あらすじ

第34話は、高湛こうたん陸貞りくてい、蕭喚雲かんうんの三人をめぐる複雑な愛憎劇を描いています。

王璇おうせんは蕭喚雲かんうんに皇帝との円満な関係を築くよう諭しますが、蕭喚雲かんうんはなかなか気持ちの整理がつきません。長広王ちょうこうおう高湛こうたん は怪我のせいで、蕭喚雲かんうん陸貞りくていと見間違え、それが数々の誤解を生みます。蕭喚雲かんうん陸貞りくていと皇帝の親密な様子について語り、高湛こうたん は怒り、事実を明らかにしようとします。誤解した皇帝は悲しみのあまりその場を去り、陸貞りくていもまた誤解から高湛こうたん に失望します。雨の中、陸貞りくていは皇帝に二度と会わない決意を伝え、自分と高湛こうたん の過去について尋ねます。一方、蕭貴妃きひは鳳印を返上し、宮中で修行することを決意します。

ネタバレ

王璇おうせんは蕭喚雲かんうんの著替えを手伝いながら、皇帝と仲良くするように諭しますが、蕭喚雲かんうん太后たいこうと皇帝の仕打ちが許せず、耳を貸しません。そこへ、長広王ちょうこうおう高湛こうたん が怪我をして修広殿にいると知らせが入り、蕭貴妃きひは急いで駆けつけます。

一方、丹娘たんじょう陸貞りくてい高湛こうたん の帰還を喜び勇んで伝えます。高湛こうたん は傷の手当てを受け、痛みでうめき声をあげながら、朦朧とする意識の中で陸貞りくていの姿を見て抱き著きます。皇帝は陸貞りくていに薬を渡すよう命じ、一緒に高湛こうたん の様子を見に行きます。

高湛こうたん は蕭喚雲かんうん陸貞りくていと間違え、抱きしめようとします。蕭喚雲かんうんは激怒し、高湛こうたん に現実を突きつけます。そして、陸貞りくていと皇帝が最近親しくしていること、太液池のほとりで仲睦まじくしていたことなどを告げ口します。高湛こうたん陸貞りくていがそんなことをするはずがないと信じ、蕭喚雲かんうんを黙らせようとします。蕭喚雲かんうんは、自分が陸貞りくていに価ているから好かれているのかと高湛こうたん に詰め寄ります。高湛こうたん は蕭喚雲かんうんを突き放しますが、倒れそうになった彼女を思わず支えます。

この場面を目撃した皇帝は、二人の関係を問い詰めます。高湛こうたん は誤解だと弁明しますが、蕭喚雲かんうんは、皇帝がかつて神仏の前で、たとえ自分が高湛こうたん と一緒になっても恨み言は言わないと誓ったことを持ち出します。皇帝は悲しみながらその場を去り、高湛こうたん陸貞りくていに説明しようと追いかけますが、陸貞りくていは失望して立ち去ります。

皇帝は蕭喚雲かんうんの首を絞め、蕭喚雲かんうんは自らの命を絶つよう懇願します。全ての過ちは皇帝にあると責め立てる蕭喚雲かんうんに、皇帝は失望し、手を離します。雨の中、泣き崩れる陸貞りくていに、高湛こうたん は自分の袖で雨を遮り、蕭喚雲かんうんに価ているから好いているのではないかと疑っているのか尋ねます。蕭喚雲かんうんは、下賤の身である陸貞りくていが儲君に口答えするべきではないと非難します。高湛こうたん は蕭喚雲かんうんを怒鳴りつけ、陸貞りくていに必死に説明しますが、陸貞りくていは去ろうとします。高湛こうたん は引き留めようとしますが、蕭喚雲かんうんに阻まれます。ついに高湛こうたん は著物の切れ端を切り離し、今後互いを知らぬものとすると宣言します。蕭喚雲かんうんは著物片手に泣き崩れます。

雨に濡れる陸貞りくていに、皇帝は自分の著物を掛け、連れ帰ります。陸貞りくてい高湛こうたん との過去について尋ね、話を聞いた後、自分と皇帝はどちらも哀れな境遇だと感じ、沈嘉敏しんかびんに誓ったことを理由に、二度と会いたくないと告げます。太医たいい高湛こうたん の容態が危険だと診断し、高湛こうたん は意識が朦朧とする中、陸貞りくていに誤解を解いてほしいと繰り返します。

高湛こうたん の行動に深く傷ついた蕭喚雲かんうん。宦官は、蕭貴妃きひが鳳印を返上し、世俗を離れて修行すると報告します。「定不負相思意」の文字を前に、陸貞りくていはそれを破り捨て、燃やします。高湛こうたん陸貞りくていに会うため急ぎ、途中で沈碧しんへきに会い、感謝を述べて立ち去ります。沈碧しんへきは偶然沈嘉敏しんかびんと出会い、彼女からもうすぐ儲妃になることを聞かされます。沈碧しんへきは、自分が高湛こうたん を救った最大の功労者であるにもかかわらず、儲妃の座を奪われたことに不満を抱きます。

丹娘たんじょう高湛こうたん を止め、陸貞りくていが本当に彼を無視するつもりなのか尋ねます。陸貞りくていは、沈司珍しんしちんが儲妃になるため、関係を断ち切るしかないと答えます。高湛こうたん は皇帝に、なぜ過去の出来事を陸貞りくていに話したのかと激怒します。皇帝は高湛こうたん の言葉に耳を貸さず、剣の稽古に没頭します。登場人物たちの複雑な感情のもつれと葛藤、そして今後の展開を予感させるエピソードです。

第34話の感想

第34話は、登場人物たちの感情が激しくぶつかり合う、非常にドラマチックな展開でした。特に陸貞りくてい高湛こうたん 、蕭喚雲かんうん、そして皇帝の四角関係は、見ている側も胸が締め付けられるような切なさを感じさせます。

高湛こうたん が傷を負い、朦朧とした意識の中で陸貞りくていと蕭喚雲かんうんを間違えてしまうシーンは、この物語の悲劇性を象徴しているように思えました。高湛こうたん陸貞りくていへの一途な想いを抱きながらも、蕭喚雲かんうんの境遇にも心を痛め、板挟みになる苦悩が伝わってきます。

喚雲かんうんは、皇帝の寵愛を失い、高湛こうたん にも拒絶され、孤独と絶望に苛まれる姿が痛々しいです。彼女が「全ての過ちは皇帝にある」と叫ぶシーンは、これまでの彼女の苦悩が凝縮された、非常に印象的な場面でした。

つづく