あらすじ

第十三話は、男装した姫君、趙渝ちょうゆが宮廷を抜け出した後に財布を盗まれ、莫研ばくけんが追いかけて取り戻すものの、その中身が王家の物らしいことに気付く場面から始まります。展昭てんしょうは、趙渝ちょうゆがこっそり宮廷を抜け出して遊びに出かける癖があると説明し、それが莫研ばくけんの嫉妬を招きます。趙渝ちょうゆの正体を知った包拯 ほうじょうは、彼女を一時的に開封府に滞在させることを決め、生涯を託す相手を選ぶことの重要性について話し合います。“誘拐”された趙渝ちょうゆ展昭てんしょう莫研ばくけんが救出しますが、それは遼国への政略結婚を避けるための自作自演の悪戯だったことが判明します。“死体”を見て気を失い、熱を出した莫研ばくけんを治すには宮中の七葉槐花が必要だと公孫策こうそんさくが告げます。最終的に、展昭てんしょうは七葉槐花を手に入れるため、そして莫研ばくけんとの誤解を解くため、趙渝ちょうゆを遼国まで護送することを考えます。彼の葛藤は、愛情と責任の間で揺れ動く心を映し出しています。

ネタバレ

男装した趙渝ちょうゆ姫が宮廷を抜け出し、開封の街でスリに財布を盗まれてしまう。幸いにも、巡回中の莫研ばくけんが犯人を追いかけ、財布を取り戻した。しかし、財布の中身が高価な品ばかりだったことから、莫研ばくけんは皇室のものだと疑い、趙渝ちょうゆは慌てて自分の物ではないと否定する。

展昭てんしょう莫研ばくけんの大好物の肉まんを城西の店から買ってきて、彼女と半分こする。莫研ばくけんは謎の人物との遭遇を展昭てんしょうに話すと、展昭てんしょうはそれがわがままでおてんばな趙渝ちょうゆ姫だと明かす。姫が頻繁に宮廷を抜け出して遊んでいることを知り、莫研ばくけん展昭てんしょう趙渝ちょうゆのことをよく知っていることに嫉妬する。そこに包拯 ほうじょうが現れ、展昭てんしょうは書斎へ呼ばれる。

趙渝ちょうゆの香りや立ち居振る舞いから、莫研ばくけんは彼女が男装した姫だと見破る。包拯 ほうじょうは姫の行動を不謹慎としながらも、行き場のない彼女を一時的に開封府に滞在させることにする。莫研ばくけんは嫉妬心を隠しきれず、展昭てんしょう趙渝ちょうゆを探すように頼む。包拯 ほうじょうは二人の間に特別な関係はないと説明し、李栩りくから莫研ばくけんへの持参金を彼女に預け、結婚相手について語る。

寧晋ねいしん展昭てんしょう趙渝ちょうゆが子供の頃に婚約していたと口を挟むが、展昭てんしょうは子供の遊びだったと否定する。趙渝ちょうゆを探すため、莫研ばくけん寧晋ねいしんの三つの頼みを聞き入れることに。その一つが菓子を買うことで、展昭てんしょうと共に菓子を買い、寧晋ねいしんに渡す。実はそれは寧晋ねいしん莫研ばくけんのために買ったものだった。莫研ばくけんは食べたい気持ちを抑える。ようやく趙渝ちょうゆを見つけ出すが、彼女はすでに誘拐され、十万両の黄金を要求されていた。

展昭てんしょうは単身で趙渝ちょうゆの救出に向かい、莫研ばくけんもこっそり後を追う。展昭てんしょうが犯人と戦う中、莫研ばくけんは隙を見て趙渝ちょうゆを匕首で救出する。寧王府に戻ると、趙渝ちょうゆの行動と莫研ばくけんの態度を巡り衝突が激化。莫研ばくけんは誘拐事件が趙渝ちょうゆの自作自演ではないかと疑い、事態は膠著する。

その後、趙渝ちょうゆは注目を集めようと自殺を装うが、莫研ばくけんを気絶させてしまう。ただの悪ふざけだと分かり、皆は安堵する。公孫策こうそんさく展昭てんしょうに、莫研ばくけんが尸毒の発作で重体であり、七葉槐花でしか治せないことを伝える。趙渝ちょうゆを宮廷へ送り返す途中、展昭てんしょうは皇帝に七葉槐花を賜り、莫研ばくけんを救いたいと願い出る。

最後は、展昭てんしょうが七葉槐花と引き換えに趙渝ちょうゆを遼国へ送り届ける決意をするところで幕を閉じる。物語は、誤解や複雑な感情、そして問題解決のために奔走する登場人物たちの姿を通して、彼らの間の深い絆を描いている。

第13話の感想

男装の姫、趙渝ちょうゆの奔放さと、彼女を取り巻く人々の慌ただしい騒動を描いた第13話は、コミカルな展開の中に切ない感情が織り交ぜられ、見ていて飽きないエピソードでした。

特に印象的だったのは、莫研ばくけんの揺れ動く心情です。趙渝ちょうゆに対する嫉妬心、展昭てんしょうへの恋心、そして趙渝ちょうゆの窮地を救いたいという正義感。これらの感情が複雑に絡み合い、彼女の言動に人間味あふれる魅力を与えています。一見わがままで自分勝手に見える趙渝ちょうゆも、実は寂しがり屋で、周囲の愛情に飢えているように感じられました。彼女の行動は、注目を集めたい、愛されたいという欲求の裏返しなのかもしれません。

展昭てんしょうは、相変わらず冷静沈著で、趙渝ちょうゆ莫研ばくけんの間で板挟みになりながらも、事態の収拾に尽力します。彼の人柄の良さが、物語全体を温かい雰囲気で包み込んでいるようでした。寧晋ねいしんの軽妙な言動も、物語の良いスパイスになっています。彼の存在が、シリアスになりがちな展開にユーモアを添えています。

つづく