あらすじ
第31話は、紫陽が西玄の弟子たちの安全を守るため、各門派への説得を試みるも、孫果と若曦の仮対に遭う場面から始まります。二人は法器を奪うためなら師門を血で染める覚悟すら表明します。危機一髪、張殷殷と紀若塵が相次いで登場し、特に紀若塵は圧倒的な力を見せつけ、敵を戦わずして屈服させ、西玄の名声を高めます。
紫陽は紀若塵と修羅塔の今後について話し合います。紀若塵はもはや盲目的に命令に従うのではなく、是非善悪を自ら判断する意思を示します。
一方、雲中居では掌門が秋水に後継者の座を譲ろうとしており、それに伴う法宝の行方が議論の的となります。
冥山の妖皇は紀若塵に受けた傷を癒そうとしますが、弟子に化けていた張殷殷に隙を突かれ、復讐を果たされて命を落とします。その後、紀若塵は追手から張殷殷を救います。
最後に、顧青が紀若塵に魔力の使用を止めるよう忠告しますが、紀若塵は「余計な口出しをするな」と警告します。
ネタバレ
西玄に迫る大敵。紫陽は師門を出て、多くの門派の師匠たちに助命を嘆願し、西玄の宝器全てを提供すると申し出る。しかし、孫果と若曦は聞き入れず、西玄を血祭りに上げ、宝器を奪うと誓う。
その時、張殷殷が駆けつける。紫陽は安堵するも、孫果たちの仙術を目の当たりにし、背後に高人がいると察する。凡人の自分たちでは敵わないと悟り、師匠は張殷殷に逃げるよう促す。
大戦勃発は避けられないかと思われたその時、紀若塵が現れる。彼は孫果の前に立ち、全ての宝器を披露する。人々は宝器に群がるが、宝器は彼らを認めず、逆に傷つけられる。
紀若塵は少し術を使うだけで、若曦を灰燼に帰す。人々は若曦の断末魔を目の当たりにし、恐怖に慄きながら散り散りに逃げる。西玄は戦わずして勝利を収める。そして、江湖には紀若塵が西玄を守護しているという噂が広まり、誰も西玄に手を出そうとしなくなる。張殷殷は紀若塵に「夫人」と呼ばれ、戸惑い、怒りを露わにする。
紫陽は紀若塵に修羅塔を破壊したのかと問う。紀若塵はこれが西玄への最後の訪問だと告げ、修羅塔は破壊しないと答える。以前は師命に従っていた彼だが、九死に一生を得たことで、何が正しいのかを理解し始めたのだ。紫陽は表向きは三界のためと主張するが、修羅塔の破壊は彼らの修行にも大きな利益をもたらす。
雲中居の師匠が紫陽を訪ね、高齢のため秋水に掌門の座を継がせたいと申し出る。紫陽は西玄の弟子である秋水が雲中居を継ぐことで、宝器が雲中居のものになることを懸念する。しかし、雲中居の師匠はそれを予期しており、雲中居は西玄の宝など必要としていないと告げる。
冥山妖皇は紀若塵の青い炎に焼かれ、冥山へ逃げ帰る。国師に治療を頼むと、一人の弟子が現れ、紀若塵は黄星藍の鴆幽散に侵されていると告げる。鴆幽散は強力な毒で、瞬時に体内に浸透し、傷口からは異香が漂うという。
周囲に確かに香りが漂う。妖皇は恐れ慄き、弟子に診断をさせる。しかし、その弟子は張殷殷が化けた姿だった。父を妖皇に傷つけられた恨み、そして西玄への攻撃、積もり積もった恨みを晴らすため、張殷殷は妖皇を殺す。冥山の妖兵たちは復讐に燃え、張殷殷に襲いかかる。多勢に無勢、張殷殷は追い詰められるが、そこに紀若塵が現れ、神弩を振るう。妖兵たちは青い炎に包まれ、跡形もなく消滅する。
顧青が冥山に現れ、紀若塵に改心するように説得する。もし彼が再び魔術を使えば、情け容赦なく排除すると警告する。紀若塵は無表情で、過去の恩義はすでに返済済みであり、これ以上幹渉すれば容赦しないと告げる。
第31話の感想
怒涛の展開で息つく暇もない第31話。紀若塵の圧倒的な強さと冷酷さが際立ちました。これまで師命に忠実だった彼が、自らの判断で修羅塔を破壊しないと決めたのは大きな変化と言えるでしょう。九死一生の経験を経て、何が正しいのかを理解し始めた彼の今後の行動が気になります。
特に印象的だったのは、若曦を灰燼に帰すシーン。容赦ないその姿は、敵対する者にとっては恐怖の対象となるでしょう。西玄を守護する力を持つ紀若塵ですが、その強大な力は同時に危険も孕んでいるように感じます。張殷殷との関係も、彼女を「夫人」と呼ぶなど、一方的な想いが垣間見え、今後の展開に波乱を予感させます。
つづく