あらすじ
第21話は、紀若塵と張殷殷の関係を中心に展開します。西玄へ向かう道中、二人の間には微妙な空気が流れ始めます。紀若塵が張殷殷を特別扱いすることに、張殷殷は誤解を避けるため別行動を提案しますが、紀若塵のちょっとした計略によって結局同行することになります。
西玄に到著後、張殷殷は紀若塵のことを忘れてしまい、周囲の人々は様々な憶測をしますが、実は彼女は紀若塵に関する記憶を失っていたのです。これは女媧の涙を交換した結果であり、元に戻すことはできません。
紀若塵は張殷殷の記憶を取り戻したいと願いますが、それは不可能な過程だと告げられます。同時に、張殷殷は紀若塵に近づこうとするたびに激しい頭痛に襲われ、自傷行為に及ぶことさえあります。九尾の天狐は一時的に彼女の症状を和らげますが、根本的な解決には至りません。
最後に、紀若塵は自身に宿る幽蘭明焰が張殷殷を助ける可能性があることを知りますが、同時に大きなリスクも伴うことを理解します。彼は難しい選択を迫られることになります。
ネタバレ
西玄へ向かう道中、紀若塵と張殷殷の間には微妙な空気が流れていた。師姐である張殷殷に対し、紀若塵は名前で呼び、何かと世話を焼く。その過剰なまでの優しさに気づいた張殷殷は、距離を置こうと別行動を提案する。しかし、紀若塵は頭痛を装い、彼女を引き止める。
一方、侠客零は九尾天狐を無尽海へ招待するため、彼女の元を訪れる。師伯の座駕まで用意されたことに青衣は驚き、九尾天狐も感慨深げに、かつて誰かに海への同行を断られた過去を思い出す。結局、九尾天狐は無尽海へは向かわず、零を通して「無尽海の尊上が考えを改めたら会う」という条件を伝える。
西玄に到著した張殷殷は、他の弟子たちのことは覚えていても、紀若塵のことだけは忘れていた。周囲は芝居ではないかと疑うが、紀若塵は彼女が本当に記憶を失っていると説明する。連雲風の死を含め、二人の下山での出来事を聞いた弟子たちは憤慨し、仇討ちを誓う。
張殷殷は足の不自由な父と再会し、母から命が助かったことを慰められる。旅の途中で、西玄の弟子に特別な配慮を受けたこと、張家がかつてその弟子に恩があるらしいことを母に話す。紀若塵の名前を聞いた母は驚き、殷殷の体に異変がないか確認した後、妖禁之地へ行ったという話を聞き、さらに心配する。
紀若塵は師に張殷殷の記憶を取り戻す方法を尋ねるが、女媧涙との交換による記憶喪失は不可逆的だと告げられる。絶望した紀若塵は鎮新殿でも同じ残酷な事実を突きつけられ、九尾天狐を責める。しかし、九尾天狐は全て紀若塵自身の選択の結果だと仮論する。
時が経つにつれ、紀若塵は偉大な理想よりも大切なものがあると気づく。張殷殷も彼に好意を抱くようになるが、深い感情を抱こうとするたびに激しい頭痛に襲われる。ある時、彼女は苦痛のあまり壁に頭を打ち付け、紀若塵は何もできないもどかしさを感じる。そこに九尾天狐が現れ、真気で張殷殷を落ち著かせ、「嗜情尊者と交換したものは誰にも奪えない」と告げる。
最後に、紀若塵は紫微師尊に解決策を求める。師尊は幽蘭明焰が張殷殷の症状を和らげる可能性を示唆するが、同時にその力の危険性も警告する。紀若塵は難しい選択を迫られ、今後の道を決めなければならない。
第21話の感想
第21話は、紀若塵と張殷殷の切ない関係性に胸が締め付けられるエピソードでした。記憶を失ってもなお、紀若塵に惹かれていく張殷殷。しかし、その想いが深まるほどに襲われる頭痛は、二人の未来を暗示しているようで残酷です。紀若塵の献身的な姿は感動的ですが、同時に空回りしているようにも感じられ、もどかしさが募ります。
九尾天狐の言葉は、常に核心を突いていて考えさせられます。彼女が紀若塵に突きつける現実は厳しいですが、だからこそ紀若塵の成長を促しているようにも見えます。女媧涙との交換という、もはや後戻りできない選択をした紀若塵。彼がこれからどのような道を選び、どう乗り越えていくのか、今後の展開が非常に気になります。
つづく