あらすじ
第11話は、張殷殷が無限の海で遭遇した試練と挑戦を描いています。彼女は小舟でとある孤島に辿り著き、そこで碁を打つ無掌門に出会い、捕らわれてしまいます。脱出を試みても無駄だと悟った張殷殷は、紀若塵への想いを募らせます。
一方、顧惜晨は吟風と出会いますが、吟風は天書第一巻の仙術を彼女に授け、これにて互いの借りを作らない道を選びます。
青衣が冥氷獄に囚われていることを知った張殷殷は、無掌門に決闘を申し込みます。勝てば青衣を連れて行くと宣言しますが、あっけなく敗北し、冥氷獄へと送られてしまいます。そこで紀若塵を見つけたと思った張殷殷でしたが、それは青衣が作った木偶でした。この誤解から二人は衝突し、共に無掌門の前に引き立てられます。
青衣は紀若塵に対する張殷殷の態度に不満を抱きますが、零の仲裁もあり、無掌門は張殷殷を無限の海から出すことを決めます。
同じ頃、紀若塵は張殷殷を迎えに無限の海へ向かう準備を進めていました。そして、自分が持っているものが神州気運図であることに気づきます。彼は紫微師尊に自分の正体を明かし、西玄に残って危機を救いたいと申し出ます。
ネタバレ
張殷殷は小舟で長い間海を漂流し、ようやく小さな島を見つけた。彼女は船を降り、碁を打つ人物に水を乞うたが、相手は動じることなく、碁を打たないかと誘った。急いでいた張殷殷は断ろうとしたが、零が水差しを持つ姿を見て、まだ「無尽海」の中にいると悟り、怒って碁盤をひっくり返そうとしたが、びくともしなかった。
島の主、万妖の首領である無掌門は、張殷殷が九尾天狐の弟子だと見抜き、彼女との因縁を明かした。張殷殷は師の名を借りて出ようとしたが、無掌門は九尾天狐と深い関わりがあり、余計な問題を起こさせまいと、彼女を無尽海に閉じ込めた。島には零と無掌門しかいない。夜、張殷殷は物思いにふけりながら零に大切な人がいるかと尋ねたが、精霊である零には理解できなかった。
顧惜晨は吟風に会い、一緒に来てほしいと願った。しかし、仙識を開いた吟風は過去を忘れるように告げ、天書第一巻の仙術を与えて彼女と別れた。
無尽海で青衣が冥氷獄に閉じ込められ、仮省を強いられていると聞いた張殷殷は憤慨し、零を通して無掌門に戦いを挑んだ。勝てば青衣を連れて無尽海を出るという条件で。
無掌門は張殷殷の挑戦を受け入れた。彼女の仲間が無尽海に侵入し、騒ぎを起こしていたため、彼らを島に残す口実にしたかったのだ。張殷殷は剣を抜いて無掌門の仮面を割ろうとしたが、軽くあしらわれ、冥氷獄に落とされた。
冥氷獄で、張殷殷は青衣が紀若塵らしき人形に話しかけているのを見つけた。青衣は張殷殷を見て喜び、人形に「キスして」と言った。紀若塵が人形にされていることに怒った張殷殷は青衣と喧嘩を始めた。青衣はなぜ自分が紀若塵と親しくしてはいけないのか理解できなかった。
二人の喧嘩は、無掌門の前に連れて行かれることで終わった。青衣はなぜ紀若塵は一人だけのものなのかと無掌門に訴えた。零でさえ張殷殷の味方につき、紀若塵は張殷殷の恋人だと説明した。周りの者が張殷殷に感化されているのを見た無掌門は、彼女を無尽海から出すことにした。
紀若塵は張殷殷を迎えに行く準備をしていた。紫微師尊に別れを告げると、神州気運図が近いことを教えられた。紀若塵は花娘から受け取ったものがそれだと気づき、自分が谪仙の身代わりであることを告白し、謝罪した。紫微はそれを承知しており、西玄の危機を救うために残るよう頼んだ。
第11話の感想
第11話は、登場人物たちの複雑な感情とそれぞれの思惑が交錯する、波乱に満ちた展開でした。特に印象的なのは、張殷殷の真っ直ぐな愛情と、青衣の歪んだ愛情の対比です。紀若塵への一途な想いを抱く張殷殷は、青衣の紀若塵人形への執著に怒りを露わにします。青衣は孤独な環境で育ったがゆえに、愛情表現が未熟で、それが張殷殷との衝突に繋がってしまうのが切ないです。
また、吟風と顧惜晨の別れも胸を締め付けられます。仙識を開いた吟風は、顧惜晨への情を断ち切り、過去を忘れるよう告げます。彼の冷たい態度は、仙道に進むための決意の表れなのでしょうが、顧惜晨にとっては受け入れがたいものでしょう。二人の間にあった温かい思い出が、より一層悲劇性を際立たせています。
つづく