あらすじ
第33話は、白鳳九と東華帝君との複雑な心のやり取りを描いています。修行中に鳳九が怪我をした際、帝君は表面上は冷淡で、修行の強度さえも上げていましたが、陰ながら優しく彼女の傷の手当てをし、仙術と羽化についての真実を説明して、彼女の不安を和らげました。二人の親密な時間は互いの正体を知られる危機を迎えましたが、どちらも巧みに切り抜けました。
一方、鳳九は宗学競技会に向けて楽器の練習に励んでいました。多くの困難に直面しながらも、音律の比試では良い成績を収めました。しかし、剣術の試合で、姫蘅が燕池悟 にこっそりと魔力を使い、彼は制御を失って鳳九を攻撃してしまいます。最後は帝君が止めに入りましたが、鳳九は勝利したものの、帝君が姫蘅を抱きかかえて去っていく姿を目にし、心に苦い思いを抱きました。
ネタバレ
白鳳九は相里萌を説得した後、燕池悟 と同行した。それを見て東華は嫉妬し、庭で彼女を待ち続け、言葉で意地悪をしたり、稽古で厳しくしたり、鳳九が雪桩から落ちても知らんぷりだった。夜、鳳九は体中傷だらけで眠りに落ちたが、東華はぶっきらぼうながらも木芙蓉の花膏を塗ってやった。鳳九は文句を言いながら、梵音穀に落ちた時無事だったのは東華の仙術から生まれた天罡罩のおかげだと知った。そして、その天罡罩は羽化と共に消滅してしまうことを聞かされ、動揺を隠せない。東華は慌てて慰め、彼女の不安を和らげた。
いつも冷静な東華の温情に、鳳九は思わず素の自分を見せかけ、危うく正体を明かしそうになるが、機転を利かせてごまかした。東華は悪戯っぽく鳳九の顔に花膏を塗ると、鳳九も仕返し、じゃれ合ううちに榻に倒れこむ。見つめ合う二人。我に返った鳳九は慌てて起き上がり、布団にくるまって眠るふりをした。東華の足音が遠ざかると、いつの間にか顔の花膏はきれいに拭き取られていた。
宗学の競技会に音律の試験があると知った鳳九は、楽器の練習に励むが、なかなか上達しない。一方、連宋から鳳九と燕池悟 の噂を聞いた東華は、嫉妬に駆られ、上の空で考え事ばかり。鳳九への指導も冷淡になり、鳳九は東華が姫蘅のことを想っているのだと勘違いする。彼女は東華に結界を解いて友人を招くよう勧めるが、東華は内心でさらに苛立ち、結界を二重に強化する。鳳九は彼の行動に困惑するばかりだった。
いよいよ競技会が始まり、姫蘅が音律試験の試験官を務める。潔緑と相里萌は試験をパスし、燕池悟 も何とか合格。鳳九は姫蘅に意地悪をされるも、練習の成果を発揮し、完璧に演奏を終えた。
比剣の会場に、東華は連宋と共に現れる。鳳九の傍らを通り過ぎるとき、少し足を止めるも何も言わずに去った。試合が始まり、激しい戦いが繰り広げられる中、連宋は東華と碁を打つ。やがて、鳳九、相里萌、燕池悟 、潔緑の四人が残る。潔緑が敗れ、相里萌は鳳九が青丘の帝姫に価ていることに気づき、気を取られて敗北する。
連宋は碁に熱中し、東華の碁石をこっそり取って勝利する。姫蘅は燕池悟 に魔力を注入し、こっそりと操って鳳九を襲わせる。東華は異変に気づき、鳳九を守ろうと姫蘅を気絶させ、脈を診る。
魔力の製御を失った燕池悟 は正気に戻り、鳳九に敗れる。優勝した鳳九だが、喜びも束の間、東華が姫蘅を抱えて去っていくのを見て、心は苦澀に染まるのだった。
第33話の感想
第33話は、東華と鳳九の関係性が大きく揺れ動く、切ないエピソードでした。鳳九への想いを自覚しながらも素直になれない東華の不器用さと、そんな彼に翻弄される鳳九の純粋さが際立っています。
特に印象的なのは、稽古中の東華の冷たさと、夜に怪我の手当てをする時の優しさのギャップです。鳳九が怪我をしても知らんぷりする一方で、夜には木芙蓉の花膏を塗ってあげる姿は、彼のツンデレっぷりを象徴しています。鳳九も、そんな東華の態度に戸惑いながらも、彼の優しさに触れて心が揺れ動いている様子が伝わってきました。
また、二人のじゃれ合いシーンは、見ているこちらも思わず顔が綻んでしまう可愛らしさでした。布団に倒れこみ、見つめ合う二人。まるで恋が始まる瞬間を切り取ったような、甘酸っぱい空気が漂っていました。しかし、正体に気づかれそうになった鳳九の慌てぶりや、東華が彼女の顔の花膏を拭き取っていたさりげない優しさなど、細かな描写からも二人の微妙な距離感が感じられます。
つづく