あらすじ
第八話では、百霊潭を取り巻く様々な葛藤と、成人式を目前に控えた緊張感溢れる様子が描かれています。
孔澜と無垠は、昆侖鏡を修復するために必要な五色魔蓮について話し合っていました。一方、春妖の紹介で百霊潭を訪れた寒生は、司瞳に命を狙われる危機に陥ります。春妖が人間と交流していることに司瞳が不満を抱いていたためです。寒生を守ろうとした孔七は司瞳と衝突しますが、最終的には無垠が仲裁に入り、二人に経典の書き写しを罰として課します。
小山は寒生に成人式の重要性を説き、孔七には試験の贈り物として龍鱗匕首を渡そうとしますが、孔七は自分の力で手に入れたいと申し出ます。孔七は成人式を無事に乗り越えるため、雨神花を大切に育てていましたが、その雨神が小山であることを知ります。北斗星君は春妖に不吉な予兆について警告し、春妖は密かに寒生に法術を教え、成人式への準備を手伝います。
そんな中、孔七は法術の練習中に司瞳に挑発され、敗北して嘲笑されてしまいます。寒生は孔七の尊厳を守るため、司瞳に立ち向かい、春妖に法術の指導を仰ぎます。その後、孔七は一人で練習をしている最中に、司瞳が禁術を練っているのを偶然発見し、命の危険に晒されます。最後は足を滑らせ、穀底へと転落してしまいます。
ネタバレ
孔澜と無垠は春妖の昆侖鏡再鋳について話し合った。五色魔蓮探しは無垠に任せ、残りは孔澜が探すことに。
司瞳は、寒生が春妖の紹介で来たことを知りながら、彼を殺そうとする。春妖が人間と関わるべきではないと考えており、現に人間と親しくしている春妖を君主として認められないのだ。孔澜の息子、孔七は司瞳のやり過ぎを止めようとするが、司瞳は孔七の父を春妖の従者呼ばわりし、両者は争い始める。そこへ無垠が現れ、二人に経典の書き写しを罰として与えた。
小山は寒生に、もうすぐ成人式で多くの人が舞台に上がるが、心魔に打ち勝つことが最も難しいと伝え、心魔を製御するように忠告する。一方、仲間の嘲笑に怒った孔七は学堂を飛び出し、小山は彼を追いかけて慰め、百霊潭で一番のイケメン妖怪だと褒め、龍鱗匕首を試験前の贈り物として渡そうとする。しかし、孔七は男なら自分の力で贈り物をもらうべきだと考え、小山は成人式に合格したら匕首を贈ると約束する。そこに寒生が現れ、小山の落とした経典を返す。小山は無垠が経典を待っていることを思い出し、急いで戻る。寒生は小山と孔七の仲に気づき、邪魔するつもりはなかったと弁明する。孔七は、孔澜には子供たちの気持ちは理解できないと言う。幼い頃、孔澜は孔七に雨神花の世話を任せ、綺麗に咲かせれば願い事を一つ葉えてくれると約束した。孔七は毎日雨神花を大切に育てていた。孔七は再び雨神花に祈りを捧げ、成人式での成功を祈願する。すると雨神花は小山へと姿を変え、孔澜が現れ、小山は家係で言うと祖母の世代にあたるため、「おばあさま」と呼ぶように孔七に告げる。寒生はこの話を意外に思いながらも、小山が孔七に心から優しく接していることを感じる。
北斗星君は春妖を訪ね、以前の予兆に注意するよう忠告する。その時、寒生が春妖に食事を誘いに来て、北斗星君は慌てて姿を消す。
春妖の指示で生徒たちの術の練習を見守る小山は、孔七に分からないことがあれば何でも聞くように言うが、孔七は小山の世話になっていると感じ、彼女に近づきすぎるのを避けようとする。その時、司瞳が孔七に術比べを挑み、すぐに孔七を倒し、彼の背中に翼をつけ、皆で嘲笑する。寒生は見ていられなくなり、司瞳に立ち向かい、成人式で自分と孔七が合格したら見下さないように、もし合格できなかったら「お兄様」と呼ぶと宣言する。その後、寒生は春妖に助けを求め、師匠である春妖の面目に関わると訴える。寒生の本心を知った春妖は夜に術を教え、寒生は真剣に学び、すぐに習得する。孔七も真剣に術の練習に励み、小山は彼に食べ物を差し入れに行くが、孔七は食べる気になれない。小山は成人式を重く捉えすぎないように慰め、孫である孔七を一生守ると約束する。しかし、孔七は女に守られていると言われるのを恐れ、小山の孫でいることを嫌がり、怒って立ち去る。孔七は深山で司瞳が禁術を練習しているのを見つけ、司瞳は孔七の首を絞めて殺そうとする。孔七は誰かが来たと嘘をつき、司瞳は手を離し、孔七は隙を見て逃げ出すが、足を滑らせて穀底へ落ちてしまう。
第8話の感想
第8話は、登場人物たちの複雑な人間関係と、それぞれの抱える葛藤が描かれた、見応えのあるエピソードでした。特に、孔七と小山の関係性には胸を締め付けられます。小山は孔七を心から大切に思い、守り続けようとしていますが、孔七は小山の愛情を素直に受け取ることができずにいます。彼は「男らしくありたい」「誰かに守られるのは嫌だ」というプライドが邪魔をして、小山の優しささえも重荷に感じてしまうのです。幼い頃に孔澜から雨神花の世話を任された経験が、彼の中に「自分の力で何かを成し遂げたい」という強い思いを植え付けたのかもしれません。
一方、司瞳の冷酷さと傲慢さは、物語に緊張感を与えています。彼女は春妖のやり方に不満を抱き、人間との関わりを断つべきだと考えています。その信念は理解できる部分もありますが、寒生や孔七に対する態度はあまりにも冷酷で、見ていて心が痛みます。
寒生は、春妖を慕い、彼のためにも成人式で良い成績を残したいと願っています。その純粋な気持ちと努力する姿は応援したくなります。春妖もまた、寒生の思いに応えようと、夜遅くまで術を教えるなど、師匠としての責任感と愛情を見せています。
つづく