あらすじ
第五十五話は、寧弈が数々の宮廷闘争を経て、傷を負いながらも皇帝に即位するまでの過程を描いています。物語は、彭典獄長が寧斉を殺そうとするところから始まりますが、辛子硯によって阻止されます。その後、趙淵が天盛帝 の遺命として寧弈を後継者に指名し、寧弈は大統を継承することになります。寧斉はこれに強く仮発し、寧弈が詔を偽造したと非難しますが、寧弈は宮廷での陰謀の真相を究明すると誓います。
即位後、寧弈は国政に取り組み、大逆無道以外の罪に対して大赦を実行し、顧衍と寧澄に重要な役職を与えます。一方、鳳知微は兄の長孫弘を失った悲しみ、そして寧澄との対立に苦しみます。また、月泠が狂気に陥った寧斉の復讐計画に手を貸す様子も描かれています。
最終的に、鳳知微は赫連錚の元を去り、寧弈への本当の気持ちと向き合う決断をします。しかし、鳳知微に自分だけを見てほしいと願う赫連錚は、彼女を射殺しようとして失敗し、逆に寧弈に誤って殺されてしまいます。
ネタバレ
権力争い、復讐、そして愛憎が渦巻く第五十五話。物語は、彭典獄長が寧斉の寧弈への脅迫を聞き、配下と共に寧弈を殺そうとする場面から始まる。しかし、数歩進んだところで矢に倒れる。振り返ると、そこには辛子硯の姿があった。伝位詔書は二通あり、もう一通は趙淵が持っているはずだった。
趙淵の裏切りを疑う声の中、辛子硯は姚揚宇と淳于猛に寧弈の護衛を命じる。辛子硯は、先帝が寧斉を皇太子に考えていたことを明かし、寧斉を動揺させる。その時、寧弈の悲痛な叫び声が響き渡り、彼は趙淵と共に姿を現す。趙淵は先帝の遺言として、寧弈が新帝となることを宣言する。激怒した寧斉は詔書の改竄を疑うが、寧斉や多くの臣下が新帝に跪拝する中、寧斉は寧弈を殺そうとする。寧弈は逼宮事件の真相を究明すると宣言する。
激動の一夜が明け、傷を負いながらも寧弈は玉座に就き、群臣の朝拝を受け、国事を執り始める。彼は十悪不赦を除き、大赦を行うことを決定。顧衍は五軍副都督に、寧澄は金羽衛指揮使に任命され、火鳳帮と寧斉の逮捕を命じられる。辛子硯は寧弈に謁見し、「子硯兄」と呼ばれ、亜相への就任を要請されるが、辞退し、庶民として暮らしたいと願う。
一方、寧澄は長孫弘を包囲し、寧斉と月泠の引き渡しを要求する。長孫弘は拒否し、戦闘が始まる。長孫弘は寧澄に匕首で襲いかかるが、寧澄に返り討ちに遭い倒れる。鳳知微は悲しみに暮れ、長孫弘の最期の言葉「月泠は三虎の娘で、自分の命の恩人であり、生涯の愛する人だ。彼女を信じてくれ」を思い出す。鳳知微は最後の親族を殺された怒りで寧澄に剣を向けるが、結局彼を仕留めることができない。
蘭香院では、帝位を失った寧斉が狂乱し、遺詔を手に寧弈を殺すと叫ぶ。月泠は寧斉に協力し、彼の憎む者たちを巻き込んだ陰謀を企てる。鳳知微は長孫弘の位牌を祀り、赫連錚の提案を受け入れ金獅へ戻ることにする。赫連錚は寧弈の即位を祝賀し、翌日、金獅使団と共に帰国する準備をする。寧弈は赫連錚に、感情で両国の関係を損なわないよう忠告する。
帝京に戻った寧弈は橋の上で鳳知微と再会する。寧弈は彼女の今後のことを尋ね、側にいてほしいと願う。鳳知微は寧弈の先帝と同じく、他人の人生を勝手に決めると指摘する。それでも寧弈は彼女を守ると誓う。鳳知微は明確な返事をせず、立ち去る。
そして、赫連錚率いる金獅使団が帰国する際、鳳知微も火鳳帮と共に同行する。しかし、寧澄率いる金羽衛に阻まれ、戦闘となる。鳳知微は仲間を助けようとするが、赫連錚に止められる。駆けつけた寧弈は攻撃停止を命じ、鳳知微を探す。ついに再会を果たすが、赫連錚は鳳知微の心が寧弈にあることを悟り、絶望する。彼女の心を得るため、赫連錚は鳳知微を射殺したふりをする。寧弈はためらうことなく仮撃し、赫連錚は命を落とす。この悲劇的な結末は、権力闘争の裏に隠された複雑な人間模様と愛憎劇を浮き彫りにする。
第55話の感想
第55話は、怒涛の展開で息つく暇もないほどでした。特に赫連錚の最期は衝撃的で、彼の鳳知微への愛の深さと切なさが胸を締め付けました。策略をめぐらす寧弈、復讐に燃える寧斉、そして愛する人の間で揺れ動く鳳知微。それぞれの想いが複雑に絡み合い、悲劇的な結末を迎える様は、まさに「鳳凰の飛翔」のクライマックスにふさわしいと言えるでしょう。
寧弈はついに皇帝の座を手に入れましたが、その過程で多くのものを失いました。辛子硯の静かな覚悟、そして赫連錚の死。彼の孤独な表情が、権力というものの重さを物語っていました。鳳知微との再会シーンも印象的でした。互いに惹かれ合いながらも、すれ違ってしまう二人の運命は、見ている側も苦しくなるほどです。
赫連錚の行動は賛否両論あるかもしれません。しかし、彼の鳳知微への一途な想いは、間違いなく本物でした。愛する女性のために命を投げ出す覚悟、そして寧弈への嫉妬と羨望。複雑な感情が入り混じった彼の最期は、涙なしには見られません。
つづく