あらすじ
第二十九話は、紀若塵が張殷殷の体内の濁気を浄化するため、修羅塔に赴き青い炎「藍焰」を得ようとする物語です。修羅塔は海の真ん中に位置し、塔内は激しい炎に包まれています。紀若塵は塔の中で父と出会い、自らの出生の秘密と修羅塔を破壊する使命を知ります。修行を経て、紀若塵は「九幽明焰」を操れるようになりますが、修羅塔を破壊すべきか否かの選択を迫られます。最終的に、彼は昏睡状態の張殷殷を連れて修羅塔を離れることを選びます。
一方、孫果は自派を最強にするため、西玄派を滅ぼそうと企みます。正義を顧みず、盗んだ法器で西玄派を包囲しようとします。西玄派は強敵の襲来に立ち向かい、噬氷師姐をはじめとする正義の者たちが奮戦します。雲中居と無尽海の師尊たちは、それぞれの理由で西玄派を援助すべきか思案します。
ネタバレ
紀若塵は、張殷殷の体内の不濁の気を修羅塔の青い炎で浄化しようと決意する。周囲を海に囲まれた修羅塔内部では、なぜか激しい炎が燃え続けていた。
一方、顧青は吟風が孫果に騙されているのではないかと心配し、真実を見極めるよう忠告する。顧青は吟風を連れて孫果の悪行を目撃させる。表向きは三界の仮乱分子を鎮圧すると謳っている孫果だが、実際は私腹を肥やし、自派の勢力拡大を企み、他の門派の法器を狙っていた。秘密を知られた孫果は、既に奪った法器で西玄を滅ぼすと豪語する。
修羅塔に単身乗り込んだ紀若塵は、そこで父と再会する。父は、塔が崩壊する前に九幽明焰を修得しなければ、自身と同じく塔に囚われると警告し、紀若塵の出生の秘密を明かす。紀若塵の仙識は千年以上も前から存在し、父もかつて修羅塔を破壊しようと試みたが失敗し、瀕死の際に赤ん坊の紀若塵を花娘に託したという。幾世の輪廻を経て成長した紀若塵は、父の遺誌を継ぐこととなる。
紀若塵の後を追って修羅塔に来た張殷殷は、塔内の魔物に操られてしまう。紀若塵は九幽明焰を修得するが、魔神は塔の破壊は紀若塵にとって不利だと告げる。九幽明焰を修得した今、塔を破壊すれば自身も囚われ、塔内にいる張殷殷も死ぬことになる。魔神は、西玄の長老・紫微が紀若塵の生死を顧みず塔の破壊を命じたことを明かし、張殷殷と共に逃げるよう勧める。紀若塵は昏睡状態の張殷殷を抱え、修羅塔を後にする。
孫果は多くの門派を率いて西玄を攻撃する。しかし、噬氷や正義感の強い門人たちが抵抗し、噬氷は孫果の法器で重傷を負う。
雲中居の長老は西玄の危機を知りながらも静観を決め込む。弟子から紀若塵が複数の霊穴を破壊したため孫果の力は弱まっているはずだと聞くが、現状は孫果の勢力が拡大していることに疑問を抱き、真相を確かめるため西玄の紫微を訪ねることにする。
冥山の妖皇も西玄への攻撃を開始する。青衣は西玄の友人たちを心配する。無尽海の長老は零の進言を受け、西玄を支援し冥山の援軍を撃退することを決意する。
第29話の感想
第29話は、様々な思惑が交錯し、物語が大きく動き出す重要な局面を描いていました。紀若塵と張殷殷、そして孫果を中心とした三つの視点から展開されるストーリーは、緊迫感に満ち溢れていました。
まず、修羅塔における紀若塵の試練は、彼の出生の秘密や父親の悲劇的な運命が明らかになるなど、非常にドラマチックでした。九幽明焰を修得するも、魔神との取引により、塔の破壊という使命よりも愛する張殷殷の命を選ぶという決断は、彼の成長と変化を象徴しているように感じられました。魔神に唆されたとはいえ、西玄の長老・紫微の真意が不透明なまま残されたことも、今後の展開への期待を高めます。
つづく