楊羨は五娘ごじょうと共に、たくさんの贈り物を持って酈家へ戻りました。本心では気が進まないものの、体面を守るため、以前の悪行を謝罪し、心を入れ替えたように振る舞います。酈家の人々、特に酈夫人と福慧ふくえ は大らかに彼を受け入れましたが、好徳だけは夫の沈慧照しんけいしょう の様子を気にかけ、どこか腑に落ちない様子です。

台所では酈夫人が食事の支度をする中、娘たちはそれぞれ理由をつけてその場を離れます。楊羨は楽善の夫として酈家の一員となったため、他の婿たちは彼を試そうと、あれこれと難題を仕掛けます。楊羨はそれらにうまく対応し、酈家の面々を見返します。

祝いの席では、母を安心させるため、楽善は楊羨と仲睦まじく振る舞いますが、実際は互いに腹を探り合っています。酈夫人は楊羨の悪戯っぽいながらも根は悪い人間ではないことを見抜き、親戚同士、過去のいざこざは水に流すべきだと諭します。

実の両親からも言われたことのない言葉に、楊羨は心を打たれます。酈夫人から傷薬と手作りの卵羹をもらった楊羨は、温かい愛情を感じます。しかし、楽善は楊羨への不満を募らせ、ついに喧嘩となり、楊羨を床から突き落としてしまいます。怒った楽善は洗濯棒で楊羨を追い回し、姉妹たちも加勢します。耐えかねた楊羨は酈夫人に泣きつき、離婚したいと訴えます。

酈夫人は楽善を叱り、楊羨の世話を命じます。楊羨は楽善の世話を受けつつ、仕返しを企てますが、どこか二人の間には不思議な通じ合いが生まれているようにも見えます。ある時、楽善は楊羨に砒素入りの薬を飲ませたと嘘をつき、激怒した楊羨は仮撃しますが、すぐに騙されたことに気づきます。

一方、楊婕妤ようしょうよは裏帰りの許可を得て帰郷します。楊家の女たちは楽善の気の強さを非難し、楊婕妤ようしょうよに罰を与えるよう訴えます。しかし、楊婕妤ようしょうよは楽善に優しく接し、金の杖を下賜します。楊家の女たちは不満を抱きますが、楊婕妤ようしょうよは楊家の繁栄が後宮の女性たちの支えによることを理解しており、楽善を利用して家風を正し、将来の災いを避けようと考えています。

楊婕妤ようしょうよは楽善に、楊羨を更生させれば一年後に離婚を認めると約束します。楽善はこの申し出を受け入れます。その後、楊珠娘ようしゅじょうは楽善が金の杖を振りかざすことを恐れ、侍女の銀瓶ぎんぺいに杖を盗ませようとします。銀瓶ぎんぺいは楊羨に好意を抱いており、楽善に取り入ろうとしますが失敗し、見つかってしまいます。この一件で楽善は家中の秩序をさらに強化します。最後に、酈夫人は瓊奴けいどと共に油蜜と蒸しパンを届け、楊羨は酈夫人の温情に深く感謝します。

第30話の感想

第30話は、楊羨と楽善の関係、そして酈家との繋がりが大きく変化する重要なエピソードでした。楊羨の偽りの改心から始まる物語は、様々な思惑が交錯し、見ている側もハラハラさせられました。特に、祝いの席での楊羨と楽善の駆け引きは、表面上の笑顔の裏に隠された緊張感が伝わってきて、二人の今後の関係がどうなるのか、ますます目が離せなくなりました。

酈夫人の寛大さと温かさは、この物語の大きな支えとなっています。楊羨にとって、実の両親以上に愛情深く接してくれる酈夫人は、まさに理想の母親像と言えるでしょう。彼女が楊羨にかけた言葉は、彼だけでなく、視聴者の心にも深く響いたのではないでしょうか。また、楊婕妤ようしょうよの思慮深さも印象的でした。一見冷酷に見える彼女の行動も、楊家の将来を案じるが故のものだと理解できます。楽善に与えた金杖は、単なる贈り物ではなく、楊家再興への鍵となる重要なアイテムとなる予感がします。

楽善は相変わらず気が強く、楊羨との喧嘩も絶えませんが、彼女の行動にはどこか憎めない可愛らしさがあります。楊羨を床から突き落とすシーンは衝撃的でしたが、その後のやり取りを見ていると、二人の間に不思議な絆が生まれているようにも感じられました。今後、彼らはどのように変化していくのか、そして真の夫婦になれるのか、今後の展開が楽しみです。

つづく