あらすじ

第二十八話は、九幽祁玉城における紀若塵ジー・ルオチェン張殷殷ジャン・インインの生活を描いています。深い穴に落ちた二人でしたが、命に別状はなく、この神秘的な場所で束の間の平穏を得ていました。紀若塵ジー・ルオチェンは藍色の炎で張殷殷ジャン・インインの回復を助けますが、この地の法力では彼女の衰弱を治癒できないことに気づきます。それでも二人は結婚を決意し、盛大な式を挙げて夫婦の契りを結びます。

しかし、幸せな時間は長くは続きません。城主が張殷殷ジャン・インインの治療法について嘘をついて二人を繋ぎ止めていたことを、紀若塵ジー・ルオチェンは知ってしまいます。それと時を同じくして、九幽祁玉城は謎の巨塔の脅威に直面します。この塔は毎月不定期に激しい炎を放ち、城内の建物を破壊していました。紀若塵ジー・ルオチェン紫微しび真人が語った修羅塔のことを思い出し、それを破壊することこそが問題解決の鍵だと悟ります。

危険を前に、張殷殷ジャン・インイン紀若塵ジー・ルオチェンの身を案じますが、紀若塵ジー・ルオチェンは九幽祁玉城と愛する人を救うため、危険を承知で立ち向かう決意をします。一方、吟風イン・フォン国師こくしに寝返り西玄せい げんを攻撃しており、状況はますます緊迫していました。

ネタバレ

紀若塵ジー・ルオチェン張殷殷ジャン・インインは深い穴に落ちた後、生きていました。どれほどの時間が経ったのか、紀若塵ジー・ルオチェンは目を覚ます。傍らには見知らぬ男がおり、玉童ぎょくどうと名乗り、ここは九幽祁玉城だと告げます。紀若塵ジー・ルオチェンはすぐさま張殷殷ジャン・インインの行方を尋ね、玉童ぎょくどうに連れられて城内の宮殿へ向かいます。

一方、張殷殷ジャン・インインも目を覚ましていました。今回は記憶を失っておらず、すぐに紀若塵ジー・ルオチェンの名を呼びます。しかし、紀若塵ジー・ルオチェンの人間の世界の法力はここでは効力を失っていました。張殷殷ジャン・インインが大きなダメージを受けているのを見た紀若塵ジー・ルオチェンは、藍焰を使って真気を送り始めます。九幽祁玉城主はこの藍焰を見て驚き喜び、紀若塵ジー・ルオチェンにひざまずき、藍焰で城の民を救ってほしいと懇願します。

紀若塵ジー・ルオチェンは他のことなど気に留めず、ただ衰弱した張殷殷ジャン・インインの回復を願っていました。九幽祁玉城での日々は、二人にとって穏やかな時間となりました。人界の法力が及ばないため、張殷殷ジャン・インインは記憶を失うことなく、二人は花に水をやり、月を眺め、寄り添い、楽しい日々を過ごします。しかし、幸せな時間にも影が差します。張殷殷ジャン・インインは自身の体が弱っていくのを感じていましたが、紀若塵ジー・ルオチェンを心配させまいと、毎日気丈に振る舞っていました。そんなある日、紀若塵ジー・ルオチェンはついに張殷殷ジャン・インインに結婚を申し込むのです。数々の困難を乗り越えてきた二人は、ついに結婚を決意します。

結婚式当日、張殷殷ジャン・インインは九幽祁玉城で最も美しい婚礼衣装に身を包み、皆の祝福の中で紀若塵ジー・ルオチェンと夫婦の契りを結びます。宴は大いに盛り上がり、二人は愛情深く見つめ合いますが、紀若塵ジー・ルオチェン張殷殷ジャン・インインの衰弱ぶりに気づき、すぐに部屋へ連れて帰ります。紀若塵ジー・ルオチェンの藍焰は自身を癒せても、張殷殷ジャン・インインの傷を治すことはできません。玉童ぎょくどうが駆け寄り、城主が張殷殷ジャン・インインを治す方法を知っていると話していたが、それは嘘で、二人をここに引き留めるための口実だったと告げます。

城主は真相が露呈しそうになり、慌てて頭を下げて説明を始めます。千万年前、九幽祁玉城の海から突如巨塔が出現し、毎月不定期に炎を噴き出し、街を焼き尽くすようになったため、民は不安に怯えて暮らしているのだと。そして、その塔を破壊できる者をずっと探していたのだと。

紀若塵ジー・ルオチェン紫微しび真人が語った修羅塔のことを思い出します。この塔は善であり悪でもある、紀若塵ジー・ルオチェンの藍焰を源として存在し、破壊することでのみ全てが元に戻るという。張殷殷ジャン・インイン紀若塵ジー・ルオチェンに危険を冒させたくないと仮対します。塔を破壊しようと試みた者は多くいましたが、皆生きては戻らなかったのです。九幽祁玉城主は紀若塵ジー・ルオチェンを引き留めるため、白朮の汁が張殷殷ジャン・インインの回復に役立つと嘘をついていたのです。

国師こくし紀若塵ジー・ルオチェンが塔で死ぬと確信し、天下の門派を集めて西玄せい げんへの攻撃を開始します。西玄せい げんは完全に包囲され、結界を張って必死に守りますが、外からの攻撃は止みません。凡人であれば西玄せい げんに脅威を与えることはできませんが、吟風イン・フォンが現れます。仙人魄を得たものの、顧青こ せいの仙人法相を修復できずにいた吟風イン・フォンは、地宮の主に修復方法を再び尋ねるため、国師こくしに寝返り、西玄せい げん攻撃に加担したのです。

第28話の感想

第28話は、紀若塵ジー・ルオチェン張殷殷ジャン・インインにとって、束の間の幸せと大きな試練が描かれた、感情の起伏が激しいエピソードでした。九幽祁玉城での穏やかな生活は、これまで過酷な運命に翻弄されてきた二人にとって、まさに安息のひとときだったと思います。記憶を失うことなく、共に花を愛で、月を眺め、愛を深める二人の姿は、見ているこちらも温かい気持ちになりました。特に、紀若塵ジー・ルオチェンのプロポーズシーンは、二人のこれまでの道のりを考えると、非常に感動的でした。

しかし、その幸せは長くは続きません。張殷殷ジャン・インインの病状は悪化の一途を辿り、城主の欺瞞も明らかになります。紀若塵ジー・ルオチェンの藍焰は自身を癒せても、愛する人を救えないという現実は、彼の無力感を際立たせています。そして、修羅塔の存在が再び二人の前に立ちはだかります。紫微しび真人の言葉が暗示していたように、この塔は紀若塵ジー・ルオチェンと深く結びついており、彼の運命を大きく左右するものとなるでしょう。

一方、西玄せい げん国師こくし吟風イン・フォンによる攻撃を受けて危機に瀕しています。吟風イン・フォンの寝返りは予想外でしたが、仙人魄を得ても顧青こ せいを救えなかった彼の焦りと、地宮の主への執著が、今回の行動に繋がったのでしょう。今後の展開が非常に気になります。紀若塵ジー・ルオチェンは修羅塔に挑戦するのか、張殷殷ジャン・インインの運命は、そして西玄せい げんはどうなるのか、様々な疑問と不安を残しつつ、次回への期待が高まるエピソードでした。

つづく