あらすじ

第二十七話は、主に錦帕の中に閉じ込められた白鳳九はくほうきゅうの日常と心情の変化を描いています。

東華帝君とうかていくんは上機嫌で、帕の中にいる鳳九を度々からかい、連宋とも親しく言葉を交わしていました。鳳九は空腹をしのぐため、自ら工夫を凝らし、時には料理を作り直すことさえありました。

そんな中、連宋が昊天塔の操練を誤り、一連の騒動を引き起こしてしまいます。 折顔せつがんが錦帕を取り戻しに天宮へやって来ますが、迫り来る争いに巻き込まれることを恐れた鳳九は、脱出を決意します。彼女は結界を破り、偶然にも眠っている東華の姿を見つけ、複雑な感情を露わにします。 愛する気持ちは変わらないものの、成長した鳳九は、以前よりも自尊心を強く持っていました。

そして、東華と燕池悟えんちご の対決の最中、激しい風に煽られた鳳九は崖から転落し、梵音谷へと落ちていきます。 そこは、甲子に一度しか谷が開かないという、稀に見る現象が起きている時でした。谷底で、同じく落ちてきた燕池悟えんちご と出会った鳳九は、彼が東華に対して深い誤解を抱いていることを知るのでした。

ネタバレ

東華帝君とうかていくんは最近上機嫌で、常に錦の帕を手放さず、微笑を絶やさない。そのため、太晨宮の侍従たちは暇を持て余している。一方、連宋は東華に付き合うため、神君殿で昊天塔の研究に没頭したり、東華と舟遊びや碁を打ったりと、てんてこ舞いしている。白鳳九はくほうきゅうは帕の中に閉じ込められたまま、じっと我慢していればいつか東華が飽きて解放してくれるだろうと考えていたが、東華はさらに悪戯好きになり、鳳九をからかいながら楽しそうに膳房へ向かう。

鳳九は空腹に耐えかね、連宋が東華を訪ねてきた隙にこっそり姿を現し、糖醋魚を味見する。しかし、味は以前と変わらず全く進歩がないため、仕方なく自分で作り直すことに。連宋は昊天塔の操作を誤り、重霖ちょうりんを塔の中に閉じ込めてしまう。神器を分解しても原因が分からず、最終的に東華に助けを求める。膳房からは良い香りが漂い、東華はその味に見覚えがあると感じ、仙娥の小九を思い出す。連宋は東華の考えを見抜き、成玉せいぎょくが病気だと大声で言って鳳九を誘き出そうとする。

阿離ありからの知らせで事情を知った折顔せつがんは、適当な理由をつけて天宮へ行き、東華に帕を返却するように求める。東華は簡単には渡さず、燕池悟えんちご との戦いを承諾し、戦いの前に上古十大神兵の一つである神剣蒼何を帕で拭こうとする。鳳九は明日には命が危ないと悟り、今夜中に帕から脱出しなければならないと決意する。術を使って結界を破り、寝台の傍らに現れた鳳九は、東華の寝顔に見惚れてしまう。

鳳九は立ち去ろうとして香炉を倒してしまう。東華を起こさないよう、昏睡術をかけ、かつて寒石草を植えた場所へ行き、青丘へ持ち帰るために掘り起こす。同じ場所を訪れても、鳳九の心境は当時とは違う。帝君の歓心を買おうと必死だった小狐は成長し、愛情は変わらないものの、自尊心を持つようになっていた。

東華は鳳九の後をつけ、涼亭で佇む彼女に昏睡術をかけ、眠っている顔をじっと見つめる。鳳九が目を覚ますと、まだ帕の中にいて、燕池悟えんちご が東華の前に立ち、姫蘅きこうとの仲を裂かれたことを恨んでいる。鳳九は燕池悟えんちご が魔族の乱暴者であることは知っていたが、こんなにハンサムだとは思っていなかった。東華は剣を振るい、七千の凡人の命を奪って魘魔の陣を破り、燕池悟えんちご を追い詰める。逆上した燕池悟えんちご は東華の腰から帕を叩き落とし、東華はすぐに帕を追いかけ、鳳九を守るための結界を張る。

しかし、突然激しい風が吹き荒れ、砂埃が舞い上がり、鳳九と燕池悟えんちご は吹き飛ばされて梵音穀へ落ちてしまう。そこはちょうど甲子に一度開く穀で、こんな偶然に遭遇するとは、鳳九は怒り心頭で、心の中で燕池悟えんちご を罵倒する。目を覚ました燕池悟えんちご は全身の痛みを感じ、鳳九に仕返しされたと思い込むが、鳳九は否定する。その後、燕池悟えんちご が東華は姫蘅きこうを深く愛していると思い込んでいることを知る。鳳九は姫蘅きこうと太晨宮で何度も揉めたことがあり、燕池悟えんちご姫蘅きこうへの褒め言葉を聞きたくないので、耳を塞ぐ。

第27話の感想

第27話は、コミカルな場面とシリアスな場面が絶妙に織り交ぜられ、見ていて飽きない展開でした。特に、東華帝君とうかていくんの鳳九への愛情表現が、相変わらずツンデレながらも深まっているのが感じられ、微笑ましいです。帕に閉じ込めたまま膳房へ行くなど、一見いじわるな行動も、鳳九のことを常に気にかけているからこそ。鳳九もまた、東華への想いを募らせながらも、以前のように盲目的に追いかけるのではなく、自尊心を持って行動しようとする成長が見られました。寒石草を掘り起こすシーンは、彼女の心境の変化を象徴的に表しているように感じます。

一方、連宋のコミカルな立ち回りも健在で、昊天塔のトラブルや、成玉せいぎょくの病気を口実に鳳九を誘き出そうとする場面など、物語に軽妙なスパイスを加えています。燕池悟えんちご の登場は、物語に新たな緊張感をもたらしました。彼の誤解に基づく東華への敵意は、今後の展開に大きな影響を与えそうです。東華が七千の凡人の命を奪うシーンは衝撃的でしたが、鳳九を守るという強い意誌の表れでもありました。

梵音穀への落下という予期せぬ展開で幕を閉じた第27話。鳳九と燕池悟えんちご の奇妙な共同生活が始まり、この先どのような冒険が待ち受けているのか、非常に楽しみです。二人の関係性の変化、そして東華との再会はいつになるのか、今後の展開から目が離せません。

つづく