あらすじ

第9話は、杜仰熙とようき康寧こうねいの婚約を中心に、柴安しばやすの複雑な想いを交錯させながら物語が展開します。 母が無事だと知った杜仰熙とようきは、酈家に感謝を伝え、康寧こうねいへの求婚を決意します。康寧こうねい柴安しばやすに想いを寄せていましたが、柴安しばやすの無礼な言動をきっかけに、杜仰熙とようきとの婚約を受け入れることに決めます。

一方、このことを知った柴安しばやすは、これまでの酈家への態度を仮省し始めます。友から酈家の過去の辛い出来事を聞かされ、罪悪感を抱きますが、それでも大食国へ旅立つ決意を固めます。

息子の出発を止めようと、柴の母は酈の母に謝罪し、許しを請います。しかし、既に杜家では婚礼の準備が進んでいることもあり、酈の母はその申し出を断ります。

こうして、康寧こうねい杜仰熙とようきの関係は正式に決まり、柴安しばやす康寧こうねいへの想いを残したまま、旅立ちます。

ネタバレ

杜仰熙とようきは友人の家から帰り、母が酈家に引き取られたと知り、急いで酈家へ向かいました。酈夫人に感謝を伝え、母との再会を喜びます。酈夫人は食事を用意し、杜母とぼは息子に感謝の心を忘れず、高慢にならないよう諭します。杜仰熙とようきは深く感じ入り、翌日、正式に結婚を申し込むことを約束します。

一方、長女の壽華じゅかは、康寧こうねいがまだ柴安しばやすを忘れられないことを見抜き、侍女の瓊奴けいど(けいど)に柴安しばやすが怪我をしたという噂を流させます。康寧こうねいは心配して柴安しばやすを見舞おうとしますが、壽華じゅかに止められます。壽華じゅかは、酈家と杜家の縁談が決まる前に、自分の本当の気持ちと向き合うよう康寧こうねいに忠告します。康寧こうねいの心は揺らぎます。

そこに柴安しばやすが現れます。康寧こうねいは喜び、想いを伝えようとしますが、柴安しばやすは酈家を非難する言葉を口にします。康寧こうねいは怒り、柴安しばやすが酈家を軽蔑していると感じ、どんなに良い縁談がなくても酈家で一生を終えると宣言し、柴安しばやすと決別します。

その後、康寧こうねい杜仰熙とようきの婚約が正式に決まります。潘楼(はんろう)で酒を飲んでいた柴安しばやすに、範良翰が婚約の知らせと、柴安しばやすの失言を責めます。三娘(さんじょう、康寧こうねい)は柴安しばやすの優しい言葉を待っていたのに、二人の溝はさらに深まってしまいました。

柴安しばやすは酈夫人を金に汚い冷酷な人間だと非難しますが、範良翰は酈家の過去、夫を亡くし娘たちを守るために必死で生きてきた苦労を話します。柴安しばやすは後悔しますが、母の結婚の催促に、三娘の目的は達成されたと言い放ちます。

省試(しょうし)当日、酈夫人は康寧こうねいを起こし、長女と共に杜仰熙とようきに定勝糕(ていしょうこう)を作ります。放榜前日、皇帝の外出で街は大賑わい。康寧こうねいは妹たちと街に出かけ、以前壊れたものとそっくりな簪(かんざし)を見つけます。柴安しばやすからの贈り物ではないかと疑い、持ち帰ります。翌日、宮中から宝物が紛失したと知り、康寧こうねいは不安になります。夜に簪を元の場所に戻そうとしますが、柴安しばやすが現れ、簪は康寧こうねいへの贈り物だと告げ、二人の思い出を語ります。康寧こうねいは感動しますが、贈り物を受け取らず、二人は別れを告げます。

杜仰熙とようきは見事省試に合格し、酈家は喜び、結婚の準備を始めます。柴安しばやす康寧こうねいの結婚を知り、大食国(だいしょくこく、アラビア)へ旅立つことを決意します。母は引き止めますが、柴安しばやすは予定されていた結婚の日を告げ、母を後悔させます。

柴母は酈家に謝罪し、許しを請いますが、酈夫人は冷たくあしらいます。柴母は息子の将来を案じ、必死に頼みますが、酈夫人は杜家との縁談は決まっており、三娘の結婚は覆らないと告げます。

第9話の感想

第9話は、康寧こうねい柴安しばやすの切ない別れが描かれた、胸が締め付けられるようなエピソードでした。柴安しばやすの不器用さとプライドの高さが、二人の関係を決定的に壊してしまったことが悲しいです。康寧こうねいへの想いを素直に表現できない柴安しばやす、そして、家族を侮辱された康寧こうねいの怒り。どちらも理解できるからこそ、二人のすれ違いが見ていて辛かったです。

特に、康寧こうねい柴安しばやすからの贈り物であろう簪を見つけたシーンは印象的でした。康寧こうねいの揺れる気持ち、柴安しばやすへの未練、そして家族への愛情が複雑に絡み合い、彼女の苦悩が手に取るように伝わってきました。簪を返した時の康寧こうねいの表情は、柴安しばやすへの愛情と決別の意思が入り混じった、なんとも言えない切なさがありました。

一方、杜仰熙とようきの誠実さと真面目さは、康寧こうねいにとって安心できる存在なのでしょう。家族思いの康寧こうねいにとって、杜仰熙とようきのような男性がふさわしいのかもしれません。しかし、柴安しばやすとの別れを経て、康寧こうねいの心には深い傷が残っているはずです。これから康寧こうねいがどのように杜仰熙とようきとの関係を築いていくのか、彼女の心の変化に注目したいです。

また、柴安しばやすの旅立ちのシーンも印象的でした。母への複雑な感情、そして康寧こうねいへの未練を残しながら、一人異国へ旅立つ柴安しばやすの後ろ姿は、寂しさに満ち溢れていました。柴安しばやすがこれからどんな経験をして、どのように成長していくのか、彼の未来にも期待したいです。

つづく