あらすじ

第35話は、修羅塔の出現と、それが天地の霊気を過剰に吸収し続け、万物に活力を失わせる危機をもたらした様子を描いています。顧青こ せいの死後、吟風イン・フォンは大きな啓示を受け、谪仙としての責任を自覚し、塔を破壊する方法を探し始めます。一方、地霊ちれいからの恩恵を受けた孫果そんかはますます増長し、まもなく羽化飛昇すると豪語していました。

しかし、そんな中、魔君 紀若塵ジー・ルオチェンは九幽冥焰を用いて修羅塔を破壊することに成功し、三界に一時的な安定をもたらします。九幽師尊きゅうゆうしそんは、黒幕の報復から紀若塵ジー・ルオチェンを守るため、陰ながら彼を見守ります。

その後、孫果そんか紀若塵ジー・ルオチェンに濡れ衣を着せようと企み、天界は紀若塵ジー・ルオチェンを捕らえようと動き出します。吟風イン・フォンは仙界の腐敗と理不尽さを目の当たりにし、紀若塵ジー・ルオチェンを匿うことを決意します。

そしてついに、太一上仙たいいつじょうせんが現れ、紀若塵ジー・ルオチェンと九尾の霊狐へと変化した張殷殷ジャン・インインを抹殺しようとします。二人は力を増し、多くの師匠たちの助けも得て、太一上仙たいいつじょうせんとの戦いは困難を極めるも、高い闘志を保ち続け、立ち向かっていきます。

ネタバレ

修羅塔が出現し、天地の霊気を吸収し始めたため、このままでは万物に活力が失われてしまう。顧青こ せいの仙逝により吟風イン・フォンは目を覚まし、これまで顧青こ せいしか見ていなかった彼は、愛する人の悟りを受け、謫仙としての責任を思い出し、塔を破壊する方法を探し始めた。孫果そんかは得意げに吟風イン・フォンの元に現れ、以前紀若塵ジー・ルオチェンを殺すよう依頼したが聞き入れられなかった吟風イン・フォンに、地霊ちれいからの褒美を受けさらに増長した様子で、地霊ちれいの大計画が完成間近であり、自分もまもなく昇仙すると告げた。

吟風イン・フォン孫果そんかの卑劣さを見抜き、このような者が仙人を目指すことに憤りを感じ、三界の安定のために貢献することを決意する。張殷殷ジャン・インインは修羅塔の出現を見て、それを破壊しようと決意し、紀若塵ジー・ルオチェンも同意するが、少し待つように言う。さすがは魔君、あっという間に修羅塔は崩壊した。

張殷殷ジャン・インインは驚き、吟風イン・フォンは喜びを露わにする。紀若塵ジー・ルオチェンは、以前修羅塔に入った際に自分の出生の秘密を知り、塔を破壊することを決めていたが、時機を待っていたと説明する。黒幕を見つけ出すため、塔に九幽冥焰を仕掛けており、時が来れば塔は自然と燃え尽きるようにしていたのだ。

修羅塔が破壊され、三界は一時的な安定を取り戻す。九幽師尊きゅうゆうしそんが出関し、修羅塔の破壊が九幽冥焰によるものだと見抜き、黒幕が紀若塵ジー・ルオチェンに復讐することを懸念し、密かに彼を守ることを決意する。

登仙台に長い階段が現れ、孫果そんかは喜んで現れた仙使に拝謁し、手柄を誇示し、魔君・紀若塵ジー・ルオチェンの悪行によって世が乱れていると訴える。天兵天将は巡界シュンジエ仙使の吟風イン・フォンにも同行して紀若塵ジー・ルオチェンを捕らえるように命じるが、吟風イン・フォンは拒否し、仙兵仙将は吟風イン・フォンを捕らえようとする。この時、吟風イン・フォンは自分の過ちに気付く。顧青こ せいは以前、仙人も魔人もただの呼び名であり、大切なのは心であり、善を誌し、三界のためになることをすれば良いのだと教えてくれていた。今の仙界は悪人の言葉に惑わされ、恩を仇で返す愚かな存在になってしまっている。

吟風イン・フォンはわずかに残った仙力を使って紀若塵ジー・ルオチェンを見つけ、隠れるように伝える。吟風イン・フォンから顧青こ せいの出来事を知った紀若塵ジー・ルオチェン張殷殷ジャン・インインは悲しみに暮れるが、今は黒幕を倒すことが最優先だと考える。

ついに太一上仙たいいつじょうせんが現れる。普段は暗躍して人間界を混乱させていたため、紀若塵ジー・ルオチェンにとっては見慣れた相手だ。太一上仙たいいつじょうせんがもっと早くに自分を殺しておけばよかったと後悔する言葉を聞き、紀若塵ジー・ルオチェンは嘲笑する。この間の修行で力が増した紀若塵ジー・ルオチェンと、師匠の衣鉢を継ぎ九尾の狐仙となった張殷殷ジャン・インインは共に戦う。太一上仙たいいつじょうせんが法器で二人を捕らえようとした時、孫果そんか紀若塵ジー・ルオチェンを倒そうと無謀にも飛び出し、太一上仙たいいつじょうせんに一撃で殺されてしまう。

太一上仙たいいつじょうせんは多くの霊力を吸収しており、強力な相手だ。紀若塵ジー・ルオチェンは劣勢に立たされるが、紫微しび西玄せい げんといった師匠たちの助けもあり、傷つきながらも戦いを続ける。

第35話の感想

第35話は、これまでの伏線が回収され、物語が大きく動き出す怒涛の展開でした。特に印象的なのは、吟風イン・フォンの変化です。これまで顧青こ せい一筋だった彼が、顧青こ せいの死をきっかけに、真の「仙」としての責任に目覚める姿は胸を打つものがありました。彼の成長は、単なる恋愛ドラマを超えた、深いテーマ性を物語に与えています。

また、紀若塵ジー・ルオチェンの冷静な判断力と行動力も光ります。修羅塔の破壊は、彼の周到な計画によるものであり、その知略と決断力は、まさに魔君の名にふさわしいと言えるでしょう。一方、張殷殷ジャン・インインも九尾の狐仙として覚醒し、紀若塵ジー・ルオチェンと共に戦う姿は頼もしく、二人の絆の強さを感じさせます。

つづく