あらすじ
第二十話は、高湛 が豫州へ赴任する間際の様子を描いています。高湛 は皇帝に、自分が不在の間、陸貞の面倒を見てくれるよう頼み、彼女が自分との関係を断つ決意をしたことを明かします。皇帝は、一介の八品女官がそのような傲慢な態度を取ることに驚きを隠せませんが、高湛 は、陸貞には自分よりも大切な目標があるのだと説明します。
一方、蕭喚雲は高湛 に旅立ちの理由を問い詰め、彼が陸貞の身を案じているのではないかと疑い、自分の想いを伝えようとします。しかし、高湛 は彼女を義姉としてしか見ていないとはっきり告げ、陸貞に危害を加えないよう警告します。
ここで、三年前の出来事が回想されます。蕭喚雲が高演 に嫁ぐことを余儀なくされた経緯、そして鬱皇后が臨終の間際に婁貴妃に毒殺された事実を明かし、宮廷内の権力闘争の複雑さを浮き彫りにします。
ネタバレ
高湛 の豫州行きが迫る中、彼は出発前に皇帝に謁見し、留守中の陸貞の面倒を見るよう頼んだ。皇帝は二人の間に何かあったのかと疑い、高湛 から陸貞が彼との関係を断ち切ると決めたと聞くと、驚きを隠せない。八品の女官の傲慢さを嘆く皇帝に対し、高湛 は陸貞は傲慢なのではなく、自分より大切なもの、ひょっとしたら侍衛がいるのだと説明する。
一方、蕭喚雲は修文殿を訪れ、高湛 に豫州行きを問いただす。陸貞を連れて逃げるつもりかと疑う喚雲に、高湛 は貴妃自ら来た理由を問う。喚雲は高湛 に抱きつき、貴妃と呼ばないでほしいと懇願するが、高湛 は優しく彼女を突き放し、身分をわきまえるよう諭す。
高湛 は喚雲に、彼女への想いは弟が兄嫁に抱くものだと告げ、既に心惹かれる女性がいると明かす。喚雲は陸貞を愛さないなら何でもすると申し出るが、高湛 はそれが陸貞との違いだと指摘する。陸貞は愛憎分明で、権力や富には興味がない。喚雲は再び高湛 に近づき、陸貞が自分に価ているから好きなのだと主張し、本当は自分が一番好きなのだと訴える。高湛 は厳しく彼女を突き放し、陸貞に危害を加えるなと警告する。
丹娘と散歩中の陸貞は、長広王こと高湛 の豫州行きを知る。出陣する軍隊を見つめ、蕭喚雲は涙を流す。その様子を皇帝は不快そうに見ていた。
ここで物語は三年前へと遡る。蕭喚雲は父から高演との結婚を告げられ、激しく仮発する。王璇から、侯景に対抗するため西郡四城を得るための政略結婚だと聞かされ、喚雲は結婚後、高湛 に駆け落ちを持ちかける計画を立てる。しかし、鬱皇后の病状が悪化し、高湛 の帰還後何が起こるか予測できない状況に陥る。そして新婚初夜、喚雲は高演を刀で脅し、結婚を拒絶する。
その後、宮に戻った高湛 は母の病状が悪化していることを知り、鬱皇后から婁貴妃に毒を盛られたと告げられる。高湛 は婁貴妃の悪事を暴こうとするが、鬱皇后は時機尚早だと止め、高忠だけを信じ、父皇の言葉さえも鵜呑みにするなと遺言を残し息を引き取る。高湛 は深い悲しみに暮れる。
蕭喚雲は高演に事実を確かめようとするが、鬱皇后の死を知らされる。高湛 は母の仇を討つことを誓い、同時に揺るぎない愛の意誌を示す。兄高演との対立においても、彼は自分の信念を貫き、私情で国事を左右することを拒む。そして最終的に高演と蕭喚雲が共に生きることを促し、王としての責任感と国家の未来への深い思慮を見せるのだった。
第20話の感想
第20話は、高湛 の豫州行きを軸に、様々な人間模様が交錯する展開で、非常に目が離せない内容でした。特に印象的だったのは、それぞれのキャラクターの「愛」の形が鮮明に描かれていた点です。
高湛 は陸貞への一途な想いを貫きながらも、兄高演や国への責任感との間で葛藤する姿が胸を打ちます。陸貞への愛を貫くためには、全てを捨てて駆け落ちという選択肢もあったはずです。しかし、彼はそれを選ばず、国のために、そして兄のために身を引くという苦渋の決断を下します。この決断は、彼の深い愛情と責任感を強く印象づけます。
つづく