あらすじ

第六話では、東華が姫蘅きこうと結婚するという知らせを聞いた白鳳九はくほうきゅうの複雑な心情が描かれています。

魔族の従者が姫蘅きこうを太晨宮へ送り届け、鳳九は驚きと嫌悪感を抱きます。連宋は成玉せいぎょく元君への贈り物として多機能の小刀を考案し、東華に製作を依頼します。鳳九は小刀のデザイン改良を通して東華の関心を引こうとしますが、姫蘅きこうの到着によってその試みは中断されてしまいます。

誤解から、東華は姫蘅きこうに小刀製作の手伝いを頼み、鳳九は落胆します。姫蘅きこうは東華への想いを募らせ、優れた陶芸の腕前も披露し、鳳九はさらに自信を失っていきます。

ついには、嫉妬に駆られた鳳九が姫蘅きこうを傷つけてしまい、東華に罰せられ閉じ込められてしまいます。それでも鳳九は去る前にこっそり太晨宮に戻り、東華の生活を目にし、自嘲と悲しみで胸を締め付けられます。

この話は、鳳九の心の葛藤と、東華と姫蘅きこうの関係の発展を深く描き出しています。

ネタバレ

魔族の従者が姫蘅きこうを太晨宮へ送る。東華が姫蘅きこうを娶ると聞き、白鳳九はくほうきゅうは驚き、姫蘅きこうへの嫌悪感を露わにする。連宋は成玉せいぎょく元君への贈り物として多機能の小刀を考案し、東華に製作を依頼する。東華は当初乗り気ではなかったが、連宋が貴重な瓷土の地図を提供すると聞き、協力することに。玄冥小夫人の嫉妬対策として、東華は連宋に金銀財宝を贈り、自分は瓷土アレルギーだと偽るよう助言。そうすれば成玉せいぎょくの誕生日に更に多くの瓷土が手に入ると考えたのだ。

この会話を偶然耳にした白鳳九はくほうきゅうは、図面に心を奪われる。東華の気を引く好機と捉え、小刀のデザイン改良を思いつき、司命しめい 殿へ助けを求める。東華が材料を取りに戻った時、白鳳九はくほうきゅうはまだ作業中だった。そこに姫蘅きこうが訪ねてきて、手伝いを申し出るも断られ、置き手紙だけを残す。東華は書き置きを姫蘅きこうのものだと勘違いし、翌日、小刀製作の協力を依頼する。姫蘅きこうは快諾する。

自分の努力が姫蘅きこうに横取りされたと思い込んだ白鳳九はくほうきゅうは、怒りのあまり姫蘅きこうを噛んでしまう。東華に叱責され、部屋を追い出されるが、気が変わり探しに来た時に自分がいないと困ると思い、こっそり戻る。しかし、東華と姫蘅きこうが仲睦まじく作業する姿を目にし、失意と傷心の中、立ち去る。

姫蘅きこうは東華に屏風を描いてもらうことに成功する。政略結婚とはいえ、東華への想いを募らせていく。司命しめい 殿で白鳳九はくほうきゅうの改良図面を見た成玉せいぎょくは、気に入らず、連宋の関与を知る。

翌日、東華は姫蘅きこうを連れ、林園で焼き物をする。白鳳九はくほうきゅうは木陰から様子を窺う。姫蘅きこうの腕前に、白鳳九はくほうきゅうは劣等感を抱く。姫蘅きこう白鳳九はくほうきゅうに碗の底に爪痕を押させようとした時、自尊心を傷つけられた白鳳九はくほうきゅう姫蘅きこうの顔を引っ掻いてしまう。激怒した東華は重霖ちょうりん白鳳九はくほうきゅうを連れ去り、閉じ込めるよう命じる。重霖ちょうりんから姫蘅きこうが体が弱く、血に弱いことを聞かされ、自分の過ちに気づいた白鳳九はくほうきゅうは償いをしようとするが、雪獅に襲われ重傷を負う。幸いにも司命しめい に助けられる。

司命しめい は傷ついた白鳳九はくほうきゅうを介抱し、様々な神仙に薬を求める。東華と姫蘅きこうの婚礼が二日後だと知り、白鳳九はくほうきゅうは青丘へ帰ることを決めるが、その前に東華に一目会いたいと願う。司命しめい に連れられ、こっそり太晨宮へ行き、東華と姫蘅きこうの姿を目にする。東華が仏鈴花剣法の稽古をするのを見ながら、白鳳九はくほうきゅうは自嘲と悲しみに暮れる。彼女の涙が仏鈴花に落ちた時、東華は何かを感じて足を止めるが、結局は去ってしまう。

この話は、白鳳九はくほうきゅうの心の葛藤と東華への複雑な想いを描きつつ、東華と姫蘅きこうの関係が徐々に深まっていく様子も描いている。

第6話の感想

第6話は、白鳳九はくほうきゅうの切ない片思いが胸を締め付けるエピソードでした。東華への想いを募らせながらも、素直になれないもどかしさ、そして姫蘅きこうへの嫉妬と焦りが、彼女の幼さゆえの過ちへと繋がっていきます。

特に印象的だったのは、焼き物のシーン。姫蘅きこうの器用さと、それに対する白鳳九はくほうきゅうの劣等感、自尊心の傷つき方が繊細に描かれていました。思わず碗に爪痕を残してしまう衝動は、子供っぽくも、彼女の心の脆さを物語っています。その後の雪獅に襲われるシーンは、まさに自業自得とはいえ、見ていて痛々しく、彼女の苦しみがひしひしと伝わってきました。

一方、東華は相変わらず鈍感で、白鳳九はくほうきゅうの気持ちに全く気づいていない様子。姫蘅きこうとの穏やかなやり取りは、白鳳九はくほうきゅうにとっては辛い光景だったでしょう。彼が仏鈴花剣法の稽古中に一瞬足を止めたのは、白鳳九はくほうきゅうの涙を感じ取ったのでしょうか?それともただの偶然?彼の真意が分からず、さらにやきもきさせられます。

つづく