あらすじ
第一話では、韓紫晴がM国国境付近で生物資源を探していたところ、思いがけず時代劇のような世界へとタイムスリップしてしまう様子が描かれます。彼女は宰相の屋敷で目を覚まし、屋敷の庶出の娘・韓紫晴と間違えられます。しかし、本当の韓紫晴、つまり彼女自身の記憶の中にある韓汐兒は、選妃のことを企んでいるようで、紫晴の出現には無実を装っています。
全く新しい身分と環境に置かれたことに気づいた紫晴は、本来の臆病な韓紫晴とは全く異なる毅然とした態度を見せます。嫡母が勧める結婚を拒否し、この体の持ち主の過去の記憶を辿り始めます。そこには、母親が残した謎めいた匕首の存在も含まれていました。
同時に、物語は第四皇子の毒殺未遂事件と、韓汐兒が関わっている可能性のある陰謀についても明らかにし、背後にあるより大きな権力闘争を暗示しています。韓紫晴は自らの運命を握ろうと決意し、揺るぎない意志を示します。
ネタバレ
M国国境付近で、韓紫晴は資源調査隊を率いて生物資源を探していた。一行は大きな蛇に遭遇し、警戒を強める。進むうち、洞窟から発信されていると思われる強い通信シグナルを感知。紫晴は一人で洞窟内へと入る。そこで見つけた短剣に触れた瞬間、閃光が走り、紫晴は気を失う。
目を覚ますと、そこは時代劇のような光景。見知らぬ女に衣裳不整を咎められ、捕まえられそうになるが、紫晴は難なく彼女を製圧する。誰かが紫晴に水をかけたことで、昨夜の記憶が蘇る。韓汐兒を部屋まで送り届けた後、再び意識を失ったのだ。夢かと思いながらも、女の服を奪い著て彼女を捕らえ、汐兒を呼ぶよう命じる。
捕らえたまま母を連れて相府の門前に著くと、汐兒は騒ぎに気づいていたが、選妃への影響を恐れ、門を開けようとしない。野次馬が集まる中、紫晴は一歩も引かず、汐兒が出てくれば全て分かると言い張る。やがて帰宅した父は、この体たらくを窘め、鞭を振るう。紫晴は鞭を掴み抵抗し、汐兒との面会を要求。ついに汐兒が現れるが、彼女は全て紫晴のせいだと無実を装う。
野次馬の中にいた店主が説明する。昨夜、陳公子が上等の部屋を予約していたが、紫晴に間違えて提供され、今朝、顔を確認せずに追い出されたのだと。そこに陳公子が現れ、謝罪し、紫晴との結婚を申し出る。父は驚きを隠せないが、紫晴は昨夜会った男とは別人だと気づく。父は野次馬を追い払い、離れた場所で数人が、紫晴が漠尋の毒に何故か侵されていないことを不審に思い、調査しようと企む。
土下座して許しを乞う二人に対し、紫晴はただ腹が減ったと告げる。父は心配そうにあれこれ尋ねるが、紫晴は黙り込む。まま母は紫晴を陳家に嫁がせようとするが、紫晴は拒否。まま母と汐兒から受けた仕打ちを思い出し、自分の事は自分で決めると宣言。汐兒が謝罪の茶を差し出すも、紫晴はそれを地面に叩きつける。
部屋に戻る途中、豪華な部屋を横目に、紫晴は隣にある自分の粗末な部屋に愕然とする。雲曦が食事を取りに行っている間、紫晴は彼女が唯一の真心のある味方だと感じる。部屋で、母の箱に入っていた短剣と同じものが洞窟にあったことを思い出すが、箱は空っぽだった。そこへ雲曦が麺を持って来る。
府中の人々は四王子の到著を待っている。次男だけが、彼が毒に侵され来られないことを知っている。しかし、四王子は姿を現し、次男と母は困惑する。一体何が起きたのか。その時、相府の門前で騒動があり、汐兒が四王子に嫁ぐため、妹を陥れたという噂が広まっているとの知らせが入る。次男と母は、なんとしても四王子と相府の縁談を阻止しようと決意する。
第1話感想
「北月と紫晴~流光に舞う偽りの王妃~」第1話は、まさに怒涛の展開で、今後の物語への期待感を高めてくれるものでした。現代の資源調査隊員である韓紫晴が、謎の短剣に触れたことで時空を超え、見知らぬ世界へと飛ばされるという導入は、非常に引き込まれるものがありました。
特に印象的だったのは、韓紫晴のキャラクターです。突然の状況変化にも冷静さを失わず、持ち前の機転と行動力で危機を乗り越えていく姿は、まさに現代女性らしい強さを感じさせます。理不尽な扱いを受けても屈することなく、自分の意思を貫き通す芯の強さは、今後の展開でどのように描かれるのか、非常に楽しみです。
一方、韓汐兒をはじめとする周囲の人物たちの思惑も複雑に絡み合い、今後の波乱を予感させます。韓紫晴の身に起きた出来事の真相、そして彼女が元の世界に戻れるのかどうか、様々な謎が提示され、続きが気になって仕方がありません。
また、時空を超えたという設定だけでなく、漠尋の毒といったファンタジー要素も加わり、物語に深みを与えています。韓紫晴が何故毒に侵されないのか、この謎も今後の鍵となるのではないでしょうか。
つづく