あらすじ
第二十三話では、趙渝公主の婚礼当日、蘇酔が耶律菩薩奴として姿を現し、趙渝にひとときの安らぎをもたらす様子が描かれます。しかし、婚礼の行列が刺客に襲われ、趙渝は重傷を負い、ついに帰らぬ人となってしまいます。蘇酔は趙渝を守りきれなかったことを深く悔やみます。
その後、吐蕃の証言と寧晋の提出した証拠により、耶律重光は暗殺に関与した疑いで遼の皇帝・耶律洪基によって投獄されます。趙渝の死後、寧晋は彼女の遺体を宋に送り届け、遼との開戦を決意します。
一方、蘇酔は獄中で耶律重光と面会し、自らの身分を利用して戦争を引き起こすつもりはないことを伝え、仮面を彼に託します。宋に戻った蘇酔は深い自責の念に苛まれますが、展昭は龐太師の謀反の企てを指摘し、国への忠誠と向き合い、立ち上がるよう促します。
その頃、龐太師は完全な虎符を手にし、ひそかに次の行動を企てていました。
ネタバレ
提灯飾りつけ中の展昭と莫研は、偶然にも趙渝が蘇酔の部屋から泣きながら飛び出すのを目撃する。蘇酔が趙渝を傷つけたと思い込んだ莫研は、部屋に押し入り蘇酔を問い詰める。その時、蘇酔は簪を隠していた。さらに莫研は、結婚後の趙渝は深窓の奥に閉じ込められ、蘇酔と二度と会えなくなることを突きつけるが、蘇酔は何も答えない。展昭は、蘇酔に耶律菩薩奴の姿で趙渝を送り届け、想いを遂げるよう提案する。
婚礼当日、盛装の趙渝だが、心は晴れやかではない。龐太師による聖旨の宣読後、耶律菩薩奴に変装した蘇酔が現れ、趙渝を迎える。輿入れの途中、趙渝は仮面の下の蘇酔の声で彼の正体に気づき、ようやく笑顔を見せる。しかし、馬車に乗る直前、趙渝は蘇酔を深く見つめ、これが二人の最後の出会いとなる。
道中、刺客たちに襲撃され、矢が雨のように降り注ぐ。迎親隊は防戦するも、趙渝の馬車にも矢が命中し、彼女は負傷して倒れる。武功を失った蘇酔は何もできず、駆け寄り趙渝を抱きしめる。ついに、趙渝は蘇酔の腕の中にいた。
趙渝負傷の報を受けた龐太師は、憤慨を装い耶律洪基の元へ行き、説明を求める。一方、寧晋は、襲撃の裏に火薬取引があり、遼国内部の者の仕業と睨む。捜査の結果、吐蕃の商人が耶律重光の関与を証言し、耶律重光は捕らえられる。耶律洪基は寧晋に感謝し、趙渝を遼から連れ出すことを許可する。
しかし、趙渝は傷が深く、心脈を損ない危篤状態に陥る。蕭観音は、御医に趙渝を救えと命じ、さもなくば殉葬させると脅す。意識を取り戻した趙渝は、周囲の異様な雰囲気に気づくが、寧晋は大丈夫だと慰める。莫研は宋へ戻り公主として暮らすことを勧めるが、趙渝は公主の身分を厭き、自由を求めていた。蘇酔は静かに寄り添い、莫研は二人きりになる時間を作る。蘇酔は趙渝を守れなかったことを悔やむが、趙渝は彼を責めず、ただ話を聞かせてほしいと願う。蘇酔の愛を得られなかったことを嘆き、蘇酔の頬に触れようとするも力尽き、息を引き取る。莫研は悲痛の叫びを上げ、寧晋は趙渝の遺体を宋へ送り届け、遼へ宣戦布告を決意する。
葬列は長く、莫研は展昭に影で動くよう指示する。龐太師は展昭が死んだと思い込んでいるからだ。蘇酔は獄中の耶律重光を訪ね、耶律重光は蘇酔の正体を知る。そして、なぜ耶律菩薩奴の身分を利用して遼を転覆させないのかと問う。蘇酔は趙渝を襲わせた耶律重光を憎んでいるが、罪のない民を戦火に巻き込むことは望まないと答える。去り際に仮面を耶律重光に渡し、耶律重光は虎符を龐太師に渡したことを明かす。
趙渝の棺は都へ戻り、百官は喪服で出迎え、皇后は悲しみのあまり倒れる。任務を終えた蘇酔は、酒を買っている最中、趙渝を侮辱する者たちと揉め事を起こし、武功を失い酔っていたため、袋叩きに遭う。莫研は蘇酔を介抱するが、蘇酔は目を覚ますと再び酒に溺れる。莫研は、このままでは命を落とすと警告する。蘇酔は趙渝を守れなかった自分を責め、生きている意味を見出せないでいた。展昭は龐太師の謀仮を教え、蘇酔に立ち直るよう促す。蘇酔は展昭に、愛する者と国、どちらを選ぶべきかと問いかける。
寧晋は包拯 と碁を打ちながら、皇帝の病状悪化と国境の緊張について話す。寧晋は、自分と皇帝が龐太師に操られていると打ち明けるが、包拯 は何も答えない。虎符を手に入れた龐太師は、二人の会話を盗み聞き、次の行動に移ろうとしていた。物語は、複雑に絡み合う登場人物たちの感情と、迫り来る政変の様を描いている。
第23話の感想
第23話は、趙渝の死という悲劇を通して、登場人物たちの様々な感情が深く描かれた、非常に重厚なエピソードでした。蘇酔の秘めた愛、趙渝の自由への渇望、そして寧晋の怒り。それぞれの想いが交錯し、物語に深みを与えています。
特に印象的だったのは、蘇酔の葛藤です。愛する趙渝を守れなかった自責の念と、耶律菩薩奴としての責任感の間で揺れ動く姿は、胸を締め付けられるものがありました。武功を失いながらも、趙渝の最期を看取ることができたのは、せめてもの救いだったのかもしれません。趙渝が最後に見せた穏やかな表情は、蘇酔への深い愛情と信頼を表しているようでした。
また、龐太師の暗躍も不気味さを増しています。虎符を手に入れ、皇帝と寧晋を操る姿は、まさに黒幕と呼ぶにふさわしいでしょう。今後の展開が非常に気になります。
つづく