あらすじ

第一話では、南北朝時代、皇室内部の激しい権力闘争が描かれています。昭陽殿で皇帝が崩御した後、皇后は自らの地位を固めるため、鄭美人ていびじんを処刑し、高演こうえん を宮中に召し出し、即位の大典の準備を整えるなど、様々な策を講じます。しかし、即位の儀式で龍袍が突如炎上するという異変が起こり、儀式は中断を余儀なくされます。一方、長広王ちょうこうおう高湛こうたん は帰京の途中に襲撃を受け、水死するという事件が発生し、事態はさらに混迷を深めます。最終的に高演こうえん が即位し、蕭喚雲かんうんに鳳印を授けますが、彼女は高湛こうたん の仇を討つことを誓います。それと同時に、陸家は即位式用の磁器の焼成に問題が生じ、窮地に立たされますが、陸貞りくていが問題の原因を突き止め、危機を回避します。

ネタバレ

南北朝時代、政情不安の中、皇族間の権力争いが激化していた。

皇帝が鄭美人ていびじんと昭陽殿で戯れている時、突然倒れた。駆けつけた皇后は、朱太医しゅたいいから皇帝が酒色に溺れ、中風を起こしたと聞く。皇后は鄭美人ていびじんを杖刑に処し、朱太医しゅたいいには今後の対応を暗に指示する。

皇位継承の準備として、皇后は高演こうえんを呼び出し、父には兵を集めるよう命じる。また、皇位継承の邪魔になる高湛こうたん が都に戻りつつあると知り、排除を企てる。

皇帝崩御後、皇后は高演こうえんに即位を促すが、高演こうえんは固辞する。しかし皇后は譲らず、即位式の準備を進める。忠実な侍女、青薔せいしょうには内侍局の長を任せる。

即位式で、婁大人ろうたいじん高演こうえんの即位を支持する一方、張相ちょうそうは嫡男の高湛こうたん を推す。皇后は涙ながらに張相ちょうそうを責め、圧力をかける。張相ちょうそうは、婁家の兵に相府が包囲されたという知らせを受け、仕方なく高演こうえんの即位を支持する。

しかし、高演こうえんが玉座に座ると龍袍が燃え上がり、張相ちょうそうは天の怒りだと叫び、即位は中断される。実は、酸に浸けた龍袍が日光で劣化し、燃え上がったことが蕭喚雲かんうんの報告で判明する。

一方、高湛こうたん は帰京の途中、何者かの襲撃を受け、川に落ちて亡くなる。高演こうえんは皇后を問い詰めるが、皇后は関与を否定。高演こうえんは改めて即位し、皇后を貴妃きひに封じ、鳳印を授け、皇后に準ずる権限を与える。同時に、高湛こうたん の死の真相を十日以内に解明するよう命じる。

婁昭君ろうしょうくんは蕭喚雲かんうんが鳳印を手にしたことを嘆き、青薔せいしょうに後宮への美人の選定と、柔然出身の亡き皇后の関係者が都に来るのを防ぐため、城門の監視を命じる。

喚雲かんうんは、高湛こうたん の仇を婁氏ろうしから必ず取ると誓い、後宮を支配する喜びに浸る。

一方、陸家では、皇帝の即位式用の喜瓷が黒く焼き上がってしまい、一家は窮地に立たされる。娘の陸貞りくていが原因を突き止め、無事に喜瓷を焼き直すことに成功する。江大人こうたいじん陸貞りくていを褒めつつ、黒く焼き上がった原因を調査するよう陸家に助言する。

陸家の窯を管理する趙安ちょうあんは、河泥を使って窯を修理し、安い炭を使ったことを白状する。陸氏は趙安ちょうあんを叱責し、帳簿を陸貞りくていに渡し、買い付けの仕事を禁じる。

第1話の感想

「後宮の涙」第1話は、まさに波乱の幕開けと言えるでしょう。冒頭から皇帝の急死、皇位継承を巡る陰謀、そして主人公と思われる陸貞りくていの登場と、息つく暇もない展開に引き込まれました。

特に印象的なのは、皇后の冷酷さと計算高さです。皇帝の死を冷静に受け止め、すぐさま次期皇帝の選定と自らの地位の確保に動き出す様子は、まさに権力闘争の縮図。高演こうえんを傀儡の皇帝に仕立て上げ、裏で実権を握ろうとする野心は、今後の物語の大きな鍵となりそうです。

対照的に、高演こうえんの優柔不断さと高湛こうたん の誠実さが際立ちます。高演こうえんは皇位を継ぐことを拒否するものの、結局は皇后の策略に嵌められてしまいます。高湛こうたん は父である皇帝の死に悲しみ、危険を顧みずに都へ戻ろうとする姿が印象的でした。彼の死は、今後の権力争いをさらに激化させることは間違いありません。

つづく