あらすじ

第二十八話は、京城に新しく開店した傾国傾城という美容院と花想容かそうようとの商業競争を描いています。白姑娘はく こじょう顔南星がんなんせいに敵意を抱き、艶无双を利用して花想容かそうようを倒産させようと企み、手を組んで競争相手を打ち負かすことを提案します。しかし、顔南星がんなんせい鬼医娘きいむすめが傾国傾城を偵察に行ったところ、その価格設定が驚くほど大胆で、花想容かそうようは窮地に立たされていることに気づきます。

一方、桫欏さらは入朝出仕のための宴席で老臣たちから軽んじられ、難癖をつけられて落ち込んでいましたが、柳若騫りゅうじゃくけんの助けを借りて気分転換を図ります。夜になると、鬼医娘きいむすめたちは傾国傾城の発財樹に細工を仕掛けようとしますが失敗し、かえって様々な誤解を生んでしまいます。柳若騫りゅうじゃくけん桫欏さらの屋敷で下働きをしていると勘違いされたりもしました。最終的に、柳若騫りゅうじゃくけんは花瓶を割ることで機転を利かせて宿泊の問題を解決し、顔南星がんなんせいとの誤解も解きます。

ネタバレ

京城一の美容院を謳う傾国傾城がオープン。白姑娘はく こじょうは企みを抱き、店主の艶無双えん・むそうに接近。顔南星がんなんせいに敵意を持つ白姑娘はく こじょうは、花想容かそうようの客を奪い、店を潰させようと艶無双えん・むそうに協力する。

一方、顔南星がんなんせい鬼医娘きいむすめは傾国傾城へ偵察に。異国風の装いで乗り込むも、商品は原価割れの安値で販売されているのを発見。騒ぎを起こそうとするも艶無双えん・むそうに見破られ、逆に客を奪われる結果に。落胆した顔南星がんなんせいは、江心白こうしんはくの不在を嘆き、一人涙を流す。花想容かそうようは傾国傾城の価格競争に苦戦。打開策が見つからない中、鬼医娘きいむすめが夜に実行する秘策を提案する。

桫欏さらは老臣を招いて宴を開くが、王位ではなく官職への就任を表明した途端、老臣たちの態度は豹変。女性蔑視の発言を受け、酒を注ぐよう強要される。江心白こうしんはくの言葉を思い出しながら屈辱に耐える桫欏さらは、部屋に戻って号泣。すると、梁に隠れていた柳若騫りゅうじゃくけんが落下。彼が掃除係の「下女」だと知り激怒した桫欏さらは彼を追い出すが、すぐに後悔し謝罪。柳若騫りゅうじゃくけん桫欏さらを城壁に連れ出し、大声で悪態をつくよう促す。気分が晴れた桫欏さらは、城壁の下を通る厳碧清げんへきせい親子に石を投げつける。帰宅途中、桫欏さらが足をくじくと、柳若騫りゅうじゃくけんは彼女をおんぶする。

夜、鬼医娘きいむすめ顔南星がんなんせい佟賽児とうさいじと共に傾国傾城の発財樹を枯らす。偶然、柳若騫りゅうじゃくけんにおんぶされた桫欏さらの姿を目撃し、驚愕する。翌日、顔南星がんなんせい柳若騫りゅうじゃくけんの家を訪ね、桫欏さらの家で卑しい仕事をしていると誤解し責め立てる。事情を知らない柳若騫りゅうじゃくけんの両親も加勢し、彼は家を飛び出す。行き場を失った柳若騫りゅうじゃくけんは、翰林司に居座るため、わざと高価な花瓶を割る。桫欏さらは彼の意図を見抜くが、事情を聞き入れ、住み込みを許可する。

翌日、桫欏さら顔南星がんなんせいを心配し花想容かそうようへ。江心白こうしんはくからの頼みもあり、傾国傾城に対抗するため大安売りを開始。艶無双えん・むそうも対抗し値下げ合戦が始まり、最終的に価格は一割まで下落。価格競争は決著しなかったものの、顔南星がんなんせい柳若騫りゅうじゃくけんの真意を知り安堵する。

第28話の感想

第28話は、様々な人間関係と感情の交錯が描かれた、見応えのあるエピソードでした。特に印象的だったのは、顔南星がんなんせい江心白こうしんはく、そして桫欏さら柳若騫りゅうじゃくけんのそれぞれの関係性です。

顔南星がんなんせいは、商売敵の策略によって窮地に立たされ、孤独と不安に苛まれます。江心白こうしんはくへの想いを募らせながら、一人涙する姿は、彼女の脆さを際立たせていました。同時に、鬼医娘きいむすめ佟賽児とうさいじといった仲間との絆も描かれ、困難な状況の中でも支え合う温かさを感じることができました。

一方、桫欏さらは、女性であるが故の偏見や差別と戦いながら、自らの信念を貫こうとします。老臣たちの心無い言葉に傷つきながらも、柳若騫りゅうじゃくけんとの出会いによって新たな一歩を踏み出す彼女の姿は、力強く、そして希望に満ちていました。柳若騫りゅうじゃくけんの優しさと思いやりは、桫欏さらの心を癒し、彼女を前へと進ませる原動力となったと言えるでしょう。

また、白姑娘はく こじょうの悪巧みや、艶無双えん・むそうのしたたかさなど、脇役たちの存在感も光っていました。それぞれの思惑が複雑に絡み合い、物語に深みを与えています。

つづく