楊家の面々は酈娘子に連れられて別荘へ到著しましたが、環境や家の状態に不満顔。しかし、羅氏らしと楊羨だけは前向きで、特に楊羨は酈娘子への感謝を伝え、自ら薪割りをするなど働き者ぶりを見せ、周囲の尊敬を集めます。杜仰熙とようきは、江朝宗こうちょうそうが楊家の借家住まいを暴露したことで、楊婕妤ようしょうよが廃后事件に巻き込まれたこともあり、台諫官たちに攻撃の口実を与えてしまったと説明します。小さな問題が大罪へと変わり、皇帝は民衆の怒りを鎮めるため、調査もせずに楊家の財産を没収しました。

楊家の苦難は始まったばかりでした。楽善は楊羨に十貫の金を貸し、一ヶ月で三倍にするという課題を与えます。約束を守ってくれた楽善に感謝した楊羨は、早速挑戦を受け入れ、街を歩き回りながら儲ける方法を考え、ライチの商売を始めることに。楊家の皆が手伝い、羅氏らし楊徳茂ようとくもを公然と叱るほど積極的になり、楊徳茂ようとくもも妻の言うことを聞くようになりました。また、楊羨は落第士子が持ってきた南紗に目をつけ、烏帻を百個作りますが、販売に苦労します。

夜、楊羨が庭で働く姿を見た楽善は心を痛めます。貧しい夫婦生活の苦労を知る壽華じゅかは、家族と策を練ります。翌日、楊羨が烏帻を売っていると、喬という役人が全て買い取りますが、金が足りず、「母」と馬車を担保に残し、両替してくると言って去ります。しかし、喬は戻らず、異変を感じた楊羨は酈家に問いただしに行きますが、侮辱され怒って帰ってきます。

楊羨への仕打ちに怒った楽善は彼を追いかけようとしますが、壽華じゅかに止められ、真相を聞かされます。一方、楊羨は柴安しばやすに呼び出され、その度胸を気に入られ、元手を渡されます。三年で十倍の利益を出すよう命じられ、危険を伴う泉州での海上貿易を指示されます。楊羨は迷わず承諾します。

楊羨が去った後、康寧こうねいが屏風の後ろから現れ、実は全て酈家が仕組んだ計画だったことが分かります。楊羨に商売を学び、紈绔子弟のイメージを払拭させるのが目的でした。彼が成功すれば、家族全員が恩恵を受けます。一方、楽善は一人で傘を差し別荘を訪れ、楊羨との思い出を振り返ります。

三年が経ち、楊羨は行方不明のまま。酈娘子は娘たちに楽善に再婚を勧めます。また、瓊奴けいどの結婚についても話し合い、瓊奴けいどは酈家に残ると言いますが、酈娘子は四福斎を瓊奴けいどに譲り、婿養子を迎えることを決めます。

壽華じゅか康寧こうねいたちに説得され、楽善は再婚を決意しますが、繡球を投げて相手を選ぶことを提案します。姉妹たちは賛成し、潘楼で範良翰と柴安しばやすが司会を務め、真珠帳を嫁入り道具として招親を行うことに。当日、多くの男たちが集まります。楊羨の従兄弟もおり、招親を止めようとします。潘楼へ向かう途中、楽善は楊羨に価た人物を見かけ追いかけますが、人違いでした。

楊羨は家仇のため姿を現せず、殷瑶いんようが酈家を訪ねます。楽善が不在のため、瓊奴けいどが仮面をつけて楽善の代わりを務め繡球を投げます。繡球は従兄弟に当たりますが、彼は既に婚約済みと嘘をつきます。その後、小犬が繡球を奪い、人々が追いかける中、府州から来た折淙おりしょう将軍の手に渡ります。

第34話の感想

第34話は、楊家の没落と楊羨の再起、そして楽善の苦悩と新たな門出が描かれた、波乱に満ちたエピソードでした。前半は、没落した楊家の苦境と、それでも前向きに生きようとする楊羨の姿が印象的です。特に、借家での生活や荔枝の商売、烏帻の販売など、楊羨が苦労しながらも諦めずに努力する姿は、視聴者の共感を呼ぶのではないでしょうか。酈家の策略によって騙され、悔しさを味わう場面は、見ていて胸が痛みました。しかし、柴安しばやすとの出会いによって新たな道を切り開き、商人として成功を目指す決意をするシーンは、今後の展開への期待を高めます。

一方、楽善は楊羨への想いを抱えながらも、彼の不在によって苦しい選択を迫られます。三年もの間、音信不通の楊羨を待ち続ける彼女の心情は、計り知れません。酈家の勧めもあり、再婚を決意するものの、繡球を投げるという方法で運命を委ねる姿は、彼女の揺れ動く心を象徴しているように感じました。最終的に、折淙おりしょう将軍と結ばれることになるわけですが、その過程には様々な思惑や偶然が絡み合い、ドラマチックな展開を生み出していました。

つづく