あらすじ
第二十話では、張殷殷と紀若塵が九尾の天狐の助けを借りて无尽海に入り、嗜情尊者と対峙し、女媧の涙を求める物語が描かれています。紀若塵は体内の紫気のおかげで嗜情尊者との交渉で代償を払わずに済みましたが、張殷殷は紀若塵の神力回復と復讐を願い、彼とのすべての思い出を女媧の涙と引き換えに捧げました。
力を取り戻した紀若塵でしたが、張殷殷は関連する記憶を失い、彼のことを覚えていませんでした。それでも二人は九尾の天狐の助力により西玄へ帰還します。
道中、紀若塵は小さな計略を巡らせ、過去のやり取りを再現しようと試みます。記憶を失っても、彼の温かさを張殷殷に感じさせたい。二人の間にある深く複雑な絆が、切なくも美しく表現されています。
ネタバレ
張殷殷と紀若塵、そして九尾天狐は共に無尽海へと辿り著いた。九尾天狐の助力により、補天涯の門が開かれ、二人は妖禁へと足を踏み入れる。そこで二人はそれぞれ異なる幻境へと誘われた。
紀若塵は幻境の中で嗜情尊者と対面し、来意を告げる。嗜情尊者は交換条件として紀若塵の最も大切なものを要求する。だが、天賦の才を持つ紀若塵から何かを奪おうとした瞬間、体内の紫気に阻まれ、嗜情尊者は紀若塵から手を引く。
一方、張殷殷も嗜情尊者と出会い、女媧の涙を手に入れる日も近いと喜ぶ。しかし、嗜情尊者は彼女にも最も大切なものを要求した。張殷殷にとってそれは紀若塵であり、彼を傷つけるようなことは決してしないと拒絶する。
嗜情尊者は真意を伝え、彼女と紀若塵の記憶こそが求めるものだと明かす。それは張殷殷にとっても大切なものだった。力を失い、仇討ちに燃える紀若塵にとって、これが唯一の希望だと悟った張殷殷は、苦渋の決断の末、紀若塵の未来のために記憶を差し出すことを承諾する。
嗜情尊者は張殷殷の紀若塵に関する記憶を全て取り出し、彼女は涙を流す。女媧の涙を手に入れ、力を取り戻した紀若塵は、それが張殷殷の犠牲によるものだと察し、彼女を探し始める。そして、崖っぷちで再会を果たす。二人は妖禁から脱出するが、残された時間はわずかだった。
紀若塵は喜び勇んで張殷殷を西玄へ連れ帰ろうとするが、彼女は紀若塵のことを忘れてしまっていた。師匠や他の仲間は覚えていても、紀若塵に関する記憶だけが失われていたのだ。九尾天狐は、これ以上過去を思い出させると張殷殷の心に傷を負わせると忠告し、西玄へ戻ることを勧める。
西玄への道中、張殷殷が鶏肉を食べたいと望んでいることを察した紀若塵は、ちょっとした策略を巡らせる。ある富豪の家の財神様に鶏肉を食べたいと言わせ、驚いた一家は山盛りの鶏料理を用意する。二人は屋根の上で笑いながら鶏肉を堪能し、張殷殷は紀若塵の機転を褒める。
紀若塵は張殷殷の好物である鶏の手羽やモモ肉を彼女に差し出し、みかんの皮も剝いてあげる。まるで自分のことをよく知っているかのような紀若塵の行動に、張殷殷は驚きながらも、記憶を失ったことを悲しむ。紀若塵は彼女を慰めるため、青衣から聞いたことだと説明する。
第20話の感想
第20話は、紀若塵と張殷殷の強い絆と、その絆が試される切ないエピソードでした。女媧の涙を入手するために妖禁へと足を踏み入れた二人。それぞれが幻境の中で嗜情尊者と対峙し、試練に立ち向かう姿が印象的でした。特に、紀若塵の身を案じ、自らの大切な記憶を犠牲にする張殷殷の深い愛情には胸を打たれました。
記憶を失ってもなお、紀若塵への信頼を垣間見せる張殷殷。そして、そんな彼女を優しく見守り、支えようとする紀若塵。二人の間には、言葉を超えた確かな繋がりを感じます。記憶が失われたことで、二人の関係は新たな局面を迎えますが、これは悲劇ではなく、新たな愛の物語の始まりと言えるでしょう。
つづく