あらすじ
第一話では、冷徹な郡王・江心白が河蛮の地で白三爺との取引に向かう途中、刺客に襲われる様子が描かれます。一方、江湖の遊医・顔南星とその母、通称・鬼医娘は、義診と大道芸で民衆の注目を集めながら、将軍夫人・迦耶に近づく機会を伺っていました。
混乱の中、刺客を追う江心白は顔南星と衝突。誤解から殺人事件に巻き込まれた江心白は、最終的にその責任を負うことになります。顔南星親子は無事に迦耶の目に留まり、彼女が患うという蛇鱗病の治療を計画し始めます。
物語の終盤、顔南星の本当の身分と鬼医娘との秘密の計画が明らかになります。同時に、江心白が辺境の部族秘薬に興味を持ち、探求しようとする姿も描かれます。サスペンス、アクション、そして策略が巧みに織り交ぜられたストーリー展開となっています。
ネタバレ
大蘄初年、葵草は万病に効く神薬として珍重されていたが、猛毒でもあるため朝廷の厳重な管理下に置かれていた。しかし、暴利を貪む輩は後を絶たず、葵草の密売が横行していた。
物語は、冷徹で高慢な郡王・江心白が河蛮の地を訪れ、白三爺という人物との会合に向かう場面から始まる。賑やかな街中、江湖遊医の顔南星と母である鬼医娘は船上で奇様なパフォーマンスを繰り広げ、多くの見物客を集めていた。
顔南星は母娘で各地を巡り治療を行っていると言い、出し物として劇団を雇い、義診も開催すると大声を張り上げる。しかし、通りすがりの小舟に乗る江心白にとっては、ただの江湖のイカサマにしか見えなかった。白三爺との会合場所を探していた江心白は、河岸に立ち並ぶ多くの酒楼に戸惑うが、鋭い聴覚を頼りに目的の場所を突き止める。
一方、顔南星は斜視の患者をその場で治癒し、義診を終えると、いよいよ劇が始まる。酒楼に到著した江心白は、その冷冽な雰囲気で周囲から浮いた存在となっていた。彼は<失顔症(相貌失認の症状)>を抱えていたが、従者の姚乾書に小声で教えられ、白三爺を見つける。顔色を変え、愛想よく話しかける江心白だったが、白三爺が粗悪品で自分を騙そうとしていることに気づくと、態度を硬化させ立ち去ろうとする。その後、品物の確認が済んでようやく代金を支払った。
取引を終え、条件を提示した江心白は店を出ようとするが、白三爺の手下に襲われる。間一髪、飛んできた匕首をかわした江心白だったが、その匕首は白三爺に命中し、彼は絶命する。騒然とする現場から刺客を追う江心白は、顔南星の芝居小屋に辿り著く。事情を知らない顔南星は江心白を邪魔者と思い込み、争いになる。混乱の中、刺客に人質を取られ舞台裏へ連れ込まれた人物がいたが、幕が再び開くと刺客は既に息絶えていた。
李副将率いる官兵が到著し、顔南星を芝居を利用した殺人犯とみなす。江心白は顔南星が芝居を打ったのは南霽風に会うためだと気づき、自分も関与していると名乗り出る。緊張が高まる中、李副将は二人を連行しようとするが、新たな知らせを受け、顔南星のみを捕らえ、江心白は解放される。
将軍府では、顔南星は将軍夫人・迦耶の前に引き出される。実は、顔南星母娘は迦耶の注意を引くためにわざと事件を起こしたのだった。蛇精の生まれ変わりと噂される迦耶に対し、顔南星は満月の後に治療を行うと約束する。その後、鬼医娘に連絡を取ろうとする顔南星だったが、衛兵に阻まれる。しかし、鬼医娘は密かに潜入し、二人は今後の対策を練る。
江心白は宿ではなく遊郭の屋形船を借り切るが、遊女は不要だと伝える。女将は金を見てすぐに承諾する。その夜、江心白は自ら大将軍・南霽風と会うことを決意する。一方、迦耶の入浴を手伝いながら辺境の秘薬について探りを入れていた顔南星のもとに、緊急事態が発生する。合図を送り迦耶の顔を隠して鬼医娘を待つ顔南星だったが、鬼医娘も追われていることを知る。その時、合図を聞いた江心白は屋形船から水中に浮かび上がる水草を頭につけた大男を目撃し、第一話は幕を閉じる。
第1話 感想
「顔心記〜シェイプ・オブ・ラブ〜」第1話は、まさに掴みはOK!と言えるほど、ミステリアスでスピーディーな展開に引き込まれました。葵草という神薬でありながら毒でもあるという設定が、物語全体に漂う陰謀の匂いをさらに濃くしています。
主人公の顔南星は、一見すると軽薄な江湖遊医ですが、実は非常に頭の回転が速く、機転が利く人物。母である鬼医娘とのコンビネーションも抜群で、今後どのような活躍を見せてくれるのか期待が高まります。一方、クールで高慢な郡王・江心白は、顔盲症という弱点がありながらも、鋭い洞察力と高い戦闘能力を持つ魅力的なキャラクターです。二人の出会いは偶然ながらも、互いの目的が複雑に絡み合い、今後の関係性がどうなっていくのか目が離せません。
白三爺との取引シーンは緊迫感があり、刺客の登場で一気に物語が動き出します。顔南星と江心白のアクションシーンも迫力満点で、短いながらも印象的なものでした。特に、江心白が匕首を華麗にかわすシーンは、彼の高い武術の腕前を垣間見ることができ、見応えがありました。
つづく