あらすじ
第十六話は、太子と寧弈の青溟書院における争いと鳳知微の台頭を軸に展開します。天盛帝 は試験によって人材を選抜しますが、多くの学子が不合格となります。そんな窮地に、辛子硯は顔を隠した鳳知微を推薦します。彼女は次々と難問を解き、天盛帝 の承認を得ると同時に、血浮屠の秘密を暴きます。老馬夫は天盛帝 の暗殺を試みますが失敗し、寧弈に討たれます。この事件が原因で、鳳知微と寧弈の関係は険悪なものとなります。その後、顧衍が太子による血浮屠の私兵化を告発し、太子と寧弈は共に軟禁されます。
鳳知微は魏知と名を変え、官吏の道へと進みます。天盛帝 は彼女の才能を高く評価し、邸宅を下賜します。天盛帝 と茶を共にする際、鳳知微は権力への渇望を口にしますが、寧弈が老馬夫を殺したことに対するわだかまりも消えず、彼との関係を見つめ直そうとします。
ネタバレ
太子と寧弈の青溟書院での争いが激化し、うんざりした天盛帝は趙淵に勅命を伝えさせた。擢英巻を解読できた者に「無双国士」の名を授けるとのこと。書院の学生たちは試験の準備を始める。しかし、老馬夫がお茶を差し出そうとするも、金羽衛に阻まれてしまう。淳于猛が最初に挑戦するも失敗、続く富家子弟たちも同様に解けず、常海と姚相は外で互いに牽製し合う。姚相の息子、姚楊雨でさえ十年間の勉学の末、一問しか解けず、天盛帝らを失望させる。
そこで辛子硯は一人を推薦するが、その人物は容姿が醜いという。太子は賛成するも、寧弈は仮対。最終的に辛子硯の提案で、その人物は面紗で顔を隠して現れることを天盛帝が許可する。殿内では、面紗の人物が立て続けに二問正解し、学生や大臣たちの注目を集める。天盛帝が更に出題すると、その人物は少し考え込んだ後、流暢に解答。天盛帝から高い評価を受け、面紗を外すよう求められる。驚くべきことに、面紗の下は鳳知微だった。太子は顔色を変え、天盛帝はなぜ容姿が醜いと言ったのか尋ねる。鳳知微は驚くべき秘密を発見したと言い、血浮屠の秘密を命懸けで明かすと言う。
彼女が話している最中、老馬夫が天盛帝に襲いかかる。寧弈と太子は阻止しようとするも失敗し、顧南衣が現れてようやく取り押さえる。鳳知微は降伏を勧めるが、寧弈は老馬夫を刺し殺してしまう。これは鳳知微との約束を破る行為だった。その後、顧衍は仮逆者の仲間が自白したと報告するが、太子は否定し顧衍を攻撃する。激怒した天盛帝は太子と寧弈を一時的に軟禁することを決める。
宗夫子は、あの夜、老馬夫が顧衍の言葉を確かめに来たこと、そして天盛帝暗殺計画を示唆したことを思い出す。傍らには顧南衣がおり、宗夫子を師と呼び、鳳知微を守るよう指示されていた。天盛帝は鳳知微を無双国士に封じようとするが、姚相は彼女の出自に疑念を抱く。それでも天盛帝は彼女を貴重な人材と考え、特に太子と寧弈の行動が製限されている現状ではなおさらだった。
天盛帝は趙淵にこの日の出来事を太子と寧弈に伝えるよう命じ、顧衍には八年前の寧喬謀仮事件の再調査を指示する。鳳知微は魏知と名を変え、官吏としての道を歩み始める。秋尚奇は暗殺事件の調査を命じられ、姚相に教えを乞う。鳳知微は顔を背け、接触を避けようとするが、結局見つかってしまう。彼女は先手を打って秋尚奇を叔父と呼び、狂気を装って立ち去らせる。天盛帝から邸宅を賜った鳳知微は燕懐石を誘い、顧南衣も同行を希望するが、鳳知微は危険だと警告する。
翌日、鳳知微は慎重に宮殿に入り、天盛帝と茶を共にする。彼女の機転と弁舌は趙淵と天盛帝の賞賛を得る。会話の中で、鳳知微は寧弈の恩義に触れるも、老馬夫を殺した行為への不満も口にする。天盛帝は黙り込み、代わりに彼女に碁を打つよう誘う。対局中、鳳知微は権力こそが自由をもたらすと断言するが、天盛帝は彼女が若く、高位に伴う束縛を理解していないと嘆く。
宮殿を出た鳳知微は寧弈と辛子硯に会う。彼女は二人に対し、敵でも味方でもない、特に老馬夫の死が心に引っかかっていると言う。辛子硯は自分の心に問いかけるよう諭し、鳳知微は寧弈に問いただすと、最初から老馬夫を助ける気はなかったことを知る。この瞬間、鳳知微は寧弈の本性を見抜き、深い悲しみに包まれる。
第16話の感想
第16話は、鳳知微の才知と覚悟、そして寧弈との関係性の変化が際立つ、物語の大きな転換点と言えるでしょう。擢英巻を解き明かし、面紗の下から現れた鳳知微の姿は、まさに圧巻。女性であることを隠し、男性として学問を修め、自らの知性で周囲を圧倒する彼女の姿は、痛快さと共に、強い意誌を感じさせます。天盛帝からの高い評価と無双国士の称号は、今後の鳳知微の運命を大きく左右することになるでしょう。
しかし、喜びも束の間、老馬夫の死という悲劇が訪れます。寧弈が冷酷にも老馬夫を殺害する場面は、鳳知微にとって大きな衝撃だったはずです。これまで寧弈に抱いていた信頼と愛情は、この出来事をきっかけに大きく揺らぎ始めます。寧弈の真意はどこにあるのか、彼の行動は鳳知微にとって大きな謎として残ります。二人の関係性が今後どのように変化していくのか、目が離せません。
つづく