あらすじ
第29話は、崔行舟が懿旨を受けたものの、足の負傷により北周王府に留まり、宮中に戻れなくなってしまった様子を描いています。趙泉が彼の怪我を「歩行や子孫を残す能力に影響する」と大げさに吹聴したため、崔行舟は復命を果たせなくなってしまったのです。
一方、柳眠棠は祖父の計らいで新たな縁談を受けますが、相手の急激な経済状況の好転に疑念を抱きます。崔行舟はこの知らせに焦燥し、綏王が柳眠棠を襲撃した際には、彼女を救うために立ち上がります。
また、石義寛は皇帝の寵愛を笠に著て、太廟での尊位を求めます。皇帝は綏王への牽製として、これを拒絶しませんでした。娘の石雪霽は裏帰りの際に父の野心を諫めますが、逆に激しく叱責され、親子の情は断ち切られてしまいます。
ネタバレ
崔行舟(さいこうしゅう)は皇帝の勅命を受けながらも、すぐには帰京しなかった。北周の王爷は、皇帝が崔行舟を留めていると誤解するのを恐れ、早く戻るよう促した。しかし、崔行舟には帰京すれば舞華(ぶか)公主との結婚が待っているという、言い難い事情があった。その時、王爷の幼い息子が馬の製御を失い、暴走し始めた。崔行舟は子供を助けようと馬を追いかけ、足を負傷してしまう。王爷はすぐさま御医の趙泉(ちょうせん)を呼んだ。
趙泉は崔行舟の怪我を診察した後、わざと大げさに「歩行困難になり、子孫を残すことも難しくなるかもしれない」と告げた。勅命を伝えに来た宮人は、病床に伏せる崔行舟を見て、回復を待つように伝え、皇帝に現状を報告すると約束した。
崔行舟は柳眠棠(りゅうみんとう)を案じ、趙泉に手紙を託して自分の帰りを待っていてほしいと伝えた。趙泉は柳眠棠のもとを訪れたが、彼女は崔行舟に聖旨に背かせたくないという思いから、面会を拒否した。趙泉は柳眠棠から賀珍(がちん)の消息を聞き、すぐに賀珍を探しに向かった。賀珍は趙泉を試すため、人裏離れた場所に隠れていたが、足を引きずる趙泉はついに彼女を見つけ出し、二人は和解した。
その後、柳眠棠のもとに求婚者が現れた。その男は青桜(せいおう)のかつての婚約者で、賭博の借金から逃げていた男だった。柳眠棠の叔父は、男が借金を返済し、百畝もの田畑を所有していることを知って驚いた。柳眠棠は何か裏があると疑ったが、祖父はこの縁談を承諾してしまった。
柳眠棠が結婚に同意したと聞いた崔行舟は、いてもたってもいられず、密かに調査をさせた。すると、綏王(すいおう)が柳眠棠を殺そうとしていることが判明した。崔行舟はすぐさま兵を率いて駆けつけ、敵を撃退した。柳眠棠は危険を察知し、事前に鏢師(ひょうし)と共に祖父の家から避難していた。柳眠棠は崔行舟に冷淡な態度をとったが、再会できた崔行舟は幸せを感じていた。
石義寛(せきぎかん)は国丈となって傲慢になり、三度に渡り太廟への参拝を要求した。皇帝は不満を抱きながらも、綏王への牽製として石義寛を利用するため、要求を拒絶しなかった。
皇后・石雪霽(せきせつせい)は初めて裏帰りし、家族に贈り物を持参したが、姉は贈り物が粗末だと文句を言った。そこに現れた石義寛は娘を平手打ちし、姉は泣きながら去っていった。石雪霽は心の中で解放感を感じた。石義寛が太廟参拝について尋ねると、石雪霽は現状を分析し、虚名のために皇帝を煩わせるべきではないと助言した。しかし、石義寛は再び石雪霽を平手打ちし、彼女の中に残っていたわずかな親情も打ち砕かれた。
第29話の感想
第29話は、崔行舟と柳眠棠の愛の行方がさらに波乱万丈になる展開に、ハラハラドキドキさせられました。崔行舟は皇帝の勅命と、愛する女性との間で板挟みになり、苦悩する姿が切ないです。怪我を負いながらも柳眠棠を案じる姿は、彼の深い愛情を感じさせます。一方、柳眠棠は崔行舟への想いを押し殺し、冷淡な態度をとるものの、その心中には複雑な感情が渦巻いているのが伝わってきました。二人のすれ違う想いに、もどかしさを感じながらも、今後の展開に期待が高まります。
また、趙泉と賀珍の再会は、胸を打つシーンでした。互いを思いやる気持ちは変わらないものの、簡単には埋まらない溝があることを感じさせます。趙泉のひたむきな姿に、賀珍の心が揺れ動く様子が繊細に描かれており、二人の関係がどのように変化していくのか、注目したいです。
つづく