あらすじ
第十話では、柴安と康寧の恋物語を中心に、柴母が息子の結婚を成就させるために行った略奪婚の策が描かれています。
当初、福慧 は内通者として酈母に柴安と康寧の想いを汲み取るよう説得を試みますが、壽華は杜仰熙と康寧の婚約、そして一族の将来への影響を懸念し反対します。
複雑な状況の中、福慧 と柴母は三つの策を講じ、寺で康寧と柴安を巧みに会わせ、二人の仲を深めます。
結納の日、柴家は酈家に乗り込み騒動を起こし婚約を確かなものとします。そして茶を入れ替える計略を用いて酈家を脅し、酈母にこの縁談を承諾させます。
ついに結婚式当日、柴安は縛られて婚礼衣装を着せられますが、康寧の声を聞くと喜び勇んで花嫁を迎えに行き、二人は結ばれます。想いを寄せ合う二人が結ばれるという、美しい結末が描かれています。
ネタバレ
柴家の母、柴娘子は、福慧 への求婚が失敗に終わった後、なんと略奪婚を決行することに。彼女は範良翰を使い、福慧 に内通者となるよう説得します。福慧 は、三女の康寧が柴安に好意を持っていることを知り、二人の縁談がうまくいけば良いと考え、この申し出を受け入れます。家に帰った福慧 は、母である酈娘子に柴安の康寧への真剣な気持ちを受け入れるよう説得を試みます。杜仰熙は一見良い人に見えますが、康寧との結婚は恩返しのためであり、愛情のない結婚は最終的に亀裂を生むと指摘します。
福慧 と酈娘子が話している最中、壽華が突然部屋に入ってきて会話が中断されます。その後、福慧 は康寧を見つけ、柴安がもうすぐ出航することを伝えます。この知らせに康寧は驚き、福慧 の励ましもあり柴安に会うことを決意しますが、壽華に止められます。壽華は科挙の合格者3人は通常高い官職に就くため、このような行動は将来有望な杜仰熙の怒りを買い、家族全員を危険にさらすと主張し、康寧のわがままに強く仮対します。
それでも、福慧 は杜仰熙が腹黒いため、康寧を彼に嫁がせるべきではないと考えます。最終的に二人は家族会議を開き、この件について話し合うことを決めます。その後、福慧 は柴娘子と会い、康寧を嫁に迎えたいという彼女の決意を確認し、三つの作戦を提案します。一方、壽華は杜家の母のために服を作り、杜家の母は大変喜び、もし息子がもっと多ければ康寧と壽華を同時に嫁に迎えるのにと呟きます。
柴安がお寺に祈願に訪れた際、偶然にも酈家の人々もそこにいました。福慧 の意図を察知した壽華は、康寧に特に注意を払いますが、福慧 は既に準備を整え、瓊奴に協力を頼んでいました。康寧は寺で柴安のために祈願し、その様子を見た柴安は感動しますが、誤って鈴を鳴らしてしまい、周囲の注目を集めてしまいます。康寧が鈴の音に戸惑っていると、姉妹たちが現れ、結婚式が2月18日、つまり柴安が出発する日に決まったことを告げます。
結納の日、柴娘子は大勢の人々を率いて酈家に押しかけ、酈家との縁談を妨害し、康寧は柴家の嫁になるしかないと宣言します。酈娘子は、以前は貧しいことを理由に拒否しておきながら、今になって騒ぎ立てる柴家を非難します。さらに柴家は、こっそりと結納品で酈家の仕入れた茶葉をすり替え、酈家との婚約を確かなものにし、康寧が婚約を破棄して他の男に嫁げば酈家を訴えると脅します。この状況に直面した酈娘子は、康寧の本当の気持ちに気づき、この縁談を承諾し、柴娘子と芝居を打ちます。話を盗み聞きしていた杜家の母は真相を理解し、酈家の三女がどんなに良い娘でも杜仰熙には合わないと考えます。そこで、杜家の母は柴娘子と酈娘子を家に招き入れ、解決策を話し合います。
この件を知った柴安は、自ら杜仰熙に謝罪し、彼と康寧を心から祝福します。杜家の母は柴安の名前を聞き、彼がかつて自分の命の恩人であったことを思い出します。柴安は母に酈家と杜家の婚約は変わらないこと、そして自分は予定通り泉州へ向かうことを伝えます。しかし、柴娘子は既に息子に別の嫁を見つけたと言い、杜家に先駆けて結婚式を挙げるつもりだと告げます。
結婚式当日、範良翰は柴安を縛り上げて婚礼衣装を著せ、柴娘子は死を覚悟で柴安に結婚式を強行させます。柴安は花嫁を迎えることを拒否し続けますが、花嫁轎の中から康寧の声が聞こえると態度を変え、花嫁を迎え入れます。新婚部屋で、柴安と康寧は夫婦の杯を交わします。康寧は酈娘子が姉妹の誰かが代わりに嫁ぐことを決め、五人姉妹がくじ引きで夫を決めた時のことを思い出し、柴安は康寧を抱きしめながら、酈家の娘は手に入れるのは難しいが、想いが通じ合った二人はついに結ばれたと喜びます。
第10話の感想
「五福の娘たち」第10話は、まさに怒涛の展開で、息つく暇もないほどでした。柴娘子の奇策ともいえる略奪婚は、大胆すぎて驚きを隠せませんでしたが、その裏には息子への深い愛情と、康寧への強い信頼が感じられました。一見強引なやり方ながらも、どこか憎めない柴娘子のキャラクターが際立っていたように思います。
福慧 の機転と行動力も光っていました。妹の幸せを願い、柴娘子と協力して計画を進める姿は、まさに頼れる姉といった印象。壽華の仮対を押し切りながらも、家族会議を開くなど、冷静さを失わない彼女の判断力も素晴らしかったです。
対照的に、壽華の堅実すぎる考え方が、少し窮屈に感じられました。もちろん、家族の安全を守るための彼女の心配は理解できますが、康寧の気持ちを尊重してあげられていたら、もう少し穏便に事が進んだかもしれません。
つづく