あらすじ
第22話は、耶律洪基、寧晋、蘇酔、趙渝らの登場人物を中心に展開し、主に耶律洪基が名君を目指しながらも宋への出兵という誘惑と苦境に直面する様子、そして寧晋との協力と探り合いを描いています。
贓款の回収と龐太師、耶律重光の失脚を狙う耶律洪基は、蘇酔の死を条件に寧晋に協力を持ち掛け、その真意を探ろうとします。しかし、実際には蘇酔を殺すつもりはなく、寧晋の覚悟を試すための芝居でした。
一方、展昭たちは蘇酔の失踪に気付き、捜索を開始します。そして、肝心の局面で蘇酔が無事に姿を現し、真相が明らかになります。
また、龐太師と耶律重光の間では、利権分配をめぐる不和が生じ、それぞれの目的を達成するため政略結婚を企てる様子も描かれています。
最後に、趙渝と蘇酔の恋模様にも進展が見られます。互いに想いながらも、現実の重圧から辛い選択を迫られる二人の姿が切なく描かれています。
ネタバレ
遼国では、耶律洪基は名君を誌しながらも、領土拡大の野心を抱いていた。しかし、宋への出兵は西夏遠征の二の舞となり、民を苦しめるだけだと理解していた。寧晋もその点を指摘し、汚職事件の真相究明に協力することで、龐太師と耶律重光の失脚を狙うことを提案した。だが、耶律洪基はスパイに長年騙されていた屈辱から、耶律菩薩奴を遼で始末したいという強い思いを抱いていた。
大同館に戻った寧晋は、蘇酔と趙渝を逃がそうとするが、趙渝の蘇酔への想いに気づき、二人を守るため自身で危機に立ち向かう決意をする。蘇酔は耶律洪基との会談内容を寧晋に問い詰め、その条件を聞かされる。長年潜伏してきたスパイである蘇酔は、両国の平和のために自らの命を犠牲にする覚悟を決める。趙渝については、国事の前では私情は二の次だとし、二人の耶律菩薩奴が現れて混乱を招かないよう、展昭を守るよう寧晋に頼む。
蘇酔は単身、太子府へ赴き耶律洪基と対面する。耶律洪基は蘇酔の正体を疑うが、過去の些細な出来事を蘇酔が正確に語ることで、その疑いは晴れる。耶律洪基は蘇酔がなぜ自ら死を選んだのか問いただすと、蘇酔は両国の平和のためだと答え、耶律洪基は感銘を受ける。毒酒が運ばれてくると、蘇酔は迷わずそれを飲み幹す。しかし、実は耶律洪基は蘇酔を殺すつもりはなく、寧晋の真意を確かめるための芝居だった。蘇酔は無事に戻り、安堵した趙渝は彼に抱きつく。
一方、龐太師と耶律重光は耶律菩薩奴を宴に招く。展昭たちはそれが汚職事件に関わる鴻門宴だと睨む。宴の席で、龐太師は耶律菩薩奴の仮面を剝がそうとする。交渉の末、耶律菩薩奴は素顔を見せることを余儀なくされる。莫研は龐太師がこのまま引き下がらないことを危惧し、事態の収拾を図ろうとするが、その時、龐太師は耶律重光と展昭を見送っていた。突然、刺客が現れ耶律重光に襲いかかる。展昭は耶律重光を助け、二人は難を逃れるが、展昭は負傷する。耶律重光は龐太師を信用できないと悟り、罪悪感を抱く。
龐太師は耶律洪基に接近し、耶律重光を排除する代わりに莫大な財産を分け与えることを提案する。さらに、公主の上京中に刺客を送り込み、耶律重光に罪を著せる陰謀を企てる。緊迫した状況の中、趙渝の婚礼が迫る。耶律洪基から贈られた完璧な玉簪よりも、蘇酔が修理してくれた玉簪を大切に思う趙渝は、蘇酔に想いを伝える。しかし、蘇酔は趙渝を苦しい生活に巻き込みたくないと思い、冷たく突き放す。悲しみに暮れた趙渝は玉簪を残し、その場を去る。蘇酔は背を向け、涙を流す。
第22話の感想
第22話は、息詰まる展開と登場人物たちの複雑な感情が交錯する、非常にドラマチックな回でした。特に蘇酔の自己犠牲の精神には心を打たれました。国のために命を投げ出そうとする覚悟、そして愛する人のためあえて冷たく突き放す姿は、彼の深い愛情と責任感を物語っています。耶律洪基の真意を探るための芝居とはいえ、毒酒を飲むシーンは緊張感MAX。蘇酔の覚悟がどれほどのものか、ひしひしと伝わってきました。
趙渝の切ない恋心も胸を締め付けます。婚礼を控えながらも、蘇酔への想いを抑えきれず、彼の冷たい態度に深く傷つく姿は見ていて辛かったです。彼女が最後に残した玉簪は、蘇酔への想いと諦めの象徴のように感じられました。
つづく