あらすじ
第1話では、都会の喧騒の中で忙しく働く許紅豆の生活と、彼女が人生の意味を改めて問い直す姿が描かれています。ホテルの客室管理部マネージャーとして、彼女は非常に真面目で責任感も強く、私生活や家族の時間を犠牲にするほど仕事に打ち込んでいました。そんな中、親友の陳南星が膵臓がんの末期と診断され、この世を去ってしまいます。この出来事は、許紅豆に人生のはかなさと無常さを深く感じさせました。
長い悲しみと反省の時を経て、許紅豆は生活を変えようと決意します。仕事一筋の生活から脱却し、ホテルを退職。そして、人生の新たな一面を求めて雲南省の大理への旅を計画します。この旅を通して、人生の意味を改めて見つめ直し、より豊かで彩りある人生を探したいと願っているのです。
この旅は、亡き親友・陳南星への追悼の旅であると同時に、許紅豆自身にとっての救いの旅の始まりでもありました。
ネタバレ
都会の喧騒の中、渋滞を避けるため、許紅豆は毎朝早く家を出て、勤務先のホテルへと直行していた。何年もこの生活を続け、顧客への細やかな気配りで、客室部マネージャーにまで昇り詰めた彼女は、もうすぐ副支配人になるだろうと噂されていた。
仕事に追われる紅豆は、父の誕生日さえも姉からのビデオ通話で思い出すほどだった。柔らかい声で「誕生日おめでとう」と伝えるも、会話は短く、すぐに電話を切ってしまう。
同僚は紅豆に友人の妹を紹介し、彼女の面倒を見てほしいと頼む。紅豆は仕事に集中しており、恋愛には興味がない。適当な理由をつけてその場を去り、別れ際に女の子に「脂っこいものや水分を取りすぎないように」とアドバイスする。
親友の陳南星が紅豆の家を訪ねると、冷蔵庫の中の食べ物は全て賞味期限切れだった。半年という時間は、紅豆にとってあっという間なのだ。南星は、紅豆の多忙な生活を心配していた。仕事が終われば倒れるように寝て、恋愛する時間もなく、過去の恋愛も全て破局に終わっている。
人生の意味について語り合った翌日、南星は病院で検査を受け、膵臓癌の末期であると診断される。この事実は、南星の未来への希望を打ち砕いた。紅豆は家に帰り、何も食べられず、テーブルに突っ伏して泣き崩れた。
その後、紅豆の生活は家とホテルと病院を往復する日々になった。死を間近に感じ、南星は紅豆の前では明るく振る舞おうとするが、紅豆はその優しさに心を痛めた。
そして、南星は息を引き取った。葬儀を終え、遺族を慰めた後、紅豆は仕事に没頭した。まるで現実逃避のように。しかし、過労で倒れ、病院に運ばれる。その夜、紅豆は南星が残した音声メッセージを聞いた。それは、南星の遺言だった。病の苦しみの中でも、紅豆を気遣う言葉が綴られていた。
南星は、もっと人生を楽しめばよかった、好きな人に告白すればよかったと後悔していた。そして、紅豆には自分の代わりに美しい世界を見てほしいと願っていた。景色も、美味しい食べ物も、全て紅豆に体験してほしいと。
最後のメッセージを聞き終えた紅豆は、南星の大好物だった肉龍を注文した。しかし、口にした肉龍は、苦い味がした。壊れた時計の歯車のように、紅豆は自分自身を止めることを決意した。そして、人生を変えるために。
熟考の末、紅豆は退職願を提出し、家族には有給休暇だと嘘をついた。両親と姉は何も疑わず、休暇の予定を尋ねる。紅豆はインターネットで観光地を探し、雲南省の大理を選んだ。都会の喧騒から離れた桃源郷で、新たな人生を見つけようとしていた。
第1話の感想
「風の吹く場所へ~love yourself~」第1話は、都会の喧騒の中で忙しく働く主人公・許紅豆の日常と、親友の突然の死という衝撃的な出来事を描いています。冒頭から、紅豆の多忙な生活ぶりが鮮明に伝わってきます。渋滞を避けるために早朝に出勤し、顧客への細やかな気配りを欠かさない彼女は、まさに現代社会を生きる女性の象徴と言えるでしょう。仕事に追われ、家族の誕生日さえも忘れてしまうほど、彼女は仕事中心の生活を送っています。
そんな紅豆にとって、親友・陳南星の存在は大きな支えだったはずです。しかし、南星は膵臓癌の末期であることが判明し、紅豆の人生は大きく揺らぎ始めます。南星の死は、紅豆にとってあまりにも突然で、受け入れるにはあまりにも辛い現実でした。過労で倒れ、病院で南星が残した音声メッセージを聞いた紅豆は、初めて自分の人生と向き合うことになります。
つづく