あらすじ

第38話は、離歌りか婉約えんやくの対立を中心に展開します。離歌りかは匕首を抜くものの、婉約えんやくを攻撃できず、逆に物音で彼女を目覚めさせてしまいます。婉約えんやくは自らの正体を明かし、離歌りかが五行の元素を宿す天選之人であり、自らの呪毒を解くことができる唯一の存在だと告げます。婉約えんやくは五行の元素を吸収しようとしますが、百里尾生ひゃくりびせい暁夢しょうむが間一髪で駆けつけ、離歌りかを救出します。

戦闘の中、離歌りかは秘めた力を爆発させ、婉約えんやくを重傷を負わせ死亡に至らしめますが、自身も吹き飛ばされてしまいます。秦嬷嬷しんまま離歌りかの死を東陵王に報告しますが、彼は冷淡に受け流し、吟悦公主ギンエツこうしゅを後継者に指名し、昭汐しょうせき公主は失脚します。真実を知った昭汐しょうせき公主は兄の仇を討つことを決意し、秦嬷嬷しんままと共に南照へ向かい、沁妃しんひを頼ります。

離歌りかの訃報を受けた沁妃しんひは、大国師だいこくしと手を組み、伝音石を使って韓紫晴かんしせいをおびき出し、抹殺しようと企てます。そして、君北月くんほくげつが屋敷に戻ると韓紫晴かんしせいが拉緻されたことを知り、南照への開戦を決意します。

ネタバレ

離歌りかは苦労して短剣を抜いたが、婉約えんやくを刺す力は残っていなかった。物音で目を覚ました婉約えんやくは、正体を明かし、離歌りかにかけられた父親の結界を見抜く。その結界は離歌りかの体内の五行之元を活性化させるもので、五行之元を持つのは天命を受けた者だけ、つまり離歌りかこそが天選之人だったのだ。五行之元は婉約えんやくの呪毒を解くことができ、南照の脅威から逃れられる。その後、婉約えんやく韓紫晴かんしせいを狙うが、離歌りかは拒否し、婉約えんやくを殺そうとする。しかし、婉約えんやくは自身に結界を張っており、離歌りかは手出しできない。婉約えんやくはそのまま五行之元を吸収し始める。

百里尾生ひゃくりびせい暁夢しょうむを助け、二人は離歌りか婉約えんやくを探しに行く。百里尾生ひゃくりびせいは二人が隠れた場所を予測し、見事に見つける。百里尾生ひゃくりびせい暁夢しょうむは結界を破ろうと必死になる。婉約えんやくも異変に気付き、離歌りかが五行之元を無理やり活性化させ、道連れにしようとしていると悟る。爆発的な力の解放により、離歌りかは吹き飛ばされ、婉約えんやくも重傷を負い死亡する。百里尾生ひゃくりびせい離歌りかの名を叫ぶが、返事はない。秦嬷嬷しんままが洞窟に辿り著き、暁夢しょうむは最後の力を振り絞り、離歌りか婉約えんやくに殺されたことを伝える。秦嬷嬷しんままは東陵に戻り、王に離歌りかの仇討ちを願うが、王は離歌りかの余命が短いことを知っており、全く気に留めない。そして吟悦公主ギンエツこうしゅを後継者に指名する。昭汐しょうせき公主は母上が吟悦公主ギンエツこうしゅを後継者に決めたことを知り、深く傷つく。

秦嬷嬷しんままは王を説得できず、昭汐しょうせき公主に会う機会を伺う。離歌りかの死を伝え、君北月くんほくげつの母親の仕業だと告げるが、既に亡くなっているため、今は君北月くんほくげつの責任だとする。昭汐しょうせきは自分と兄が母の駒でしかなかったことを悟り、兄を思い、復讐を決意する。夜、秦嬷嬷しんまま昭汐しょうせきと協力して侍衛の注意を逸らし、昭汐しょうせきは脱出に成功する。二人は南照へ行き、沁妃しんひに会う。沁妃しんひ離歌りかからの連絡が途絶えており、離歌りかの死の知らせに動揺するが、秦嬷嬷しんままの証言で事実を受け入れる。離歌りか韓紫晴かんしせいと伝音石で連絡を取っており、その伝音石は沁妃しんひが贈ったものだった。沁妃しんひ韓紫晴かんしせいへの復讐を決意する。

沁妃しんひのもとに大国師だいこくしが現れる。大国師だいこくし沁妃しんひ離歌りかに送った手紙を発見していた。沁妃しんひは全てを悟り、韓紫晴かんしせいを殺すことだけを願い、その後は罰を受け入れる覚悟をする。大国師だいこくし韓紫晴かんしせいを狙っており、二人は手を組む。沁妃しんひは伝音石で琴を弾き、離歌りかを装って韓紫晴かんしせいをおびき寄せようとする。韓紫晴かんしせい離歌りかの安否を心配しており、何となく伝音石を取り出すと、音が聞こえてくる。韓紫晴かんしせい芊芊せんせん離歌りかの居場所が分かったと告げるが、芊芊せんせんの怪我を気遣い、一人で行く。沁妃しんひと対面した韓紫晴かんしせいは、怯むことなく立ち去ろうとするが、大国師だいこくしに阻まれる。大国師だいこくしの噬霊珠の威力に抗えず、韓紫晴かんしせいは指輪で石に印を残す。

君北月くんほくげつが王府に戻ると、韓紫晴かんしせいが捕らえられたという知らせが届く。君北月くんほくげつは焦り、南照への開戦を決意する。

第38話の感想

第38話は怒涛の展開で、息つく暇もないほどでした。離歌りかの死はあまりにも突然で、悲しすぎます。五行之元という特殊な力を持っていたが故に、婉約えんやくに利用され、命を落とすことになってしまった彼女の運命に涙が止まりません。百里尾生ひゃくりびせい暁夢しょうむの必死の救出劇もむなしく、離歌りかを守ることができなかった無念さが伝わってきました。

特に印象的だったのは、婉約えんやくの冷酷さです。自分の目的のためなら手段を選ばない彼女の姿は、恐ろしいと同時に、悲しいものを感じさせます。呪毒に苦しみ、南照の脅威に怯える日々を送ってきた彼女にも、同情すべき点はあるのかもしれません。しかし、それでも離歌りかの命を奪うことは許されることではありません。

そして、東陵王の冷酷さにも驚愕しました。離歌りかの死を全く気に留めず、後継者争いにばかり関心を寄せる姿は、王として、そして父親として、あまりにも無責任です。この王の態度が、後の物語にどのようないん響を与えるのか、不安を感じずにはいられません。

つづく