あらすじ
第18話は、吟風が紀若塵を排除して仙人の除魔の責務を果たそうとする場面から始まります。まさにその時、顧清が現れ攻撃を防ぎ、自らの自由を代償に紀若塵を救います。
重傷を負った紀若塵は雨の中、必死に生き延びようとしますが、ついに秋水と張殷殷に発見されます。張殷殷は紀若塵を献身的に介抱し、吟風に復讐することを諦めます。
一方、張殷殷の母である黄興蘭は、娘の天劫を乗り越えさせるため、単身で九尾の天狐・蘇姝を探し出し、激しい苦痛に耐えながら蘇姝に打ち込まれた鎮妖釘を抜きます。
紀若塵は目を覚ましますが、体は衰弱しきっていました。しかし、周りの人々、特に張殷殷の励ましと献身的な世話によって再び希望を取り戻し、歩けるようにとリハビリを始めます。
最後は、二人が庭で歩行練習をしている最中に、心温まる触れ合いが描かれ、二人の間の深い絆が感じられる場面で幕を閉じます。
ネタバレ
吟風は紀若塵を抹殺しようと剣を振りかざした。まさに胸を貫こうとした瞬間、顧清が駆けつけ、身を挺して刃を受け止めた。彼女は涙ながらに紀若塵の命乞いをし、代わりに自分が吟風のそばに仕え、片時も離れぬと誓った。吟風は望み通り顧清を得て、紀若塵を見逃し、立ち去った。
深手を負った紀若塵は、降りしきる雨の中、瀕死の状態にあった。激しい疲労と眠気に襲われる中、彼を奮い立たせる声が聞こえた。三界平定の大使命、そして張殷殷の顔が、彼を現世につなぎ止めた。強い生命力で、ついに秋水と張殷殷に発見された。
紀若塵の傷を見た張殷殷は、吟風の仕業と察し、復讐に向かおうとした。しかし紀師伯は、紀若塵が意識を取り戻した時、最初に会いたいのは張殷殷だと諭し、彼女は泣く泣く病床へと戻った。
娘の消息を絶っていた黄興蘭は、張殷殷が紀若塵の結婚式で騒動を起こし、正体を現したため西玄に帰れなくなったと聞き、心配でたまらなかった。彼女は九尾天狐・蘇姝に張殷殷の劫を乗り越える手助けを頼もうと訪ねた。蘇姝は黄興蘭の浅はかさを嘲笑い、自分は捕らわれの身で何もできないと突き放した。蘇姝の真意を悟った黄興蘭は、彼女の体に打ち込まれた鎮妖釘を素手で抜き始めた。
剣でも切れない頑丈な釘を、我が子のためにと、激痛に耐えながら全て抜き去った。蘇姝は高笑いと共に立ち去った。
紀若塵はついに目を覚ました。全身の筋骨が断たれたと知りながらも、心は穏やかだった。もはや師の期待に応えることも、花娘の願いを葉えることもできない。数日間、秋水と張殷殷の献身的な看病を受け、昼間には羊の乳を飲ませてもらおうと張殷殷が羊を追いかける姿を見て、思わず笑みがこぼれた。皆の努力に応えようと、紀若塵も諦めずに生きようとした。夜半、体に力を感じた彼は包帯を外し、歩行練習を始めた。
紀若塵が歩けるようになったのを見て、張殷殷は喜び駆け寄った。西玄に帰りたいかと尋ねられ、今の自分の姿では西玄の期待を裏切ったと嘆く張殷殷。紀若塵は回復したら両親に会いに連れて行くと約束した。庭をゆっくりと歩く二人。紀若塵がよろめき、共に倒れ込んだ。張殷殷は紀若塵の傷を気遣ったが、彼はその胸に顔をうずめる彼女に優しく口づけた。
第18話の感想
第18話は、まさに「愛」と「犠牲」がテーマのエピソードでした。紀若塵を救うため、自らの身を危険に晒す顧清の深い愛情、そして瀕死の紀若塵を支える張殷殷の献身的な姿には胸を打たれました。特に、雨の中倒れる紀若塵を奮い立たせる「声」と、彼の脳裏に浮かぶ張殷殷の顔が、二人の絆の強さを象徴しているようで印象的でした。
一方、娘を思う黄興蘭の母性愛も強く描かれています。どんな苦痛にも耐え、蘇姝を解放する彼女の姿は、まさに「母は強し」を体現していました。蘇姝の冷酷な態度とは対照的に、黄興蘭の無償の愛が際立ちます。
そして、目を覚ました紀若塵の心境の変化にも注目です。絶望の中にも、彼を支える人々の温かさを感じ、再び生きる希望を見出す様子は、感動的でした。特に、張殷殷が羊を追いかける微笑ましいシーンは、重苦しい雰囲気の中で一筋の光のように感じられました。
つづく