あらすじ
第10話では、紀若塵と張殷殷が失くした宝物を探す途中に混沌の地へ迷い込み、奇妙な出来事に次々と遭遇する様子が描かれています。二人は謎めいた宿屋で花娘と張万才に襲われた後、目を覚まします。そこで、二人が実は九幽十三魔のメンバーであり、紀若塵が三界を救うべく選ばれた人物であることを告げられます。吟風によって紀若塵の本当の身分が明かされ、彼に対する様々な勢力からの圧力が強まります。戦闘で紀若塵は瀕死の重傷を負い、顧清は彼を救うために自らの仙人法相を破壊します。意識を取り戻した紀若塵は顧清に感謝を述べますが、張殷殷との約束を守り、顧清の誘いを断ります。最後は、零の助けを借りて昏睡から目覚めた張殷殷が、紀若塵の身を案じ、西玄へと彼を探しに向かう決意をするところで幕を閉じます。
ネタバレ
若塵は張殷殷と共に失くした宝を探しに混沌とした霧深い森に迷い込み、突如現れた宿屋に足を踏み入れる。しかし中は無人。二人が声をかけると、何者かに襲われ気を失ってしまう。
実は襲撃したのは花娘と張万才。戦利品を探すが、倒れていたのは若塵だった。二人は驚き、慌てて若塵を目覚めさせる。再会を喜び、若塵はこれまでの出来事を語る。花娘は頷きながら話を聞く。若塵は吟風事件の際、「肥羊を叩け」と叫んだだけで大きな効果があったことに疑問を抱き、また、偽の身分で過ごしてきたことに罪悪感を覚えていた。
張万才は、全ては計画通りだと明かす。彼らは九幽十三魔の雌雄双魔であり、三界を救う人物を探していた。そして若塵を見つけ、吟風を殺し、その身分を若塵に与えたのだった。吟風が生きていても問題ない、若塵は自分たちが育てたので期待を裏切らないと語る。
目を覚ました張殷殷と共に、若塵は二人と別れを告げる。結界の外では、張殷殷の母の宝を狙う門派の弟子たちがおり、父は既に戦死していた。さらに、吟風が現れ、若塵の正体を暴こうとする。実は多くの門派が秘密を知っていたが、蝗蛇退治のために若塵を利用していたのだ。大妖が倒された今、若塵は用済みとなり、皆に非難される。顧清は若塵の大らかさと吟風の狭量さを比較する。
若塵は吟風に謝罪する。二年前、吟風の身分を知らずに谪仙の身分を騙ったことを詫びる。吟風は復讐を求め、仙識に目覚めた今、顧清に自分を受け入れるよう迫る。しかし顧清は、たとえ以前は誤解だったとしても、今はこのままが良いと言う。三界の危機を救う人物が必要であり、吟風にはそれができないと判断し、若塵と共にいることを選ぶ。
吟風との戦いで重傷を負った若塵は、死の間際に顧清を張殷殷と見間違え、愛を語る。その姿に心を打たれた顧清は、若塵を救うため仙人の姿と力を捨て、普通の人間となる。
目覚めた若塵は顧清に感謝し、共にいることを勧められるが、張殷殷との約束を破ることはできないと断る。顧清は彼の誠実さを認め、身を引く。
以前、重傷を負った張殷殷を若塵は無尽海の零に預けていた。数日後、回復した張殷殷は若塵を想い、西玄へ向かう小舟に乗り込む。
第10話の感想
第10話は、まさに怒涛の展開でした。若塵と張殷殷が迷い込んだ怪しい宿屋での出来事から、張万才と花娘の正体、そして吟風との対決、顧清の自己犠牲、と次々に衝撃的な事実が明らかになり、息つく暇もありませんでした。
特に印象的だったのは、顧清の決断です。若塵への深い愛情から、自らの仙人の地位と力を捨て去るという彼女の選択は、あまりにも切なく、そして美しいものでした。愛する人のために全てを捨てる覚悟、まさに究極の愛の形と言えるでしょう。若塵が生死を彷徨う中で張殷殷ではなく顧清の名前を呼んだシーンは、顧清にとっては喜びであり、同時に残酷な現実を突きつけられた瞬間でもあったはずです。それでもなお、若塵を生かす道を選んだ顧清の強さには、胸を打たれました。
つづく