

第七話では、寒生かんせい春妖しゅんようのやり取りを中心に物語が展開します。春妖しゅんように腹を立てた寒生かんせいは、突如現れた宿帳を追いかけるうちに、春妖しゅんようと危うくキスしそうになり、気まずい雰囲気に。春妖しゅんようは宿帳から、寒生かんせい春水しゅんすい仙人に関わりがあることを知り、彼女を百霊潭へ連れて帰ります。寒生かんせいはそこに住むことになりますが、春妖しゅんようは宿泊費を払うか、侍女として働くかを迫ります。これをきっかけに、寒生かんせいは宮廷での辛い日々や、亡くなった愛猫の煤球すすだまのことを思い出します。春妖しゅんよう寒生かんせいを慰め、周りの人がいじめられないよう強くなるように励まします。

また、寒生かんせいは法術を学びたいという思いを打ち明け、春妖しゅんようは彼女の才能を認め、厳しい修行を課しながら教え始めます。最後に、寒生かんせいは障眼法を試みますが、春妖しゅんように見破られてしまいます。そこで、術の制御能力を高めるため、春妖しゅんよう寒生かんせいに特別な訓練を受けさせることにします。

このエピソードは、困難な状況から抜け出そうとする寒生かんせいの決意と、彼女と春妖しゅんようの複雑な関係性を描いています。

ネタバレ

寒生かんせい春妖しゅんように腹を立て、目の前に現れた宿書しゅくしょを追いかけ始めました。すると春妖しゅんようも現れ、二人は危うくキスしそうになり、気まずい雰囲気に。春妖しゅんようが開いた宿書しゅくしょには寒生かんせいの過去が記されており、春水しゅんすい仙人との関係を知った春妖しゅんよう寒生かんせいを問い詰めますが、寒生かんせい自身も事情を理解していません。春妖しゅんよう寒生かんせいが隻者ではないと感じ、再び百霊潭へ連れて帰りました。

春妖しゅんよう孔澜こうらん寒生かんせいを客間に案内させ、寒生かんせいは満足げな様子。しかし春妖しゅんよう烏裳うしょうに部屋代を計算させ、寒生かんせいに返済を要求します。もしお金が足りない場合は、春妖しゅんようの侍女として働くことに。怒った寒生かんせい春妖しゅんように食ってかかりますが、烏裳うしょうから以前の侍女は白扇はくせんだと聞かされ、言葉を失います。

春妖しゅんよう白扇はくせんの世話に慣れていたので、一人で部屋で白扇はくせんとの日々を懐かしみます。しかし、過ぎた時間は戻らず、今は冥界で白扇はくせん劉雲蘇りゅううんそが幸せに過ごしていることを願うしかありません。

春妖しゅんようの屋敷で快適に過ごす寒生かんせいですが、宮廷での辛い日々、そして猫の煤球すすだまとの思い出が蘇ります。その時、外で猫の鳴き声が聞こえ、出てみると春妖しゅんようもいました。春妖しゅんようは、目の前の猫妖が転生しようとしており、最後に会いたい人がいるのだと説明します。寒生かんせいはそれが煤球すすだまだと気づき、涙ながらに煤球すすだまを抱きしめ、百霊潭ではもう辛い思いをさせないと誓います。煤球すすだま寒生かんせいを守り、寒生かんせいのせいで命を落としたため、春妖しゅんよう寒生かんせいに強くなるように諭します。

公主でありながら冷宮に追いやられ、今は春妖しゅんようの侍女。それでも寒生かんせいは前向きに現状を受け入れ、春妖しゅんように術を教えてもらうことを望みます。春妖しゅんよう寒生かんせいに素質を感じ、術を伝授することにしますが、一週間で呪文を全て覚えるように、さもなければ罰を与えると告げます。

春妖しゅんようの料理は数百種類もあり、料理人は寒生かんせいに全ての料理名を覚え、試食してから春妖しゅんように出すように指示します。書物には習得に五百年かかると書いてありますが、道具を使えば早く習得できると知った寒生かんせいは、毛布を被って春妖しゅんようの前に現れます。春妖しゅんよう寒生かんせいの障眼法を見破り、気づかないふりをしますが、毛布の臭いがひどく、次は綺麗なものを使うように忠告します。恥ずかしさのあまり、寒生かんせいは逃げ出します。春妖しゅんよう寒生かんせいの学習能力は高いものの、術の製御が未熟だと判断し、孔澜こうらん無垠ぶぎんの元へ連れて行くように指示します。無垠ぶぎんは弟子の小山しょうさん寒生かんせい司瞳しとうへ連れて行き、名簿に登録するように言います。しかし、他の妖怪と違い、寒生かんせいの出自は不明で、小山しょうさんと同じく「出処不明」と記録されます。

第七話 感想

第七話は、寒生かんせい春妖しゅんようの関係性が深まる重要なエピソードでした。宿書しゅくしょを通して明らかになった寒生かんせいの過去、そして春水しゅんすい仙人との繋がりは、今後の展開に大きく関わってくる伏線と言えるでしょう。寒生かんせい自身も自分の出自に疑問を抱き始め、物語に謎が深まりました。

特に印象的だったのは、煤球すすだまとの再会シーンです。宮廷での辛い日々を支えてくれた煤球すすだまとの別れ、そして百霊潭での再会は、涙なしには見られませんでした。寒生かんせい煤球すすだまを抱きしめながら、もう辛い思いをさせないと誓う場面は、彼女の優しさと強さが垣間見える感動的なシーンでした。この出来事をきっかけに、寒生かんせい春妖しゅんようから術を学ぶことを決意し、新たな一歩を踏み出します。

春妖しゅんようは相変わらず飄々とした態度ながら、寒生かんせいに対しては時に厳しく、時に優しく接しています。白扇はくせんへの想いを秘めながらも、寒生かんせいの成長を見守る姿には、どこか切なさも感じられました。今後、二人の関係がどのように変化していくのか、目が離せません。

つづく