あらすじ

第四十話は、複雑な人間関係と陰謀が渦巻く宴を中心に展開します。宴席での白鳳九はくほうきゅう蘇陌葉そはくようの親密な様子に沈曄は心中穏やかではなく、橘諾きつだくからの過剰なもてなしにも辟易していました。嫦棣じょうていは琴を奏でて宴に華を添えた後、息澤そくたくを始空山へ護心草を取りに行かせたことを明かします。そこに突如として現れた東華は、白鳳九はくほうきゅうに魚湯を手渡し、嫉妬のあまり自ら護心草を取りに行ったと告白します。この行動に橘諾きつだく姉妹は強い不満を抱きます。

復讐心に燃える橘諾きつだく嫦棣じょうていは、白鳳九はくほうきゅうの茶に媚薬を盛るという罠を仕掛けます。しかし、彼女たちの企みは東華と蘇陌葉そはくように見破られ、逆に策略にはめられてしまいます。最終的に、橘諾きつだく夫子ふしと密通して子を身籠っていた罪で斬首刑に処され、嫦棣じょうていは琉璃灯を割った罪で流刑に言い渡されます。これらの出来事は、宮廷内の権力争いと、白鳳九はくほうきゅうを守るための東華の秘策を浮き彫りにします。同時に、阿蘭若あらんじゃくの死の真相を探るという、今後の展開への伏線を暗示しています。

ネタバレ

宴の席で、白鳳九はくほうきゅう蘇陌葉そはくようが楽しそうに話しているのを沉晔ちんようは見て、面白くない様子。橘諾きつだく公主の過剰なもてなしにもうんざりし、席を立った。舞踊の後、嫦棣じょうてい公主が琴を奏で、皆から賞賛を浴びる。そして、姉の橘諾きつだくの怪我の為に、息澤そくたくに始空山で護心草を取って来てもらったと話す。これを聞いた后は息澤そくたくの行方を尋ねた。

白鳳九はくほうきゅう嫦棣じょうていの言葉に仮論する。相裏闕は場を収め、話題を薬師に変える。薬師は三人の公主の冷え性を聞き、薊柏果の薬粥を用意した。その時、東華帝君とうかていくんが現れる。旅の疲れも見せず、落ち著いた様子で白鳳九はくほうきゅうに外套をかけ、席へ連れ戻す。茶茶ちゃちゃが東華の指示で白鳳九はくほうきゅうに湯を運ぶ。后の問いに、東華は九曲籠で怪我をした白鳳九はくほうきゅうの為に護心草を取りに行き、草の臭いを消す為に生姜を入れた魚湯を作ったと答える。

橘諾きつだく姉妹は顔を曇らせ、后も不満げな表情を見せる。東華は白鳳九はくほうきゅうへの深い愛情を隠さず、嫉妬さえ口にする。蘇陌葉そはくようは驚きを隠せない。緊迫した空気に、突如流れ星が現れ、皆の視線を奪う。おかげで蘇陌葉そはくようは難を逃れた。

面目を潰された橘諾きつだく嫦棣じょうていと共に陰謀を企てる。阿蘭若あらんじゃくの筆跡を真価て蘇陌葉そはくようを画舫に誘い、白鳳九はくほうきゅうの茶に媚薬「相思引」を盛る。しかし、蘇陌葉そはくようは手紙の微妙な違いに気づき、東華に報告する。そして、皆が画舫に集まった時、現れたのは蘇陌葉そはくようではなく息澤そくたくだった。東華は、阿蘭若あらんじゃくの字は蘇陌葉そはくようが教えたので違いが分かると説明する。相裏闕は自分の過ちを悟り、東華に謝罪した。白鳳九はくほうきゅうは東華が用意した解毒薬で回復し、事の顛末を知る。

度重なる橘諾きつだく姉妹の策略に、白鳳九はくほうきゅうは怒りを覚えるが、禁足が解けるまで待つことにする。しかし、宮中では橘諾きつだく夫子ふしと密通し妊娠、死罪となり功徳譜から除名されたという知らせが入る。嫦棣じょうていは瑠璃灯を割った罪で流刑となった。茶茶ちゃちゃ橘諾きつだくが実は傾画けいが夫人と先君相里殷しょうりいんの娘で、相裏闕が相里殷しょうりいんを殺した後、兄の血筋を残すため傾画けいが夫人を生かし、橘諾きつだくを育てさせたことを知る。時を経て、相裏闕は橘諾きつだくを排除しようと機会を伺っていたのだ。

前世でも橘諾きつだくはスキャンダルで失脚したが、今回は予定より一ヶ月以上早い。蘇陌葉そはくようは、これは東華が白鳳九はくほうきゅうを守るために事を早めたのだと推測する。阿蘭若あらんじゃくの死の真相を探るため、蘇陌葉そはくよう白鳳九はくほうきゅうに協力を求める。橘諾きつだくが鍵を握っていると考えているからだ。

第40話の感想

第40話は、陰謀と策略、そしてそれらを見破る知恵と愛情が複雑に絡み合い、息もつかせぬ展開でした。白鳳九はくほうきゅう東華帝君とうかていくんの絆の深さが改めて描かれる一方で、橘諾きつだく姉妹の悪巧みはより狡猾さを増し、物語に緊張感を与えています。

特に印象的なのは、東華帝君とうかていくん白鳳九はくほうきゅうを守るために行動する場面です。九曲籠での怪我を心配し、護心草を探しに行くだけでなく、その臭いを消すために魚湯を自ら作るという細やかな気遣いは、彼の深い愛情を物語っています。また、蘇陌葉そはくようへの嫉妬を隠さず口にする場面も、人間味あふれる東華帝君とうかていくんの魅力を引き出していました。

一方、橘諾きつだく姉妹の策略は、より陰湿さを増しています。阿蘭若あらんじゃくの筆跡を真価て蘇陌葉そはくようを罠に嵌めようとするなど、その周到さは恐ろしいほどです。しかし、蘇陌葉そはくようの機転と東華帝君とうかていくんの洞察力によって、彼女たちの企みは阻止されます。皮肉にも、彼女たちの悪行は自ら身を滅ぼす結果となり、因果応報を感じさせます。

つづく