駱為昭は裴溯の簡単な誕生日祝いのため、いくつか料理を作った。毎年、陶澤が誕生日歌を歌っていたが、今年は二人きり。駱為昭は歌えないので、代わりに願い事をするように言った。食卓でまたしても「説教モード」になる駱為昭に、裴溯はついに仮論する。穏やかな食事になるかと思いきや、陶澤から張羽晨が行方不明になったとの電話が入る。
張羽晨は花柄のワンピースを著て姿を消した。曲潼の失踪から5日で二人目、あまりにも頻度が高すぎる。陶澤は曲潼が既に殺害されているのではないかと危惧する。監視カメラの映像では、張羽晨は絵画教室で窓の外を見て誰かに手を振っていた。その後、校庭で数人の女子生徒と合流する様子が映っていた。学校側は監視カメラは死角なしと主張するが、彼女たちがその後どこへ行ったのかは映っていなかった。
監視カメラの死角は公衆トイレで、近くに小さな公園につながる柵の穴があった。他の女子生徒の証言によると、彼女たちは公衆トイレで著替え、公園で写真を撮る予定だったという。写真学科の学生が課題のためにモデルを探しており、公園で撮影後、張羽晨は少年宮へ戻ると言って、公園の入り口で解散したらしい。
張羽晨の父親は、6時に位置情報アプリで娘と連絡を取ろうとしたが、繋がらないと証言。裴溯が確認すると、操作に問題はなかった。そのため、誰かが著替えや撮影中に張羽晨の携帯を盗み、彼女が気づいて探しに戻ろうとした際に、公園へ誘導したのではないかと推測する。誘導した人物は張羽晨が信頼する同年代の人物だろうと。
裴溯の分析により、同行していた蘇若晩という少女が浮上する。彼女はなんと蘇玲奈の娘だった。蘇若晩の自宅を訪ねると、彼女は出かけたばかりで、オルゴールが開いたままだった。嵐喬はオルゴールの中から、手足がもげた人形を発見する。人形の服は曲潼が著ていたものと同じだった。
徐東嶼はSIDに監視されており、自宅には盗聴器が仕掛けられていた。彼には電話が2回かかってきたが、出ていない。追跡されたIPアドレスは、蘇玲奈がかつて登録していた住所と同じだった。駱為昭はすぐにチームを率いて現場へ向かい、裴溯も同行させた。裴溯の説得により、蘇若晩は果物ナイフを置き、張羽晨は無事に救出された。彼女は怯えていて、体に軽い打撲傷があったものの、大きな怪我はなかった。
郭菲玲の父親は、容疑者が捕まったと聞き、事件の真相を知りたがった。しかし、捜査中のため詳細は明かせず、駱為昭は彼に家で待つように言った。杜佳は、裴溯を轢いたトラック運転手の身元は潔白で、ナンバープレートも偽物だったと報告する。まるでただの事故のように見える。徐東嶼は蘇若晩の告発を否定し、蘇玲奈とは恋人関係で、彼女が生きていれば自分が蘇若晩の義父だったはずだと主張。蘇若晩が自分に電話をかけてくるのは当然のことだと言う。駱為昭の指示で小伍が徐東嶼を揺さぶるが、彼は冷静に対処し、弁護士に会いたいと要求した。
第8話 感想
息詰まる展開の連続だった第8話。張羽晨の失踪から始まる事件は、前回の曲潼の失踪と繋がり、より一層緊迫感を高めました。監視カメラの死角や、少女たちの証言、そして裴溯の鋭い推理が絡み合い、真相へと少しずつ近づいていく過程は、まさに手に汗握るスリリングなものでした。
特に印象的だったのは、蘇若晩の存在です。彼女の母親である蘇玲奈の名前が出た瞬間、過去の事件との関連性が示唆され、一気に物語の深みが増しました。オルゴールの中の人形は、残酷な現実を象徴するようで、見ている側にも強い衝撃を与えました。
裴溯の冷静な分析と、駱為昭の迅速な行動も光っていました。対照的に、徐東嶼の不気味なまでの落ち著き払った態度は、彼の底知れぬ闇を感じさせ、今後の展開への不安を掻き立てます。ただの交通事故と思われたトラック事件も、何か裏があるような気がしてなりません。
つづく