あらすじ

まず、君北月くんほくげつ夢族長むぞくちょうとの会話です。夢族長むぞくちょう君北月くんほくげつの母が家を出た理由を明かしますが、詳しい説明は避けます。

一方、南照王なんしょうおう楚天戈そ てんかからの天闕てんけつへの出兵要請に対し慎重な姿勢を見せ、直接参戦するのではなく後方支援を決定します。これに楚天戈そ てんかは不満を抱きますが、牽制のため軍事行動を起こします。

また、曉笙しょうせい百里尾生ひゃくりびせいの世話を焼きますが、彼の行動に苛立ちと心配を募らせます。

物語が進むにつれ、君北月くんほくげつ楚天戈そ てんかの国境付近での動きを知らされます。同時に、軒轅離歌けんえんりかにも不穏な動きが見られます。

血徵の件を処理していた韓紫晴かんしせいは襲撃を受けますが、黒衣の者に救われます。この黒衣の人物は実は君北月くんほくげつの母であり、彼女は自らの正体を明かし、過去の出来事を語ります。しかし、君北月くんほくげつはまだわだかまりを解き切れません。

最終的に、韓紫晴かんしせいの支えもあり、君北月くんほくげつは心を開き、母と和解します。天闕てんけつに戻った後、韓紫晴かんしせい君北月くんほくげつに母と過ごすよう促し、十両じゅうりょうの秘めた想いも徐々に明らかになっていきます。

ネタバレ

夢族長むぞくちょうは短い滞在の後、帰郷の途につきました。北月ほくげつは別れを惜しみつつも引き留めることはできず、母妃のことを少しでも聞こうとします。族長は、母妃がかつて自身と喧嘩別れをし、家を出て行ったこと、そして既に亡くなっていることを告げるのみで、多くを語りませんでした。北月ほくげつもそれ以上は問いませんでした。

南照王なんしょうおう紫晴しせいの動向を注視しており、解放されたことを知ると、楚天戈そ てんかからの天闕てんけつへの出兵要請に頭を悩ませます。南照王なんしょうおう大国師だいこくしは出兵を望んでおらず、大国師だいこくしは表向きは和平を維持しつつ、楚天戈そ てんかに出兵するなら後方支援を行うと伝える策を提案します。彼らの真の標的は天闕てんけつではないため、この案は南照王なんしょうおうに受け入れられました。楚天戈そ てんかは激怒しますが、南照には手出しできず、既に進軍を開始した部隊を天闕てんけつへの威嚇に使うしかありませんでした。彼は心底憤慨していました。

曉笙しょうせい百里尾生ひゃくりびせいを献身的に看病します。南照で自分を見捨てた尾生に腹を立てていましたが、今の彼の様子を見て心配し、死んでしまうのではないかと恐れていました。北月ほくげつは、楚天戈そ てんかが国境付近で動きを見せているとの知らせを受けますが、脅威とは捉えていませんでした。しかし、意外なことに軒轅離歌けんえんりかも何らかの行動を起こしているようでした。翌日、北月ほくげつ紫晴しせい司徒しと芊芊せんせんを見送ります。二人の結婚も間近に迫り、皆が喜びに満ちていました。夢家の次男と三男は帰郷後すぐに族長に罰せられます。族長は、かつて才能に恵まれた長女でさえ過ちを犯して追放されたのだから、二人を許すわけにはいかないと嘆きました。

百里尾生ひゃくりびせいの容態は徐々に回復し、ついに南照から盗んだ血徴を紫晴しせいに渡します。紫晴しせい十両じゅうりょうにそれを部屋にしまうよう指示しますが、十両じゅうりょうは他の男の物を保管すべきではないと口にします。紫晴しせい十両じゅうりょうを一瞥し、十両じゅうりょうは慌てて言い訳をしました。その後、北月ほくげつが現れ、十両じゅうりょうは血徴の話を持ち出します。北月ほくげつでさえ、紫晴しせいの下人は主従の区別がついていないと感じました。夜、紫晴しせいが部屋に戻ると血徴は消えていました。顧惜こしに尋ねると、十両じゅうりょうが琴を持って出て行ったことが分かり、紫晴しせいはすぐに追いかけます。十両じゅうりょうを見つけ出すも、問いただす間もなく南照らしき者たちに襲撃されます。黒衣の男に助けられ、紫晴しせいは難を逃れました。夜、北月ほくげつ紫晴しせいが寝ようとしていると物音が聞こえ、現れたのはあの黒衣の男でした。男は面紗を取り、自分が北月ほくげつの母であると明かします。北月ほくげつは、かつて騙されて離宮を爆破された話を聞きながらも、母を許せずにいました。一人で屋上で酒を飲む北月ほくげつ紫晴しせいが慰め、北月ほくげつは心を開放し、翌日、去ろうとする母を引き留めます。一同は天闕てんけつへ帰還しました。

天闕てんけつに戻り、紫晴しせい北月ほくげつに母と親しく過ごすよう促します。一方、十両じゅうりょう北月ほくげつの下著を用意するという大胆な行動に出ます。紅衣こうい十両じゅうりょうの僭越を咎めますが、十両じゅうりょうは仮発します。顧惜こし十両じゅうりょうの異変に気付き、殿下を好きかと問いただします。十両じゅうりょうは言葉を失いました。

第30話の感想

第30話は、様々な感情が交錯する展開で、物語の核心に迫る重要な回でした。特に、北月ほくげつと母の再会は、長年の確執と葛藤が解消される感動的な場面でした。騙されて離宮を爆破されたという辛い過去を持つ北月ほくげつが、母を許すまでの心の葛藤が丁寧に描かれており、紫晴しせいの存在が彼の心を支えている様子も印象的でした。

また、十両じゅうりょう北月ほくげつへの秘めた想いが明らかになる場面も、今後の展開を暗示する重要なポイントです。下克上とも言える彼女の行動は、波乱を巻き起こす予感を感じさせます。紅衣こういとの対立も、今後の見どころの一つとなるでしょう。

一方、南照王なんしょうおう楚天戈そ てんかの駆け引きは、緊張感を高める要素となっています。天闕てんけつを巡る争いは、ますます複雑化しており、今後の展開が予測できません。それぞれの思惑が交錯する中、どのような結末を迎えるのか、目が離せません。

つづく