あらすじ

第二十七話は、沈嘉敏しんかびん高湛こうたん陸貞りくていの親密な様子を目撃し、取り乱して陸貞りくていを傷つけようとする場面から始まります。周囲の人々に阻まれ、長公主ちょうこうしゅから沈嘉敏しんかびんは諭され、蕭貴妃きひに近づくべきではないと忠告を受けます。高湛こうたん陸貞りくてい以外とは結婚しないと明言します。沈嘉敏しんかびん陸貞りくていに対抗するため、蕭貴妃きひに媚びへつらい始めます。

司衣司では衣服の損傷事件が発生し、王尚儀おうしょうぎ陸貞りくていを叱責し、十日以内に損失を補填するように命じ、職務を一時停止させます。陸貞りくてい杜司儀としぎの助言を受け、自身の管理方法を反省します。一方、宮中では様々な勢力が陸貞りくていを陥れようと画策し、白蟻を使って衣服を損傷させたり、刺繍を間違えさせたりといった策略を仕掛けます。

結局、陸貞りくていは試験問題に間違えて解答したため、八品女官に降格となります。それと同時に、沈碧しんへきが同じ八品女官に昇格し、陸貞りくていと共に司衣司を管理することになります。陸貞りくていは路地で倒れてしまいますが、偶然通りかかった皇帝に助けられます。

ネタバレ

沈嘉敏しんかびん高湛こうたん陸貞りくていが親密にしている姿を目撃し、怒りに駆られて陸貞りくていを殺そうとしますが、芳華ほうかに阻まれます。泣き止まない嘉敏を長公主ちょうこうしゅが諭します。長公主ちょうこうしゅは、嘉敏がすぐに人を「狐の精」呼ばわりするのをたしなめ、将来高湛こうたん の正妃となる身分として、このような振る舞いは不相応だと叱責します。

また、長公主ちょうこうしゅ高湛こうたん と蕭貴妃きひが幼馴染であることを嘉敏に教え、貴妃きひには近づかないよう忠告します。長公主ちょうこうしゅ長広王ちょうこうおうに会おうとすると、元禄げんろく長広王ちょうこうおうが酒に酔っていると言って、面会を止めさせます。高湛こうたん元禄げんろくだけがお転婆な姉を抑えられると忠叔ちゅうしゅくに得意げに話します。忠叔ちゅうしゅくは、嘉敏と陸貞りくていの処遇について長公主ちょうこうしゅにきちんと説明するよう高湛こうたん に進言します。高湛こうたん は、生涯陸貞りくていただ一人を妻に娶ると宣言します。

沈嘉敏しんかびん貴妃きひに贈り物を持って会いに行き、梁国りょうこく時代の瑪瑙の皿を献上しますが、長広王ちょうこうおうとは何もないと弁明します。阮娘げんじょう王尚儀おうしょうぎに、宮中でこれほど頭の悪い女官は見たことがないと話します。王尚儀おうしょうぎは、嘉敏が貴妃きひを利用して陸貞りくていを陥れようとしていることを見抜きます。貴妃きひ王尚儀おうしょうぎに、役者は揃ったので、いよいよ芝居が始まると言います。

司衣司の衣装数百著がシロアリの被害に遭い、数百両の損害が出ます。王尚儀おうしょうぎ陸貞りくていを激しく叱責し、十日以内に衣装を修復するように命じ、費用は陸貞りくていが全額負担するように命じます。

刺繍を間違えた衣装を見て、王尚儀おうしょうぎは再び陸貞りくていを叱りつけ、自ら修正するように命じ、さらに数日間、陸貞りくていを停職処分にし、司衣司の業務を玲瓏れいろう沈碧しんへきに任せます。婁青薔ろうせいしょう陸貞りくていに、衣装の修復を青鏡殿の女官に任せれば良いと言いますが、陸貞りくていは自分の責任だと主張し、自ら修復することを決意します。

夜、陸貞りくていは養心院に迷い込み、杜司儀としぎを訪ねます。陸貞りくていは、最近なぜ何もかもうまくいかないのかと悩んでいます。杜司儀としぎは、彩衣さいいの件で、陸貞りくていだけが昇進し、他の下人は何も報われていないので、下人たちは陸貞りくていに仕返しをしようとしているのだと指摘します。杜司儀としぎは、陸貞りくていは官吏としての能力が低く、恩賞と罰が不公平なので、下人をうまく管理できないと批判します。陸貞りくていは、真心で人に接すれば、相手も真心で返してくれると信じていると言います。杜司儀としぎは大笑いし、陸貞りくていを追い出し、宮中の人間は薄情なので、聖人のような陸貞りくていは出て行くべきだと言います。

夜、元禄げんろくは青鏡殿に行き、高湛こうたん からの贈り物を丹娘たんじょうに渡します。陸貞りくていは九鸞釵を見て感激します。阮娘げんじょう沈碧しんへきを呼び止め、貴妃きひがシロアリと刺繍の件を褒めていたと伝え、貴妃きひが言っていた計画がもうすぐ実行されるので、沈嘉敏しんかびんに準備をするように伝えるよう指示します。

玲瓏れいろうは生地を間違えて納入したため、職務を解かれ、沈碧しんへきが後任となります。丹娘たんじょう陸貞りくていに、王尚儀おうしょうぎが内侍局に来るように言っていると伝えます。王尚儀おうしょうぎは女官たちを集め、一炷香の間に宮廷の規則を書き取る試験を行います。

陸貞りくていは試験に落ちたため、八品女官に戻され、沈碧しんへきが八品女官に昇進し、陸貞りくていと共に司衣司を管理することになります。陸貞りくていは路地で倒れ、偶然通りかかった皇帝が様子を見ます。陸貞りくていが高熱を出していることを知った皇帝は、元福げんぷくに自分の輿で陸貞りくていを青鏡殿に送り返すよう命じます。

第27話の感想

第27話は、陸貞りくていにとってまさに試練の連続でした。陰謀渦巻く後宮で、善意と誠実さだけでは渡っていけない現実を突きつけられる展開に、見ていて胸が痛みました。

まず、高湛こうたん と親密な様子を見てしまった沈嘉敏しんかびんの嫉妬と怒りは理解できますが、衝動的に陸貞りくていを殺そうとするのは行き過ぎです。長公主ちょうこうしゅの叱責はもっともですが、沈嘉敏しんかびんの焦りもまた、彼女の置かれた立場を考えると同情を禁じえません。高湛こうたん陸貞りくていへの一途な想いを口にするシーンは、二人の愛の深さを改めて感じさせますが、同時に今後の波乱を予感させます。

一方、貴妃きひ王尚儀おうしょうぎの暗躍は、いよいよ本格化してきました。巧妙に仕組まれた罠によって、陸貞りくていは次々と窮地に追い込まれていきます。シロアリ被害、刺繍の間違い、そして宮廷の規則の試験…どれも陸貞りくていの責任にするにはあまりにも不自然で、陰謀の匂いがプンプンします。それでもなお、自分の非を認め、真摯に仕事に取り組む陸貞りくていの姿には心を打たれます。

つづく