あらすじ
第四十二話では、辛子硯が寧弈を守るため、寧斉の陰謀を暴こうと奔走する様子が描かれています。血浮屠の長の令牌と長孫皓の庚帖を携え天盛帝 に謁見した辛子硯は、大成皇室の遺児を捜索するために、監視と見せかけの脱獄という計略を用いたと説明します。しかし、寧斉は先手を打ち、天盛帝 に鳳知微と鳳皓を陰謀に巻き込み、寧弈の関与を仄めかします。
事態は進展し、鳳皓を匿っていた秋府の秋明纓と秋尚奇は捕らえられてしまいます。宮中では、辛子硯が天盛帝 の追及に対し巧みに対応し、危機回避に努めます。一方、刑部大牢では真相が徐々に明らかになり、秋明纓は鳳皓の正体が大成の九皇子・長孫皓であることを認めざるを得なくなり、緊張感が高まります。
時を同じくして、寧弈に会うため夏陽へ向かおうとしていた鳳知微は、予期せぬ出来事により帝京に戻ってしまいます。事態の発覚を防ぐため、華瓊が鳳知微に成り代わることを余儀なくされます。
ネタバレ
辛子硯しんしけんは姚よう相そうに寧弈ねいえきを救うよう頼み、自身は宮廷へ。牢ろうでは、寧斉ねいせい が鳳皓ほうこうに名前を尋ね、鳳皓はうっかり鳳知微ふうちびの名前を出してしまう。
宮廷で、辛子硯は血浮屠けっぷとの首領の令牌れいはいと長孫皓ちょうそんこうの庚帖こうちょうを天盛帝てんせい ていに提出。寧弈の指示である一家を監視かんしし、その家の放蕩息子ほうとうむすこを牢に入れ、脱獄に見せかけて信頼を得て、大成王朝たいせいおうちょうの皇族こうぞくの証あかしである痣あざを確認かくにんしたと説明する。天盛帝は彼を功臣こうしんと呼ぶが、寧斉は既に寧弈を陥れるため、全てを皇帝に告げ口していた。
天盛帝は疑いを抱き、辛子硯に男の居場所を尋ねる。辛子硯は正直に答え、秋尚奇あきしょうきが鳳皓の正体しょうたいを知らないことも伝える。しかし天盛帝は信じず、寧斉が鳳皓の身分を明かし、鳳知微も共謀きょうぼうだと仄めかしたこと、寧弈の侍衛じえいが鳳皓を連れ去ろうとしたため、仕方なく捕らえたと報告されたことを話す。そして、寧斉が秋明纓あきめいえいを捕らえるため秋府あきふに向かったと告げる。
秋府では、秋明纓は冷静に罪を認め、秋尚奇も共に罰せられることを望む。寧斉は二人を連行れんこうする。
宮廷で、天盛帝は辛子硯に、寧弈の侍衛が鳳皓を守っていたことを知っていたか問いただす。辛子硯は機転を利かせ、自分が仕込んだ内通者ないつうしゃだと答える。天盛帝は二人の関係を疑い、侍衛の証言しょうげんを共に聞こうとする。辛子硯は空腹を訴え、帰宅を願い出るが許されず、従うことに。寧斉は楚王府そおうふの侍衛が護送中に自害じがいし、血浮屠の令牌が見つかったと報告。天盛帝は二人に解決策を問う。寧斉は再調査を、辛子硯は前朝の残党の殲滅せんめつと秋明纓の尋問しんもんを訴える。天盛帝は辛子硯を脅すため、大花たいかを宮廷に幽閉ゆうへいし、寧斉を辛子硯につけさせる。
宗夫子そうふしは天盛帝に前朝の残党の殲滅を信じさせるため、血浮屠の残党ざんとうに帝京ていけいを去るよう命じ、自身は残る。残党は拒否するが、宗夫子は令牌を見せ、大成復興のため体勢を整えるよう指示。しかし、直後、宗夫子は倒れ、残党に連れ去られる。
辛子硯は大花と悲しみを分かち合い、涙を流す。大花は「保重ほちゅう」と言い残し、連れ去られる。
牢では、辛子硯は秋明纓に鳳皓の身分を自白させる。寧斉は牢の外で鳳皓に真実を聞かせる。秋明纓はついに鳳皓が大成の九皇子、長孫皓だと明かす。鳳皓は思わず声を上げそうになり、寧斉に押さえつけられる。
寧斉は鳳皓を拷問こうもんし、秋明纓の関係者かんけいしゃを吐かせようとする。恐怖におののく鳳皓は、宗宸そうしん、宗夫子の名を漏らす。金羽衛きんうえいは宗夫子の屋敷やしきへ向かうが、血浮屠の一人が宗夫子に扮ふんし、捕らえられる。天盛帝は鳳知微と金羽衛副指揮官ふくしきかんに帰京を命じる。
閩海びんかいで、鳳知微は夏陽かようへ向かい寧弈に会おうとし、華瓊かしょうに顧南衣こなんい らに秘密にするよう頼む。華瓊は承諾しょうだくするが、鳳知微は帝京へ戻る。副指揮官が到著すると、華瓊は疫病えきびょうを装い、鳳知微になりすます。
第42話の感想
第42話は、辛子硯の機転と忠誠心、そして登場人物たちの複雑な感情が交錯する緊迫感あふれる展開でした。寧弈を救うため、自ら危険を顧みず宮廷に乗り込む辛子硯の姿は、彼の知略と覚悟を改めて示すものだったと言えるでしょう。特に、天盛帝との駆け引きは見応えがあり、辛子硯が咄嗟の判断で内通者を仕込んだと嘘をつく場面は、彼の頭の回転の速さと冷静さを際立たせていました。
一方、鳳皓の身分がついに明らかになり、物語は大きな転換点を迎えます。これまで謎に包まれていた鳳皓の出自が、大成の九皇子・長孫皓であると判明したことで、今後の展開への期待が大きく高まりました。秋明纓が真実を語るシーンは、彼女の苦悩と覚悟が伝わってきて胸を締め付けられます。
つづく