あらすじ
第十七話は、趙渝の幽閉、蕭太妃毒殺の真相、そして莫研たちの対応策を中心に展開します。
趙渝は牙帳内で蕭観音に脅迫されますが、危ういところを耶律菩薩奴に助けられます。一方、展昭は蕭太妃の死因が毒殺であることを突き止め、その手口までも推理します。
真犯人を再び行動に誘い出すため、莫研と寧晋は計略を巡らせます。寧晋は莫研が西夏のスパイだと偽り、敵の注意を引こうとします。その結果、莫研は捕らえられ、処刑を待つ身となります。この計画において、寧晋は耶律洪基と協力し、宋遼の婚姻を破綻させようとする真の黒幕を暴こうとします。
その後、展昭は気絶させられていた蕭信を救出し、侍女が蕭太妃毒殺に関与していた事実を明らかにします。
ネタバレ
遼の牙帳に捕らわれの身となった趙渝。蕭観音は趙渝に危害を加えようとするが、間一髪、耶律菩薩奴が現れ蕭観音の鞭を阻止する。蕭観音は仕方なく引き下がるが、耶律菩薩奴は趙渝に高圧的な態度をとる。趙渝は彼の仮面を剝がそうとするも、菩薩奴は巧みに避ける。
耶律菩薩奴が差し入れた食事の中に、かつて蕭観音に壊され、金で修復された玉簪を見つける趙渝。一方、展昭は蕭太妃の遺体を調べ、毒殺だと断定する。不思議なことに、太妃のペットの神亀は無事だが、鼻先に白い点が。寧晋が亀に触れようとしたところを展昭が製止。毒は亀を介して伝播し、白い点は太妃が亀に触れるよう仕向けるためのものだと推測する。実際に、太妃の右手には中毒による潰瘍が見られた。
毒を盛ったのは太妃の側近だろうと莫研は考える。寧晋も宮中の規則から、当番の記録が残っているはずだと指摘するが、記録は焼却され、担当者も水難事故で死亡していた。手がかりを失い、莫研は犯人を炙り出すために、あえて犯人を挑発する策を提案する。
耶律洪基の定めた期限が過ぎ、莫研は捕らえられる。寧晋は莫研を西夏のスパイだと偽り、宋遼の和親を壊すために蕭太后を毒殺したと耶律洪基に告げる。耶律洪基は寧晋の言葉を信じ、莫研の処刑を決定。展昭も監督不行き届きで投獄される。寧晋は、犯人の目的は和親の阻止であり、一度失敗した犯人は必ず再び行動を起こすと説明し、芝居に協力するよう耶律洪基に頼む。
宴席で、侍女が蕭信に毒入りの酒を飲ませようとするが、潜んでいた展昭が蕭信を救出する。侍女は蕭太妃の側近だったことが判明。耶律洪基は耶律菩薩奴に捜査を命じる。耶律重光が和親について触れると、耶律洪基は蕭太后の喪に服すため一年延期すると答え、趙敏も一年後の結婚に同意する。耶律洪基は莫研の機転を褒め、褒美を与えようとするが、莫研は自分が蜀中六悪の妹弟子だと明かし、耶律菩薩奴を驚かせる。
宮殿に戻り、莫研は豚足を所望する。展昭は甘やかして用意しようとする。趙渝は自分の鶏肉を莫研に譲り、少し恥ずかしがりながらも、窮地を救ってくれた莫研に感謝する。莫研は毒に当たったふりをして倒れ、趙渝を心配させる。この騒動で趙渝は食欲を取り戻す。二人は鶏肉を食べながら、蕭観音の短気と耶律菩薩奴の冷徹さを愚痴る。
海東青の正体は耶律重光の側近・耶律菩薩奴であり、暗花の首領は耶律重光に匿われていることが明らかになる。展昭は耶律重光と繋がっているのは龐太師だと語り、海東青を宋に送り返そうとするが、海東青は大宋のために遼に留まりたいと望む。去り際に、彼は素顔を見せ、蘇酔という名前を明かす。
蕭太後の葬儀で、多くの侍女が殉葬されると知り、莫研は恐怖に慄く。蘇酔は趙渝を襲おうとした暗花メンバーを倒すが、死体を見た莫研は気を失ってしまう。展昭は莫研を心配し、寧晋は七葉槐花で屍毒を解毒することを提案するが、莫研の心の傷は癒えない。蕭観音は趙渝に白駱駝の血を贈り、弱みを見せまいと趙渝と寧晋は無理やり飲むが、後で激しく嘔吐する。
莫研は展昭が何かを隠していると感じ、探りを入れるが、展昭は口を閉ざす。趙渝は莫研に展昭を尾行するよう勧める。また、寧晋は耶律洪基から贈られた海東青を放すが、耶律重光に捕まり、スープにされてしまう。耶律重光は蘇酔に暗花メンバーを殺した理由を問いただす。蘇酔は耶律重光を守るためだと説明し、側近に潜む宋のスパイを早急に探すと約束する。そして、暗花の首領の居場所を蘇酔に伝える。
第17話の感想
第17話は、サスペンスとユーモアが絶妙に絡み合い、息つく暇もない展開に引き込まれました。蕭太妃毒殺事件の真相究明は、刻一刻と変化する状況と、誰が味方で誰が敵か分からない緊張感の中で進み、緊迫感たっぷりでした。展昭と寧晋のコンビによる推理と駆け引きは見事でしたが、真犯人への道筋はまだ見えない中で、今後の展開への期待が高まります。
特に印象的だったのは、莫研の機転と演技力。西夏の間諜を装って耶律洪基を欺く大胆な作戦は、まさに手に汗握るシーンでした。彼女の機転と勇気は、物語にスリルと興奮をもたらすだけでなく、趙渝や展昭との関係性にも変化をもたらし、物語に深みを与えています。趙渝とのコミカルなやり取りも、シリアスな展開の中で良い息抜きとなり、二人の絆を感じさせる温かいシーンでした。
一方で、耶律菩薩奴の謎めいた存在感は、物語全体に影を落とし続けています。仮面の下に隠された真意、そして趙渝との複雑な関係は、今後の展開における重要な鍵となるでしょう。海東青の正体が蘇酔であると明かされたことで、大宋と遼の関係、そして暗花をめぐる陰謀はさらに複雑さを増し、今後の展開がますます予測不可能になりました。
つづく