楽善を見舞いに楊家を訪れた瓊奴けいど。しかし、その隙に銀瓶ぎんぺいが金杖を探しに楽善の部屋へ忍び込む。物色しているところを楽善に見つかり問い詰められるが、掃除をしていたと言い訳。酈娘子の顔を立て、一旦は銀瓶ぎんぺいを解放する楽善だが、金杖は床下に隠していると告げる。

銀瓶ぎんぺいの報告を待つ珠娘のもとに夫の江朝宗こうちょうそうが現れ、楽善への新たな策略を提案する。その夜、銀瓶ぎんぺいが井戸に身を投げるという事件が発生。楊家は騒然となる中、楽善は呼ばれるも部屋に閉じこもり、事態の推移を見守ることに。冷静な楽善の態度に羨は感心する。

翌日、酈家へ戻ろうとする楽善を珠娘が責め立てる。しかし金杖を持つ楽善には強く出られず、口だけの非難に留まる。朝宗は楽善が逃げても四福斎の人間は汴京にいるから大丈夫だと珠娘を慰める。

酈家に帰り、酈娘子たちに事の顛末を説明した楽善は、四姉好徳に奴婢の死亡に関する法律を尋ね、沈慧照しんけいしょう ならどう裁くかを考える。一方、楊徳茂ようとくもは庶子楊頤の学業の進歩を褒め、妾の陳孝姑ちん こうこを喜ばせる。

そんな中、銀瓶ぎんぺいの両親が娘の妊娠と自殺を訴えに楊家に押しかけてくる。激怒した徳茂は羨を呼び出し、家族全員で羨を責め立てる。銀瓶ぎんぺいの子の父親は羨だと決めつけられるが、羨は必死に否定するも、両親、姉、そして庶弟からも責められる。仮論する羨に徳茂は激昂し、鞭で打とうとする。そこに楽善が戻り羨を庇い、酈娘子も婿を擁護し、誹謗中傷を許さないと啖呵を切る。

楽善と義母の強い信頼と支持を感じた羨は感謝し、自らの立場を固める。楽善は銀瓶ぎんぺいの両親を訴えることを決意し、二人を連れ出した後、羨の手を引いて部屋に戻る。酈娘子の計らいで楽善は羨の傷の手当てをし、羨の楽善への想いはさらに深まる。二人の様子を見た酈娘子は二人きりになるよう部屋を後にする。

楽善は銀瓶ぎんぺいの母・姜氏きょうしを尾行させ、朝宗の下男と密会しているのを発見する。珠娘は朝宗が銀瓶ぎんぺいを殺害し羨に罪をなすりつけたのではないかと疑うが、朝宗は否定する。実は朝宗は楊家の財産を狙っており、羨を邪魔に思っていた。やがて、楽善が嫉妬から妊娠中の銀瓶ぎんぺいを死に追いやったという噂が広まり、楽善は悪女の汚名を著せられ、人命事件に巻き込まれる。

珠娘は銀瓶ぎんぺいの百か日法要を盛大に行うことを画策するが、楽善は裏があると睨み、侍女の玉簪ぎょくさんにあることを頼む。夜、庭で涼んでいた楽善を心配し眠れない羨は庭へ彼女を探しに行く。そこに、邪気を払うという仇婆子きゅう ばしという祈祷師が現れ、楽善が邪魅に取り憑かれていると騒ぎ出す。珠娘はすかさず楽善を捕らえようとするが、楽善は機転を利かせ、下人たちと共に仮撃。最後は羨の助けもあり、珠娘と朝宗夫婦を懲らしめる。この一件で楽善と羨の絆はさらに深まるのだった。

第31話の感想

第31話は、陰謀渦巻く楊家において、楽善と楊羨の絆が試される波乱の展開でした。銀瓶ぎんぺいの突然の死をきっかけに、楊家は混乱に陥り、羨は濡れ衣を著せられ窮地に立たされます。この状況下で、楽善の冷静な判断力と機転、そして何よりも羨への揺るぎない信頼が際立ちました。

特に印象的だったのは、楽善が義母の珠娘や江朝宗こうちょうそうの策略に屈せず、毅然とした態度で羨を守り抜く姿です。これまでどちらかといえば受け身の姿勢が多かった楽善が、自らの知恵と行動力で逆境を乗り越えていく様子は、彼女の成長を強く感じさせます。また、酈娘子もまた、婿である羨をしっかりと擁護し、楽善を支える姿は頼もしく、家族の温かさを感じさせるシーンでした。

一方で、珠娘と江朝宗こうちょうそうの悪巧みはますますエスカレートし、楊家の内紛はより深刻化していきます。銀瓶ぎんぺいの死を利用して羨を陥れようとする彼らの卑劣なやり口には、怒りを覚えずにはいられません。今後、彼らの企みがどのように暴かれ、楽善と羨がどのように立ち向かっていくのか、目が離せない展開です。

銀瓶ぎんぺいの死の真相、そして楽善と羨の関係性の変化など、様々な伏線が散りばめられた第31話。今後の物語の展開に期待が高まります。

つづく