あらすじ
第二十三話は、冥山妖皇と無尽海の主の争いの中、紀若塵が自身の力を徐々に覚醒させていく物語です。彼は幽藍の炎を用いて自らを縛る鎖を解き放っただけでなく、偶然にも上古の神器である修羅矛に認められ、冥山妖皇を驚愕させました。
紫金宮の霊穴に近づくにつれ、紀若塵は薬老とその息子である炫亀に出会います。彼らの苦境を理解した紀若塵は、霊穴を破壊する計画を延期することに同意します。しかし、霊穴の影響で炫亀が暴走したため、紀若塵は霊穴を破壊することを決意。結果として霊穴は崩壊し、炫亀は紀若塵の本命法器へと変化しました。
それと同時に、紀若塵と張殷殷の関係は試練を迎えます。記憶を失い、情動を持つたびに苦しむ張殷殷を守るため、紀若塵は苦渋の決断を下し、彼女を送り出します。そして、迫り来る試練に一人で立ち向かうことになります。
ネタバレ
冥山妖皇は、紀若塵など取るに足らないと無尽海の主の警告を一笑に付した。しかし、主は妖皇の浅慮を嘲り、紀若塵が自らの力で束縛を解けると示唆する。すると紀若塵は、体内の青い炎に意識を集中し、見事鎖を溶かし脱出した。
妖皇との戦闘が激化する中、紀若塵は青い炎を自在に操り、ついには上古神器・修羅矛を我が物とした。修羅矛を手にした紀若塵に、妖皇は驚きを隠せない。
紫金宮の霊穴に近づくにつれ、紀若塵の傷は奇跡的に癒えていった。霊穴の入り口で、二人は薬師の老人に出会う。霊穴を破壊しに来たと知ると、老人は息子がかつて紫金宮で妖皇に傷つけられ、霊穴の気で療養中だと説明し、完治するまで待ってほしいと懇願する。
紀若塵は老人の願いを受け入れた。老人は、殷殷が紀若塵を救うため、女娲の涙と引き換えに記憶を失ったことを見抜き、記憶は戻せないものの妖気を浄化してやった。そして、人妖の道は違い、結ばれることはないと紀若塵に忠告する。
その時、霊穴から溢れる紫の妖気に当てられ、老人の息子である玄亀が暴走し霊穴へ飛び込んでしまう。止めようとした紀若塵だったが、既に遅かった。霊穴の危険性を察知した紀若塵は、修羅矛で霊穴を破壊する。轟音と共に、霊穴は崩壊した。
霊穴の破壊を感知した無尽海の師匠、そして国師と吟風は動揺する。顧清は幻視で紀若塵が青い冥火を使っているのを見て、吟風の「紀若塵は魔だ」という言葉を確信する。
玄亀の怨念は混沌雷龍と化し、老人は紀若塵に息子を本命法器として受け入れてくれるよう頼む。紀若塵はそれを承諾し、指輪に変えて身に著ける。感謝する老人から、七星連珠の満月の夜には時空が逆転し、殷殷の記憶も少しは戻るかもしれないと告げられる。
その後、妖皇率いる妖獣たちに追われる紀若塵と殷殷。しかし、混沌雷龍の助けで難を逃れる。絶え間ない脅威、そして記憶を失い、情が深まるたびに苦しむ殷殷を守るため、紀若塵は偽りの理由で彼女を遠くへ送ることを決意する。辛い別れだったが、今はそれが最善だと考えた。一人残された紀若塵の姿は、これから彼が一人で立ち向かうであろう試練を予感させるのだった。
第23話の感想
第23話は、紀若塵の力と優しさ、そして苦悩が際立つエピソードでした。これまで謎に包まれていた青い炎の力がついに解放され、修羅矛を操る姿は、まさに覚醒といった印象です。冥山妖皇との対峙シーンは迫力満点で、今後の展開への期待が高まります。
しかし、力と引き換えに、紀若塵は大きな責任を背負うことになります。霊穴の破壊、そして玄亀を本命法器とする決断は、彼の優しさと決断力を示す一方で、更なる困難を予感させます。特に、記憶を失った張殷殷との関係はもどかしく、彼女を守るために別れを選ぶシーンは胸が締め付けられました。愛する人を危険に巻き込みたくないという彼の気持ちは痛いほど伝わってきますが、二人の未来がどうなるのか、とても心配です。
薬師の老人の存在も印象的でした。息子のために霊穴を守りたいという親心、そして人妖の道を説く言葉は、物語に深みを与えています。七星連珠の満月の夜に時空が逆転するという情報は、今後の重要な鍵となるでしょう。
つづく