あらすじ

第十六話は、柳眠棠りゅうみんとう崔行舟さいこうしゅうの交流と、彼らが巻き込まれる複雑な政争を中心に展開します。

温泉でくつろぐ柳眠棠りゅうみんとうは、崔行舟さいこうしゅうの心遣いを感じ、彼に対する印象を改めます。彼女が褒美を求めて崔行舟さいこうしゅうに近づくと、崔行舟さいこうしゅうは彼女の美しさに緊張し、ついには水に飛び込んでクールダウンしようとします。その最中、趙泉ちょうせんが軍からの知らせを持ってきて、崔行舟さいこうしゅうが大量の薬酒を誤飲していたことに驚きます。

阿骨善あこつぜんは朝廷と戎部の間で行われている鉄鉱石取引の秘密を暴露し、崔行舟さいこうしゅうに介入しないよう警告します。石義寛せきぎかん阿骨善あこつぜんが捕らえられたことを知り、真相を隠蔽するために崔行舟さいこうしゅうを排除しようと企てます。

一方、柳眠棠りゅうみんとうが以前助けた妊婦は淳月じゅんげつ公主であることが判明し、彼女は自由と引き換えに帳簿を渡すことに同意します。柳眠棠りゅうみんとう淳月じゅんげつを見送り、贈り物として玄鉄の匕首を受け取りますが、これが彼女の過去の記憶を呼び覚まします。

最後に、崔行舟さいこうしゅう趙泉ちょうせんは通関記録を調査するため栖州へ向かいます。鉄鉱石取引の真相を解明しようとしますが、大きな危険が伴います。それでも崔行舟さいこうしゅうはこの隠れた脅威を解決しようと決意します。

ネタバレ

柳眠棠りゅうみんとうは温泉で温まり、崔行舟さいこうしゅうは温かい飲み物を用意して待っていた。彼の心遣いに、眠棠は喜びを感じ、以前感じたような「放蕩息子」のイメージはすっかり消えていた。

眠棠は行舟に近づき褒美を求めた。湯上がりの眠棠の美しい肌に、薬酒を飲んでいた行舟はドキドキし、慌てて水に飛び込んでクールダウンした。

そこに趙泉ちょうせんが軍務の報告に来た。眠棠から行舟が薬酒をたくさん飲んだと聞き、驚愕する。少量ずつ飲むべき薬酒を、眠棠は知らずに半壺も行舟に飲ませてしまったのだ。

阿骨善あこつぜんが行舟に面会を求めてきた。朝廷と戎部の鉄鉱取引、そしてそれが今回の戦争の原因だと明かす。朝廷の後ろ盾があるため、行舟には手出しできないと高圧的な態度を見せる。行舟は、この戦いが太后の言うような侵略者への対応ではないと悟り、事態の複雑さを認識する。

石義寛せきぎかん阿骨善あこつぜんが生け捕りにされたと知り激怒する。行舟と阿骨善あこつぜんが共倒れになることを期待していたのに、行舟は無傷で、阿骨善あこつぜんは捕虜となった。鉄鉱の件を隠蔽するため、石義寛せきぎかんは太后を無視して行舟を抹殺しようと企む。

以前眠棠が助けた妊婦は戎部の淳月じゅんげつ公主だった。行舟は公主の解放と引き換えに、朝廷と戎部の鉄鉱取引の帳簿を渡すよう要求する。父の死によって帳簿の意義を失っていた淳月じゅんげつは、要求に応じる。眠棠の家で行舟を見たことがある淳月じゅんげつは、彼女が何も知らないことを察し、行舟は眠棠を守ることを約束する代わりに秘密を守るよう淳月じゅんげつに頼む。

淳月じゅんげつとの別れ際、眠棠は彼女に玉佩を贈り、淳月じゅんげつからは玄鉄の匕首を贈られる。「親友への贈り物」と言われたその匕首を見て、眠棠は過去に同じような匕首をもらった記憶が蘇る。最近の夢や戎部の言葉から、眠棠はこの地になぜか懐かしさを感じ、かつてここで暮らしていたような気がしていた。

行舟は趙泉ちょうせんと共に栖州へ行き、通関記録を調べる。鉄鉱の輸送があれば必ず栖州を通るはずだ。三年分の記録を調べたが、阿骨善あこつぜんが権力を握った頃から記録が途絶えている。阿骨善あこつぜんの証言によると、朝廷側が約束を破り先代を暗殺したことが、今回の争いの発端だという。太后はこの事実を知らされていない。行舟は黒幕を暴こうとするが、趙泉ちょうせんは危険すぎると止める。しかし、行舟はこの問題を解決しない限り、将来の禍根になると考えている。

第16話の感想

第16話は、物語の核心へと迫る重要な転換点と言えるでしょう。これまで、眠棠と行舟のロマンスを中心に展開してきた物語が、朝廷と戎部の鉄鉱取引という陰謀に深く切り込んでいく様子が描かれています。

眠棠と行舟の仲は温泉でのシーンでさらに深まりました。行舟の心遣いに眠棠が喜びを感じる様子は、二人の信頼関係が築かれていることを感じさせます。しかし、そんな穏やかな時間も束の間、阿骨善あこつぜんの登場により物語は急展開を迎えます。鉄鉱取引の存在、そしてそれが戦争の真の原因であるという事実は、行舟だけでなく視聴者にも大きな衝撃を与えました。これまで「侵略者」とされてきた戎部にも事情があり、太后さえも真相を知らされていないという複雑な状況に、物語は一気に緊迫感を増します。

石義寛せきぎかんの暗躍も不気味です。阿骨善あこつぜんを生け捕りにした行舟を抹殺しようとする彼の行動からは、鉄鉱取引に関わる人物たちの焦りや絶望感が伝わってきます。今後、行舟は朝廷内部の敵とも戦わなければならず、ますます困難な状況に追い込まれていくことが予想されます。

つづく