範良翰が厳子美げんしめいを懲らしめているところを、崔娘子さいじょうしに見られてしまう。崔娘子さいじょうしは一計を案じ、病気と偽り娘の栄妹えいめいを酈娘子のもとへ遣わし、助けを求めさせた。心優しい酈娘子は栄妹えいめいと共に崔家へ赴くが、そこには死体が横たわっていた。崔娘子さいじょうしは、この死体は範良翰に殺された厳子美げんしめいだと偽り、酈娘子を脅迫して大金を要求し始める。

酈娘子は以前、範良翰に厳子美げんしめいへの懲らしめを指示したことを思い出し、崔娘子さいじょうしの言葉を信じてしまう。二娘の福慧ふくえ への影響を恐れ、金を渡して事を収めようとするが、崔娘子さいじょうしの要求はエスカレートし、家財を質に入れ続ける羽目に。異変に気付いた姉妹たちは、質入れされた品を取り戻し、母に事情を問い詰める。酈娘子は仕方なく真相を明かす。

実は、酈娘子の指示で福慧ふくえ と共に逃亡を図った範良翰だったが、柴安しばやすに捕らえられていた。婿たちと娘たちが集まり、杜仰熙とようきも事態を把握する。柴安しばやすは役所に訴え出るべきだと主張するが、酈娘子は冤罪を恐れる。康寧こうねい壽華じゅか福慧ふくえ のことを思い、夫たちに事を穏便に済ませるよう促す。

酈娘子は泣きながら婿たちに助けを求め、杜仰熙とようき崔娘子さいじょうしを一旦落ち著かせ、千貫を支払う約束をする。帰宅後、杜仰熙とようき壽華じゅかに相談なしに事を進めたことに嫉妬と不満を露わにし、壽華じゅかを困惑させる。

ある夜、金を受け取った崔娘子さいじょうしは逃亡を図るが、柴安しばやすに捕まる。実はこれは杜仰熙とようき柴安しばやすの計略で、盗難事件として捜査を開始。井戸の中から死体が発見される。崔娘子さいじょうしは酈家を殺人犯だと訴え、現場は騒然となる。検視の結果、死体は足の不自由な男だと判明し、周りの人々はそれが崔武さいぶ、足の悪い賭博師だと証言する。

真相は、栄妹えいめいに乱暴を働こうとした崔武さいぶを、娘を守るために崔娘子さいじょうしが殺害し、厳子美げんしめいに見立てて範良翰に罪をなすりつけ、酈家から金銭を騙し取ろうとしたというものだった。崔娘子さいじょうしは捕らえられ、栄妹えいめいは共に牢に入ることを懇願する。酈家の人々は崔母娘の悲惨な境遇に心を痛める。

事件後、康寧こうねいたちは今回の出来事を振り返り、厳子美げんしめいが懲らしめを受けた後、血痕のついた錦の袍を残して都を去ったことに不審を抱く。壽華じゅか康寧こうねい福慧ふくえ を慰め、夫たちは良い人だと諭す。皇帝主催の金明池での宴で、杜仰熙とようきは詩の才能を認められ簪を賜るが、誤って落としてしまう。虞秀萼ぐしゅうがくが簪を贈り、窮地を救う。帰宅後、杜仰熙とようきは母のために壽華じゅかが菜園を作ったことに感謝し、賜った簪を贈る。壽華じゅかはこれにヒントを得て、香りのする造花を販売し、大好評を得る。

一連の事件を通して、酈家の人々は様々な試練を乗り越え、家族の絆を深める。そして、悪の背後にある真実が明らかになり、正義は必ず勝つというテーマが強調される。

第15話の感想

第15話は、崔娘子さいじょうしの悪巧みと、それが引き起こす波乱に満ちた展開が見どころでした。一見完璧に見える郦家の内側にも、それぞれの夫婦関係や姉妹間の微妙な感情の揺れ動きが描かれており、人間ドラマとしての深みを感じました。

特に印象的だったのは、崔娘子さいじょうしの執念深さと冷酷さです。娘を守るためとはいえ、罪のない人間を殺害し、それを利用して金銭を騙し取ろうとする姿は恐ろしく、人間の心の闇を垣間見た気がします。同時に、追い詰められた彼女の母としての愛情も感じられ、複雑な感情を抱きました。

対照的に、酈娘子をはじめとする酈家の面々は、困難に直面しても互いに支え合い、乗り越えようとする温かさがありました。それぞれの夫婦にも問題や葛藤を抱えながらも、最終的には理解し合い、絆を深めていく様子に心温まりました。杜仰熙とようき壽華じゅかの夫婦は、些細なことで衝突することもありますが、お互いを思いやる気持ちは強く、理想的な夫婦像だと感じました。

つづく